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I. |
生涯生活の安定と向上をめざして |
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勤労者が安心して子育てをしながら働き豊かな老後を迎えるためには、公的保障を基盤に協同組織等の力を最大限に活用し生涯生活を総合的にサポートする社会システムの構築が求められています。また、食の安全や地球環境問題など、これまでのライフスタイルを見直すことが21世紀の重要な課題となっています。こうした課題に対応していくため、本年度は以下の重点課題に絞り込み取り組みを展開します。 |
1. |
新たな社会保障の構築 |
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(1) |
連合は「21世紀・社会保障ビジョン」を踏まえた全国的な討議を年金、医療、介護、更には税負担問題を含めた総合的な社会保障の構築に向けた研究・討議に入ります。中央労福協は、こうした新たな社会保障の構築をめざした取り組みを支援し勤労者の視点からの意見反映に努めます。 |
(2) |
介護保険が施行されて3年を迎えますが、市区町村の介護基盤(施設・体制など)が充分整備されないため介護保険の利用状況は予定を下回っています。介護の社会化をはかり介護保険の利用を推進しなければなりません。労福協は、関係諸団体と連携し問題点改善に向けた取り組みを展開していきます。労福協の主要な加盟団体である全労済や日本生協連をはじめ多くのNPOなどは介護サービス事業に参入していますが、相互の提携・支援を更に拡大しホームヘルパー養成と介護のレベルアップ活動など先進例を参考に介護課題の取り組みを広めます。 |
(3) |
ファミリーサポートセンターの取り組みは少子化対策の一環であり、働く女性の育児援助を目的として全国286ヶ所(2003.3目標)の設置をめざしています。地方労福協では自治体要請の項目にファミリーサポートセンター設置・拡大を加え働きかけていきます。併せて、既に設置されているファミリーサポートセンターの運営の改善と助成の充実をはかり男女共同参画社会をめざします。 |
(4) |
1998年5月に「被災者生活支援法」が成立しました。しかし、自然災害に直面した被災者にとって欠くことができない最大の課題は「住宅の再建」です。今日まで「自然災害被災者支援促進協議会」を四団体(全労済グループ、日本生協連、連合、兵庫県)で発足させ、超党派国会議員による「自然災害議連」と連携をはかりながら立法化にむけて積極的な取り組みを進めてきました。154通常国会で「被災者住宅再建支援制度」の法制化が実現できるよう引き続き関係各方面に働きかけていきます。 |
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2. |
生涯生活サポートの推進 |
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規制緩和が進み経済のグローバル化が一段と進行しています。日本経済はデフレスパイラルに陥り、熾烈な競争下で福祉事業団体の経営は厳しい環境下におかれています。
事業の経営と運動の基盤を一層強化し、この競争に勝ち残り勤労者の生活をサポートしていくため中央労福協は事業団体間のコーディネーターの役割を果たしていきます。
また、各福祉事業団体の利用拡大をはかるため事業団体間の提携から合同化への支援を積極的に推進します。併せて中央・地方労福協は連帯を強め労働組合の福祉活動の強化を図るとともに職域・地域における「福祉ネットワーク」の拡充に努めます。
(1) |
高齢者への少額貯蓄非課税制度(マル優)の見直し案が浮上しており、財形制度の存続が危惧されています。労金業態は、財形制度を守るために改めて対応策の検討に着手しています。中央労福協は、この取り組みを支援し労働政策審議会「勤労者生活分科会」や政策要求および関係省庁折衝、政党対策等を通して財形制度の改善の取り組みを強化します。また、確定拠出年金法の施行を踏まえて、労金協会との連携を密にしながら具体的対応策の徹底を図ります。 |
(2) |
各福祉事業団体の生涯取引・利用を推進するとともに退職者・高齢者団体が産別・企業の枠を超え地域福祉活動のネットワークに参画すること推進します。そのため、労働組合・地方労福協が連携し、退職前から年金や介護保険の学習などと合わせて豊かな老後の生きがいづくりをめざし人生のプランナ−として積極的な活動参加を求めていきます。 |
