活動報告
報告日:2008-11-19
県労福協が村井知事に県政要請する
 
活動期間 2008年11月19日(水)~2009年12月31日(木)
内   容
この画像はクリックすると大きな画像を閲覧できます。
村井知事へ安心と信頼できる福祉政策を要請
この画像はクリックすると大きな画像を閲覧できます。
関係部局との具体的な内容についての意見交換
長野県労働者福祉協議会県政要請報告
 2008年11月18日(火)、平成20年度県政要請が長野県庁知事室に於いて実施され、県労福協としてまとめた多重債務者対策、介護に関する対策、医師不足対策等8項目を要請した。今回も昨年と同様に知事懇談会と 関係部局交渉の2段階形式で行われた。
 最初の知事懇談会は、県庁第三応接室に於いて行われ、冒頭県労福協近藤理事長が、「県労福協は、“人と暮らし、環境に優しい福祉社会の実現”をスローガンに、構成団体の連携・調整をはかり、安心して生活できるネットワークづくりの実現を目指し活動している。今回、労働者福祉と安心・安全の立場から、県政への提言としてとりまとめたので、厳しい財政事情の中でご苦労いただくかと思うが、対応をお願いしたい。」と県労福協を代表して挨拶を行った。
 引き続き県労福協青木専務理事が村井知事に対し、「世界の金融危機のあおりを受け、県内企業は人員削減が行われ、労働者の置かれている厳しい現状失業者が増え、生活苦による謝金などの多重債務が増大している、また、厳しい子育てや介護の現状、そして、医療の医師不足対策等、早急に対応すべき深刻な課題が山積している。」と、今回の要請書の趣旨説明を行うと共に、知事として任期の前半が経過した中で、労働者福祉関わる県政の目指す方向や政策について考え方を伺った。
これに対し村井知事は、「サブプライムローン問題に端を発し、金融不安が広がり世界経済が混乱し、県民の生活にも大きな影響を与えている。県としては、それらの対応として、知事専決事項で、緊急対策費を計上し、早急な対応に努めている。又、福祉をはじめとする県行政をとりまく現状としては、医師不足問題、介護の問題、食品偽装問題を始めとする食の安全対策等、多くの課題を抱えており、安全で安心して暮らせる環境づくりが必要であると認識している。」 と回答された。
 知事懇談会の後の社会部長・関係各課交渉は会場を8階会議室に移して行われた。県労福協近藤理事長、荒井商工労働部長の挨拶に続いて、青木専務が8項目における、要請内容について要請書の趣旨を具体的に説明を行った後、要請事項に関して該当各部ごとの具体的回答質疑に入った。
 尚、要請事項に対する回答は、正式には後日書面にて開示されるが、複数の部局に関わる事項は各部局が連携して対応する事がその場で確認された。

長野県労働者福祉協議会県政要求 知事回答要旨
1 労働者福祉の積極的な推進について
 労働者の置かれている厳しい現状と社会環境の変化により、多重債務対  策、介護に関する対策等、早急に対応すべき深刻な課題が山積していま  す。
 多重債務対策については、昨年「長野県多重債務者対策協議会」を立上  げ、すでに対策会議を4回開催し、前向きに対応をしてきました。その  間、県下5箇所の消費生活センターでの「多重債務者無料相談会」や、  「セーフティネット融資についての検討会」開催等一定の評価はできるも のの未だ不十分であり有効な施策を講じていただきたい。又、介護に関し ては、介護従事者の処遇が一向に改善されず、なり手が減少し人手不足が 懸念されている問題や、介護施設に不足に対応した整備充実等、県として の対策強化が望まれます。
 上記内容を含み、知事として任期の前半が経過した中で、労働者福祉施策 に関わる県政の目指す方向や政策についてお聞かせいただきたい。

知事回答 ○急激な世界的規模の経済減速の中で、輸出が落ち込み、我が国 の実体経済、国民生活に深刻な影響を及ぼしておりまして、長野県におい ても企業の業績や雇用の面で影響が出てきております。
  国では、緊急経済対策や追加経済対策を発表しておりますが、県として もそれらに対応するなど県内経済を支えていくことが大きな課題だと考え ております。
  
 ○ また、福祉をはじめとする県行政をとりまく現状としましては、ヤミ 金融・振り込め詐欺などの悪質商法、少子高齢化の進行による介護の問  題、産科・小児科を中心とした医師や看護師不足への対応、食品偽装問題 を始めとする食の安全、などの課題があると考えており、安全で安心して 暮らせる環境を構築していく必要があると考えております。

