中央労福協とは
あゆみ 活動方針 基本文書 主な活動 組織運営 役員一覧 加盟団体名簿 地図
活動方針
back 中央労福協とはへ戻る
   
  2001年度2002年度2003年度2004〜2005年度2004〜2005年度活動方針と補強
2006〜2007年度|2006〜2007年度活動方針の中間総括と補強2007〜2008年度2008〜2009年度活動方針の中間総括と補強労福協の理念と2020年ビジョン2010〜2011年度2010〜2011年度活動方針の中間総括と補強
 
  2006〜2007年度活動方針
 
はじめに
 人口の減少・高齢化の進展は、わが国経済をこれまでの拡大基調から縮小へと向かわせることになると見られています。これまではGDP(国内総生産)がその国の力を量るバロメーターとして重要視されてきました。しかしこれからのわが国は、経済全体の規模を競うより、「国民一人当たりの経済規模」を重視する方向に意識を変えて行かなければなりません。なぜならば、豊かな暮らしができるかどうかは、国民一人ひとりの所得の動向にかかっているからです。現在わが国のGDPは世界第2位といわれていますが、わが国のほぼ半分のドイツや3分の1にも満たないフランス、イギリスなどと比較してみると、生活の豊かさに対する実感は逆にかなりの差があるようです。また一人当たりの国民所得でもわが国は世界の最高水準に位置していますが、残念ながら生活実感はそれにともなっていません。それは、わが国の過度な市場経済最優先・競争の原理万能とする政治手法や経営手法が「強い者勝ち」の流れを加速させ、社会の至る所で格差が拡大し、公的年金をはじめとする社会保障制度が不安定なまま放置されていることによるものといえます。


 「団塊の世代」を導火線とする人口構造・社会構造の急激な変化は、労働運動や労働者福祉の運動にかかわる人々の活動領域を広げる傍ら、きわめて深刻な課題をも突きつけています。それは、労働の現場(既存のマーケット)から大量の労働者が姿を消すことによって、労働組合や労働者福祉事業といえども容赦なく厳しい市場競争にさらされ、ともすれば社会の片隅に追いやられ、淘汰される危険性さえ出てくるということです。労働組合・労働者福祉事業団体が労働者の暮らしを守る中心的組織として活動し続けるには、それぞれの団体・組織が自らの力で課題克服に努めるとともに、それを可能にする「協働の体制づくり」を急がなければなりません。
 同時にまた私たちは、地球環境保護の視点のみならず、真の“ゆとり・豊かさ”を実現するためにも、大量生産・大量消費・大量廃棄型社会に対する価値観の見直しに向けて、「なだらかな意識の改革」が求められています。


 私たちはこれら多くの課題や困難を克服し、「まじめに働く者が報われる社会づくり」を進めるために、組合員はもとより、未組織労働者を含めたすべての労働者に私たちの労働運動・労働者福祉運動への参加を呼びかけて行かなければなりません。
 戦後の混沌とした廃墟の中から立ち上がったわが国の労働組合・労働者福祉事業もすでに半世紀を超え、いまや「創業の初心」を体感した先人も少なく、一部には「暮らしから遠い存在になった」と指摘する声さえあります。私たちは労働運動や労働者福祉運動の次代を担う活動家やリーダーを発掘・育成に力を注ぐとともに、運動への正しい理解を広める教育・広報活動にも努めなければなりません。


<活動の基調>
 私たちが進める労働者福祉の運動は、短期間のうちに成果をあらわすものもありますが、多くは継続的な活動の積み重ねによって実現への道が開けて行きます。その意味で、向こう2年間の活動方針策定あたっては、私たちがこれまで重点的に取り組んできた課題については、基本的には継続した取り組みを行うこととし、内容によっては活動の進捗度合いや取り巻く環境・条件の変化などを勘案し、必要最低限の見直しを行うにとどめました。
 また、連合・労金協会・全労済と中央労福協が本年(2005年)8月に基本合意した「勤労者の暮らしにかかるサポート事業」実現への取り組みや、労働運動・労働者福祉の運動に関わる「総合的な学習活動の展開」など、時代の要請にもとづく新たな活動については、中央労福協のみならず全国の労福協にとっての共通課題でもあることから、向こう2年間の最も重要な活動課題と位置づけ、取り組みを進めることとしました。


 労働運動・労働者福祉運動の原点は職場であり、地方・地域を生活の拠点とする労働者とその家族です。私たちの運動は、そうした人々の日々の暮らしから目をそらすことなく、現場実感を大切にしたものでなければなりません。すべての労働者・家族がいま抱えているさまざまな不安や問題を解消し「今日に困らず、明日に憂いなく、将来に不安のない暮らしが出来る」――、そんな社会づくりのために、私たちは政策・制度課題の改善はもとより、労働者・家族の総合的な生活支援・サービスを可能にする幅広い活動に、メリハリをつけて取り組んで行きます。活動を進めるにあたっては、連合をはじめとする労働組合組織や関係事業団体、日本生協連、目的を同じくするNPO諸団体などと中央・地方を通じて密接な連携を大切にして行きます。
 同時に、中央労福協と地方労福協の関係が、“ゆるやかな協議体組織”であることを踏まえ、それぞれの主体性を尊重しあいながら、地道ではあっても着実に成果を積み重ねることが出来るよう心がけて行きます。


