大学の学費の高騰と家計収入の減少により、奨学金に頼らなければ大学に進学できない学生が半数を超えるようになりました。卒業しても、不安定な雇用で充分な収入が得られず、奨学金を「返したくても返せない」人たちも増加しています。
社会人としてのスタートラインから数百万の借金を背負うのは、大変な重荷です。借金苦を避けるため、学びたくても進学を諦めざるを得ない子どもも後を絶ちません。長期におよぶ返済の負担は、若者に結婚や子どもを持つことをもためらわせる要因ともなっています。若者ばかりではなく、子どもの奨学金返済の肩代わりで老後の生活資金を失う親も増えており、世代を越えた社会問題になっています。
貧困の連鎖を絶ち、教育の機会均等を実現するとともに、少子化・人口減に歯止めをかけて持続可能な社会にするためにも、奨学金問題の早急な改善が必要です。
諸外国と比べてみても、日本は高等教育に対する公的支出がOECD諸国の中で最低の水準にあり、大学の授業料が有償で国による給付型の奨学金制度がないのは日本だけです。家計による教育費の負担は限界に達しており、将来を担う若者の学びと成長を社会で支えていく仕組みをつくっていくことが求められています。
本年の参議院選挙では与野党の多くが給付型奨学金の創設を公約に掲げ、政府の一億総活躍プランにおいても給付型奨学金の創設に向けて「検討を進める」ことが盛り込まれました。ぜひとも、この機をのがさず、貸与から給付へ、有利子から無利子への流れをつくり、当事者の声を反映したよりよい制度に改善するとともに、学費を含めた教育費負担の軽減を実現していただきますよう、以下を要望します。