 ○ 若年失業者やフリーター、ニート等の就職支援については、ジョブカ フェ信州において取り組んでおり、平成19年度においては、ジョブカフェ 信州を利 用して就職した若者814人のうち、95.8%に当たる780人を常用 雇用に結びつけたところです。

 ○ また、少子化が進行する中で、仕事優先の働き方を見直し、仕事と生 活の調和を大切にする、いわゆる「ワークライフバランス」の促進が重要 視されているところです。 
  県では、今年8月に、「ながの子ども・子育て応援県民会議」を設立  し、仕事と家庭の両立を支援する就業環境づくりを主要テーマに掲げ、県 民が一体となって取組むこととしたところです。
  さらに、昨年度から「仕事と子育て両立支援推進事業」として、セミナ ーの開催や表彰、登録制度などを実施し、両立の促進に向けた普及・啓発 を進めております。


長野県労働者福祉協議会県政要請-各課回答の要旨

2.多重債務者対策の積極的な推進について
   ①、②、③、④ 【生活文化課】⑤【地域福祉課】          
 県では昨年7月18日に、全国に先駆けて「長野県多重債務者対策協議会」を立ち上げて、25の団体、機関と連携し対策に乗り出し1年が経過しました。その間、協議会の構成団体等と協議しながら徐々に対策が進んできたが、多重債務者対策に関わる施策は未だ不充分であり、有効な施策を講じられたい。
 ①昨年長野市において「多重債務対策相談室」が設置されたが、全市に於いて同様の窓口が設置されるよう、県として引き続き指導強化願いたい。
                                 
回答・多重債務問題に係る相談体制・内容の充実につきましては、従来から 県は市町村にお願いしているところです。
 ・本年9月末現在、19市のうち18市で相談窓口を設置していると承知して います。今後も市町村の相談体制・内容の充実についてお願いしていきた い。

 ②県下5箇所の消費生活センター等で多重債務に関する相談を受けられる が、更に相談窓口を増やすために、消費生活センター未設置の地域に於い ては、地方事務所内に相談窓口を設置願いたい。又、現行の相談時間・実 施曜日拡大や人員体制等充実を図られたい。

回答・本年9月末現在、県下5箇所の消費生活センターに加え62市町村で相 談窓口を常設していると把握しています。相談窓口のない市町村について は、県の消費生活センターに相談者を誘導していただいており、地方事務 所への相談窓口の設置は現在考えていません。
 ・相談時間・実施曜日拡大については、考えていませんが、相談員に対す る研修は今後一層充実しまして、弁護士・司法書士による無料相談会も充 実していきたい。

 ③県労福協の「暮らしサポートセンター事業」に於いて、年2回定期的に 県下一斉・13箇所で実施予定の「多重債務者無料相談会」への財政的支 援を願いたい。

回答・相談会の周知等については、多重債務者対策協議会の一員の立場とし て協力していきたい。
 ・県消費生活センターでは、相談体制を整備しており、加えて弁護士・司 法書士による無料相談会も開催していますので、他の団体が実施する相談 会への財政支援は考えていません。

 ④多重債務整理のための資金や、多重債務問題解決後の生活再建資金に関 する勤労者向けの「県によるセーフティーネット融資制度」の新設、もし くは、「金融機関がセーフティーネット融資」を行う場合の損失補償制度 の新設をされたい。

回答・多重債務者の生活再建支援のためのセーフティーネット貸付けの主体 としては、国の多重債務問題改善プログラムでは、NPOなどの非営利機 関や労働金庫などの民間金融機関に期待しているところであり、県も同様 の考えです。
 ・現在、長野県多重債務者対策協議会において多重債務者対策のセーフテ ィーネットについて研究しており、引き続きその研究について協力してい きたい。

 ⑤社会保障の最終的なセーフティーネットである「生活保護」について、 福祉窓口担当者が断ってしまう事例があると聞いている。本来受けられる 生活保護が受けられず高金利貸付に手を出してしまうような事態が発生し ないように、県として生活保護の本来のあり方を検証し、併せて現場の福 祉担当者への指導を再徹底されたい。

回答・生活保護の窓口対応については、国では、相談者の申請権の侵害の防 止の徹底を図るということで、本年3月31日付で保護の実施要領を改定し  て、「保護の開始申請等」の新たな項目が設けられ、保護の申請時におけ る取扱いが明示されたところです。
 ・具体的には生活保護に関する相談者の申請権の侵害はもとより、申請権 を侵害していると疑われる行為も全面的に禁止されました。
 ・さらに、保護の申請時には申請意思を福祉事務所側から確認するという ことが義務付けられ、申請の意志が確認された場合には、速やかに申請書 を交付しまして、法に定める申請手続きを開始するという取扱いが本年4 月から定められています。
 ・県では、新任・現任ケースワーカー研修、査察指導員の会議、及び毎年 全福祉事務所を対象に実施する指導監査などを通じ、この趣旨の徹底を図 っているところです。


