貸金業法等改正法案が衆議院本会議で可決、参議院へ

 11月30日、衆議院本会議で貸金業法等改正法案が全会一致で可決され、参議院に送付された。参議院では、12月1日の本会議で趣旨説明と代表質問が行われ、財政金融委員会に付託され、同日に趣旨説明、週明けから質疑が開始される予定である。中央労福協は、参議院での更なる実りある審議と確実な成立を期して、引き続き対応していく。

 午後1時から開会した本会議では、伊藤達也・財務金融委員長の委員会報告の後、民主党の川内博史議員が登壇し、「政府案は不十分な内容の法案だが、本法案の施行状況や3年後の見直しに際して私たちが主体的にコミットしていくため、賛成の立場」から討論を行った。この後採決に付され、全会一致で可決された。
  川内議員の討論要旨は以下の通り。


<民主党・川内博史議員の討論要旨>

○ 民主党は1999年にグレーゾーン金利を廃止すべく法案を提出した。この7年間で多重債務、一家離散、自殺へと追い込まれた方々の心中を察すると慚愧に堪えない。政府・与党としてもっと早く手を打つべきではなかったのか、猛省を促したい。

委員会審議を通じて、貸金業界をめぐる様々な疑惑、癒着の構造が明らかになった。
  日銀の超低金利政策のもとで、あるいは公的資金の注入の恩恵を受けていた大手銀行が消費者金融業界に融資し、庶民に高利で貸し付け、食い物にしていた構図が改めて明らかになった。銀行・地銀・信託・生保等の金融機関からの消費者金融大手5社に対する貸出総額は3兆円を超え、しかも、こうした業界には、この5年間で70人を超える監督官庁(財務省・金融庁・日銀)出身者が天下っている実態が明らかになった。
また、消費者信用団体生命保険については、命を担保にとっていた実態や、自殺率(死因の判明している死亡者に占める自殺者の比率)が大手5社平均で25.5%(4人に一人)に及び、33.3%に達する業者もあるなど、おぞましい事実が次から次に判明した。
  消費者金融業界をめぐる政・官・業の癒着の構造は、想像を絶するものがあり、極めて根深い。彼らは「お金で買えないものはない」とばかりにロビー活動を展開している。しかし、私たちは国権の最高機関として、圧倒的に弱い立場におかれている借り手・債務者・消費者の立場を守り、「お金では買えない価値がある」ということを、国会の意思として示していかなくてはならない。

○ 政府案は、当初の特例高金利、実質的な利息制限法の上限金利引き上げにつながる案を撤回し、大筋では施行時期を除けば民主党の提言にそった方向でとりまとめている。これに対し民主党は5項目の修正案を提出した。 
  とりわけ、非営利の小規模・ボランティアによる市民バンクの活動が存続できるよう、登録にかかる財産的基礎要件を適用しないとした提言については、与党議員からも賛同する声が出ていたにもかかわらず実現をみなかったことは大変残念だ。与野党で合意が形成されつつあった項目について、金融庁当局が修正案を取り入れる作業を進めず、非協力的な姿勢を示したことは遺憾である。
  しかし附帯決議では、NPOバンクの財産的基礎要件の適用除外については3年後の見直しの時点で法律の本則に書き込むこと、修正案の目玉であった無人契約機による新たな借入を抑制することを勝ち取った。また、地方公共団体にカウンセリング窓口を設置すること、資金需要者に対するセーフティネットを拡充強化することなどを盛り込んだ。

○ 政府案では、グレーゾーンの廃止、出資法の上限金利の引き下げという根幹部分を施行前に見直すという、内閣提出法案としてはわが国憲政史上初という不見識な見直し規定があったが、私たちの審議により、「総量規制、みなし弁済規定の廃止、出資法の上限金利の利息制限法金利への引き下げ――という根幹部分は見直すことはない」との山本大臣の答弁を得た。しかしなお、少額短期貸付の特例高金利の創設と利息制限法の金利区分の見直しによる実質的な金利の引き上げという改悪の余地を本法案は残している。しかし、民主党が賛成する以上、私たち立法者の意思として特例金利の創設と利息制限法の実質的利上げはないと申し上げておく。

○ 貸金業制度の改革については、今般の法改正に終わらせず、金融制度の抜本改革も視野にいれ国民的レベルで恒常的に議論を継続していくことが不可欠である。委員会質疑、附帯決議などで政府が約束した事柄については、取り組み状況を厳しく監視し、金融庁等から逐一報告を求めていく。法案に明記された政府を挙げて取り組むとされた「多重債務者対策本部」がいかに行動していくのか、しっかりと見させていただく。


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