<重点活動>
1. 「勤労者の暮らしにかかるサポート事業」への体制づくり

 連合・労金協会・全労済との合意・確認の内容にもとづき、全国の都道府県における地域を拠点としたワンストップサービス(総合生活支援サービス体制)の可能な限り速やかな立ち上げを支援します。そのため、都道府県ごとに設置される「検討の場」で地方労福協がそれぞれの役割を担うことが出来るよう情報提供などに努めます。
 また、全体的な取り組みを促進させるため、関係各団体・組織との共同行動のなかで中央労福協としての役割を果たして行きます。

2. 事業団体の活動を支援する取り組み

 労福協加盟の事業団体の活動を支援する取り組みについては、今期も引き続いて実施します。具体的にはこれまでの実績をふまえ、取り組みの目的に則して、事業団体間の相互協力の可能性を探るなど、さらに内容を深めたものになるよう地方労福協をはじめ、関係団体・組織へ働きかけて行きます。

3. 退職者・高齢者との連携・支援の活動

 退職者や高齢者の生きがい支援のための活動を進めます。そのために、労働組合や関係する事業団体はもとより、日本高齢・退職者団体連合、ニッポン・アクティブライフ・クラブ(NALC)をはじめとするNPO諸団体などと連携し、地域における退職者の組織化の可能性を探るとともに、各種リーダーの登録や派遣、いきいき健康社会づくり(自治体、ウォーキング協会など)、それらに対する情報や活動の場の提供などに努めます。そうした活動の拠点となるライフサポートセンター(生涯生活支援センター)については、「勤労者の暮らしにかかるサポート事業」のなかの重要な柱として、引き続き設立・普及に努めます。

4. 計画的・持続的な学習活動の展開

 労働運動・労働者福祉の運動に対する労働者の理解や関心が希薄になっているといわれています。それを回復させるには計画的で持続的な教育活動が重要です。労働運動・労働者福祉運動(労働金庫や全労済など関係する事業団体すべてを含む)の理念や歴史、労働組合と生協活動との関わり、多重債務問題やライフセミナーなど、幅広いテーマについての学習活動を地方・地域で行うことができるよう協力して行きます。


<通年的な活動>
1. 福祉なんでも相談ネットワークの構築

 介護・子育て・多重債務問題、就業支援など、暮らしの中のさまざまな悩み相談に対応するための地域のネットワークづくりについては、引き続き取り組んで行きます。同時に、「勤労者の暮らしにかかるサポート事業」実現に向けた検討の中では、ワンストップサービス(総合生活支援サービス)活動の重要な柱として位置づけて行きます。

2. 介護サポートと子育て支援の取り組み
 
(1)  介護に関わる法対応の問題などについては、自治体ごとに設置されている「介護保険運営協議会」等への労働側や市民互助団体代表の参加を促すとともに、地方行政に対する意見反映の機会拡大に努めます。また、日常的には全労済や日生協、NPOなどが運営する介護・関連事業との連携を強めて行きます。

(2)  仕事と子育ての両立に悩む労働者・家族支援のための活動を継続します。具体的には、自治体との協力または受託事業としての「ファミリーサポートセンター」の設立を支援するとともに、「日本子どもNPOセンター」などとの協力関係を強化して行きます。

3. 政策・制度要求の実現に向けた取り組み
   労働者福祉に関わる政策・制度課題については、引き続きその実現に向けた取り組みを進めます。そのために、政党や関係省庁・地方自治体などとの接点を強めるとともに、中央・地方において労働組合や関係する事業団体、NPO諸団体などとの共同行動を強め、内容によっては利害を共有するその他の団体・組織や市民などにも働きかけ、シンポジュウムや大衆行動を組織するなど多様な行動を起こして行きます。とくに勤労国民の生活を直撃する増税の問題、公益法人制度改革、消費者金融の貸出金利の引き下げ(2007年1月の出資法見直し)は喫緊の課題であり、連合や関係事業団体、NPO諸団体などと連携した取り組みを進めます。
 また、協同組合に関する法・税制のあり方については、「生協法(消費生活共同組合法)」の改正問題等の推移を見ながら、必要によっては中央労福協としても日本生協連や全労済、関係団体・組織等と連携し、中長期的な視点からの研究・検討の場を設けることとします。

4. 日本生協連、NPO諸団体と連携した活動
   日本生協連や関係するNPO諸団体と連携し、食の安全、消費者団体訴訟制度の実現など消費者政策の充実・強化に努めます。また、生活協同組合やNPOの特性を生かした地域福祉、地球環境保全などの活動に引き続き取り組んで行きます。