3.介護に関する対策について                   【長寿福祉課】
 介護については、介護従事者の処遇改善や介護保険制度の利用者側の理解 のための指導、介護施設の整備、増設など課題が山積しています。県とし て改善のための施策を講じられたい。
 ①県が実施している介護サービス情報公開システムは、サービスを利用し たいと希望する人が使えるようになっていないように思われる。システム の改善を図り、有効利用促進に努められたい。

回答・このシステムは平成18年度から運用開始した全国共通のシステムで  あり、どんなものを公表するか、どんな画面にするかなども厚生労働省令 で定められているため、県において公表項目等を独自に追加や削除するこ とができない仕組みとなっています。
 ・この制度のあり方については、国の審議会でも議論されており、厚生労 働省では、制度の評価をしながら平成21年度以降に制度を見直すことが必 要との見解を示しており、その状況を注視しながら対応してまいりたい。

 ②現在介護施設は不足状態であり、将来の要介護者の増加を想定した福祉 施設拡充計画を聞きたい。又、在宅介護を基本とした場合に、それを補完 する意味での介護施設の整備充実を要望する。

回答・介護保険制度は3年ごとの計画となっており、今年は見直しの年とな っています。市町村の介護保険事業計画で保険料を見ながらどの位のサー ビスを提供するのかを決めて、県ではそれを積み上げる形で、県内にどの 位の施設が必要かを県の計画で決めていくことになります。
 ・今度の計画が第4期になりますが、市町村の意向を尊重し、将来の要介 護者の増加が見込まれる中で、それを踏まえた計画を作ってまいりたい。

③介護従事者の処遇改善が見られないことから、従業員の離職、人手不足 等慢性的な就業環境の悪化がみられる。さらに昨今の燃料費の高騰によ  り、ガソリン代負担増が訪問ヘルパーに転化されたり、事業所の持ち出し となったりする状況がある。次年度報酬改定の準備が進められている状況 から、県としてもこうした緊迫した実情を把握し、国への働きかけを願い たい。

回答・介護報酬単価の改正に際しては、福祉現場において質の高い人材を  安定的に確保できるよう経営面・労働面を反映したものになるよう、繰り 返し国に要望を行っています。
 ・10月末の政府・与党の会議では3%のプラス改定、及びそれに伴う保険 料上昇を抑えるための被保険者負担分を国費で軽減する案も出ているとこ ろです。
 ・3%は平均値であり、地域差とかサービスの種別ごとの違いもあり、現 在、介護報酬の改定について社会保障審議会で議論されているところで、 詳細は今の時点では分からない状況です。
 ・国のスケジュールでは12月中旬位には、報酬に関する基本的な考え方を まとめるということなので、その状況を見守ってまいりたい。

④在宅訪問サービスにおいては利用者や家族からの保険制度外の要求がし ばしば見られる。利用者側に制度の理解がないと、利用者とのコミュニケ ーションを条件とする訪問ヘルパーがサービス提供と制度の板ばさみの状 況に置かれたり、事業者間でサービスにバラツキが生じたりしかねない。
 行政として、市民への啓蒙またケアマネージャーの研修等を通じ、現場に 負担や混乱が生じないようなきめ細かな対策を願いたい。

回答・介護サービス利用の前提となるケアプランは、利用者や家族の同意  を得た上で、介護保険外のサービスを含む総合的な介護計画として作成さ れる一方、実際にサービスを利用する際には、サービスの内容について事 業者から十分な説明を受けることとなっています。
 ・平成18年度以降、ケアマネジャーとして働くことができる期間の更新制 度ができたこともあり、県も更新に必要なケアマネジャーに対する研修会 をやっているほか、毎年、業としてケアマネジメントをやっている方に対 しては、集団指導という形で研修を行っており、そういった機会を通じて ケアプランを適切に作ることや、利用者・家族への十分な説明等の研修を 行ってまいります。
 ・市町村ごとにある地域包括支援センターでも研修を実施しているので、 住民への制度の周知を徹底してまいりたい。

