貸金業の規制等に関する法律等の一部を
改正する法律案に対する附帯決議

政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

一 上限金利引下げを始めとする改正法の可及的速やかな施行に努めるとともに、カウンセリング体制やセーフティネット貸付の充実、ヤミ金融への取締強化、登録業者への監督強化、金融経済教育の充実など、多重債務問題の解決に向けた対策に政府を挙げて取り組むため、内閣官房に多重債務者対策本部を早期に設置し、関係省庁が連携して、官民一体となった取り組みを推進すること。

一 各地方自治体に対し、多重債務者に対する相談窓口を設置して適切な助言を行い、カウンセリング機関とのネットワークを構築して、必要な紹介を行うなど、多重債務を抱える住民に対する支援体制を整備するよう、要請を行うこと。また、事前予防型カウンセリングと債務整理型事後カウンセリングを共に強化し、資金需要者が適切なタイミングでカウンセリングを速やかに受けられるよう体制の充実と周知を図ること。そのため、日本司法支援センター(法テラス)、財団法人日本クレジットカウンセリング協会等について、弁護士会等に必要な協力を要請しつつ、体制及び相互連携の強化を図ること。

一 無登録・高金利等のヤミ金融被害が増えることのないよう、違法業者の摘発のための体制を整備・拡充し、関係法令に基づく徹底した取締りを行うこと。また、違法業者に関する情報を広く一般から効果的に収集するための手法や、貸金業者・貸金業協会が行政当局に協力する仕組みの導入に努めること。さらに将来的には、法令違反によって得た利益を剥奪できる制度等について検討を進めること。

一 登録業者の監督についても、より効果的に行うための方策を検討しつつ強化を図ること。また、貸金業者の海外進出状況や進出先での活動状況については、海外の関係当局とも情報交換しつつ、その実態把握に努めること。

一 若年者による健全な実需に基づかない不要不急の借入れなど、無人契約機の安易な利用が多重債務問題の一因となっているとの指摘も踏まえ、十分な実態調査の上、安易な借入れを抑制する仕組みを検討すること。また、郊外における遊技施設等に隣接し、各社が集積させている設置方法などについて、貸金業協会による適切な自主規制が行われるよう配慮すること。

一 安易な借入れを抑制するため、テレビ・コマーシャルの放映時間帯、放映回数、及び誇大な看板など広告の方法や内容、頻度について、貸金業協会による適切な自主規制が行われるよう配慮すること。

一 成人後の多重債務化を極力抑制するため、金融経済教育をカリキュラムに組み込むなど、学校段階から家計管理や債務管理についての啓発活動を実施すること。その際、教材等の適切さについては、十分な注意を払うこと。

一 資金需要者に対する公的支援制度等のセーフティネットの拡充・強化については、貸し渋り等による影響を緩和し、ヤミ金融への流出を防止する観点から、地方自治体や関係団体とも協力しつつ、特段の努力を払うこと。

一 総量規制など、今回導入する新たな規制の実効性を確保するため、資金需要者の所得確認、借入状況確認、本人確認等の適切な与信審査が行われるよう、指導監督を徹底すること。

一 市民活動を支える新たな金融システムを構築する観点から、法施行後二年六月以内に行われる見直しに当たり、非営利で低利の貸付けを行う法人の参入と存続が可能となるよう、法律本則に明記することなど、必要な見直しを行う。

一 今回の改正後の多重債務問題の状況も見極めつつ、全ての消費者信用の利用者の保護を徹底するため、貸金業者以外の信販や銀行等も含めた消費者信用全体の体制のあり方等について、検討を進めること。



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