5. 中小企業勤労者福祉サービスセンターの充実・強化
   賃金など基本的な労働条件をはじめ、福祉施策の面でも大企業と中小企業で働く労働者の格差は年々広がってきています。中小企業労働者・パートタイム労働者の生活基盤の安定は、日本経済活性化の視点からも重要な課題です。その意味で、全国の中小企業労働者(パートを含む)の福祉の砦(とりで)ともいうべき「中小企業勤労者福祉サービスセンター」の役割は重大です。所管する厚生労働省や連合などとも連携を図りながら、中小企業勤労者福祉サービスセンターならびに全福センターの充実・強化、自立化に向けて、中央・地方を通じて努力して行きます。

6. 防災への取り組みと「救援ボランティア」の組織
   地震や風水害などによる大規模な自然災害が多発しています。住宅の耐震対策など政策・制度面での取り組みや意識喚起の活動などを進めます。あわせて、連合をはじめとする労働組合や関係事業団体、さらには行政や市民団体などとも連携し「救援ボランティア」のためのリーダー養成と組織化、そのネットワークづくりに努めます。
 また、ボランティアの養成・組織化にあたっては、災害救援のみでなく多様な社会的要請に応えられるボランティアとしての性格付けを目指します。

7. 地球環境を保護する活動
   2005年2月に発効した「地球の温暖化を防止するための京都議定書」は、このかけがえのない地球を守り、傷ついた環境を回復させるための国境を越えた約束です。連合・労金協会・全労済・中央労福協で構成する「ライフスタイルを見直す環境会議」を実効あるものにして行くとともに、政府や関係団体などが進める「温暖化防止に向けた国民運動」などに中央・中方を通じて積極的に参加して行きます。また、大量生産・大量消費・大量廃棄型社会に価値観を見出してきたこれまでの生活意識からの転換に向けて、日常活動の中で息の長い取り組みを進めます。

8. 税務サポート対策と会計ソフトの導入支援
 
(1)  労働組合の会計・税務の適正な処理のための税務研修会を引き続いて実施します。
 とくに来年(2006年)4月以降から「新公益法人会計基準」が適用されることを踏まえ、顧問税理士等の協力を得て地方労福協や労働組合などの研修講師の派遣や税務相談への支援体制を強めます。また、労働組合・個人を対象とした「税務サポートの会」の拡充・強化を図ります。

(2)  会計実務の迅速化と合理化に資するため、引き続き「会計ソフト」の導入を支援するとともに、「会計ソフト」の内容充実を図ります。

9. 広報活動と情報化・データベース化
 
(1)  手にとって見る「情報紙・誌」に対する要望も根強いことから、月1回程度の「情報紙」の発行を検討します。発行にあたってはこれまでの経緯を踏まえ、惰性に陥ることがないよう創意・工夫を凝らします。

(2)  中央労福協のホームページの内容充実に努めるとともに、地方労福協のホームページの開設・運用・情報処理技術の向上を支援します。

(3)  活動の円滑な推進に資するための調査と、そのデータベース化の充実を図ります。

10. 連合総研、国際労働財団などとの共同研究
 
(1) 連合総研との共同研究
   2004〜2005年度に実施した共同研究の到達点を踏まえ、引き続き労働者福祉事業に関する調査研究について連合総研との協力関係を深めます。

(2) 国際労働財団との共同研究

(3) その他関係諸団体(教育文化協会など)との提携

11. 研修活動の充実
 
(1) 全国研究集会
   引き続き全国研究集会を年1回開催します。内容については、活動の推移を見ながら時期に適したものとするよう機関会議を中心に検討して行きます。

(2) 地方労福協事務担当者研修会
  2年に1度の開催とし、2006年度に開催します。

12. 国内外への調査・交流視察の派遣
 
(1) 欧州労働者福祉視察団
   引き続き、加盟団体の役職員を対象とした欧州労働者福祉視察団を派遣します。時期、テーマ、視察先等については、関係団体と協議して検討します。

(2) 専門調査・視察団
   ニッポン・アクティブライフ・クラブ(NALC)等と連携し、全米退職者協会(AARP)への視察団の派遣・参加を検討します。

(3) 中国との交流
   引き続き中国職工対外交流中心や日中技能者交流センターと連携し、日中両国の労働者福祉事業の交流を促進します。

(4) 国内交流
   加盟団体の役職員を対象に地域における福祉活動の先進的な現場を訪問し、勤労者の総合生活支援サービス体制づくりの強化をはかるための国内交流視察を実施します。
 全国ボランティアフェスティバルには労福協としても継続参加し、ボランティア・NPO団体との交流を深めます。

13. 中央労福協設立60周年記念行事への準備
   中央労福協は、1949年8月30日に中央物対協(労務者用物資対策中央連絡協議会)としてスタートし、2009年に設立60周年を迎えます。
 60年の活動を節目に労働者福祉運動の更なる前進をはかるため、2009年11月開催予定の第59回定期総会にあわせた記念行事や事業の検討を始めます。


back 中央労福協とはへ戻る