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3. |
福祉セーフティネットの構築 |
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相次ぐ企業倒産・統廃合によるリストラや終身雇用制の廃止・見直しなど雇用と生活不安は増大しています。政府に対し雇用創出政策の強化を求めるとともに、労働組合・福祉事業団体は緊急の課題として「福祉セーフティーネット」の構築に向けて有効な施策を模索していかなければなりません。特に、福祉事業団体のネットワークを活用した制度開発、制度の運用拡大などについての検討が必要です。中央労福協としては、「事業団体間協同」を推進する視点から「福祉セーフティーネット」構築の課題を追求し実情に応じた取り組みが展開できるよう役割を発揮します。 |
4. |
食の安全確保と自然環境の保全 |
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狂牛病、遺伝子組み換え食品、残留農薬など食に関する不安は益々増大しています。
日本生協連の協力要請を受けて「食の安全」を守るため、中央・地方一体となって広く国民に理解を求める署名運動や地方選出の国会議員に対する要請活動を展開してきました。消費者の視点に立った「食品衛生法」の改正と運用強化等の実現に向けて国会内外の諸行動を引き続き展開していきます。
また、地球環境にやさしい資源循環型の社会・経済システムへの転換をめざし、「ライフスタイルの見直しを考える環境会議」および生協など諸団体の環境保全活動と連携し広範な国民運動の展開に向けた取り組みを進めます。 |
5. |
中小企業勤労者の福祉拡充 |
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大企業勤労者と中小企業勤労者の労働条件や福利厚生制度は、依然として大きな格差があります。低迷している現在の経済状況下ではこの格差はさらに拡大していることから、中央・地方労福協は連携し中小未組織勤労者の福祉拡充に向けた取り組みを推進します。
(1) |
中小企業勤労者福祉サービスセンターの拡充 |
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昨年10月実施した中小企業サービスセンター「取り組み調査」では、多くの課題が浮き彫りになっています。中央労福協は、この調査をもとに同サービスセンターの活動の新たな展開に向けて『中小企業勤労者福祉サービスセンター連絡会議(通称:中小連絡会議)』を専門委員会的な会議として定期開催し以下の取り組みを行います。
1) |
中小企業勤労者福祉サービスセンターの「中期的取り組み方針」を検討します。 |
2) |
未設置県に対し関係省庁、首長、議会等に働きかけ早急に解決をはかるため中央・地方一体となった取り組みを行います。また、国庫補助指定を受けていない団体については指定が受けられるよう引き続き働きかけていきます。 |
3) |
昨年11月に発足した厚生労働省「中小企業勤労者福祉サービスセンターのあり方に関する検討委員会」の報告(2002.3)を踏まえて、中央労福協としての対応策について検討を行い必要に応じて政策・制度要求に反映します。 |
4) |
会員拡大と魅力あるサービス事業の展開に資するため、福祉事業団体の利用を促進し加入の輪を広げます。 |
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(2) |
中小企業勤労者福祉の向上のために |
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1) |
中小企業退職金共済制度は、長引く景気低迷による金利や株価の低水準の推移から責任準備金の積立不足が拡大するなど厳しい財政状況を呈しています。中退金に加盟する労働者の退職後の生活不安を解消し、生活の安定を確保する視点から「中小企業退職金共済部会」の労働組合委員と連携を強め制度の信頼回復に向けて厚生労働省など関係機関へ意見反映します。 |
2) |
中小企業勤労者の福利厚生の向上に向けて、中小企業経営者団体との相互理解を図るため協議の場を設けます。 |
3) |
勤労者福祉諸制度の学習や退職前教育の講習会・セミナーなどへの参加対象を中小企業勤労者にも拡大し地方労福協で開催出来るようその条件整備を図ります。 |
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