4.医療の安心・安全対策について 
(1)①【病院事業局】(1)②、③、(3)【医療政策課】 
(2)、(4) 【医師確保対策室】 
(1) 県民の求める医療提供体制確立のため、公的責任を明確にした医療の確 保を図ること。
① 県立病院を「地方独立行政法人化」するのではなく、県民が健康で安心し て地域に暮らし続けられるため、県立病院の一層の充実をめざされたい。

回答・医師不足、看護師不足で新たな診療報酬の改定という状況の中で、医 療を取り巻く環境が急速に変化してきており、県立病院についてもこのよ うな変化に迅速に対応できるような形でないと地域医療は守れないと考え ています。
 ・県立病院の経営形態については、本年9月に県行政機構審議会から、独 立行政法人化することが最もメリットが大きいとの答申をいただいていま す。
 ・例えば、短時間労働勤務者を正規職員として採用するなど、柔軟な勤務 形態の導入が可能となり、医師や看護師などの医療従事者が確保しやすく なります。また、医療系事務職員として専門性の高い診療情報管理士を正 規職員として採用することが可能となり、患者の受診動態を客観的にきち んと把握することにより、診療機能としての県立病院の特徴や弱点などを 客観的に評価・検証・改善することが可能となり、これまで以上に高い水 準の医療サービスを提供することができるようになります。
 ・県の審議会では、今後とも県立病院としての役割を果たし続けていくこ とを前提条件とし、今後も地域住民に対して「安心で質の高い医療サービ ス」を将来にわたり提供することを前提条件として審議してきたところで す。
 ・県としてもこの答申を受け、引続き地域の中核、地域医療の拠点、精神 病院の中核あるいは高度小児医療の拠点としての役割を担い、地域の住民 が安心して病院にかかることができるよう、医療を提供していきます。
 ・そのためにも経営形態の変更のメリットを十分に生かし、5つの県立病 院の地方独立行政法人化に向けて検討に着手したところなのでご理解いた だきたい。

② 国のすすめる国民医療削減に歯止めをかけ、診療報酬の引き上げや、不採算医療に対する国の財政措置の引き上げなど、国に働きかけること。

回答・国の予算において、社会保障費の2,200億円の削減が検討されている中 で、医療の分野でも大変厳しい状況だと思っております。
 ・削減の一方で、国は安心できる社会保障制度ということで、重点課題推 進枠を設ける方針で考えているので、地域の医療がしっかりと守られるよ う、要求すべきものはきちんと要求して必要な事業は確保してまいりたい

③ 開業医を含めた地域の医療機関と連携して、地域の産科や小児科、夜間緊急体制の強化のための財政措置を含めた施策を緊急にすすめること。

回答・特に指摘されている勤務医の疲弊防止には、開業医の協力体制を構築 することも一つの方策であり、例えば救急医療の場でそうした取組みをし ている病院に対して支援ができないかなど検討してまいりたい。
 ・産科医療機関の連携については、医療圏ごとに地域の関係者からなる検 討会で、地域の実情に応じた対応策を検討していただいている。現在、そ れぞれの地域で、病院と診療所の機能分担と連携の促進、健診機関と出産 機関との共通連絡票の導入などの取組が実施されており、こうした地域の 実情に応じた対策を支援している。
 ・また、小児の救急医療体制については、県では、地域の開業医と病院の 勤務医が協力して夜間の小児初期救急診療を提供する施設の支援、夜間に 小児患者の保護者等の相談に応じる電話相談事業(#8000)、小児の急病時 における知識の普及啓発を実施しています。

(2) 医師不足改善の緊急対策の一層の強化と、医師の過酷な労働実態の改善を実現し、医師確保対策を講じられたい。

回答・根本的に変えていくには医師を増やさざるを得ないのが現実であり、 国が本年6月に公表した「安心と希望の医療確保ビジョン」では、医師の 定員増を認めており、信州大学でも来年は5名増やして110名になる予定で す。
 ・また、県では修学資金を学生に提供しており、数年後からではあるが医 師不足に悩んでいる病院に対して医師を確保していく予定であります。
 ・また、今の医師をいかに辞めないでいただくというのも重要な対策であ り、医療クラークを導入することで、医者の事務的な作業を減らしていく など支援してまいりたい。
 ・また、医者と看護師、薬剤師の役割の明確化を図るなど、複合的な対策 をとっていく必要があります。開業医と勤務医の役割分担をしていく中  で、地域医療の連携を図ってまいりたい。

(3) 深刻化する看護師不足を解消するために、離職に歯止めをかけ、働き続けられる労働条件改善とともに、養成数の拡大や看護師養成所に対する補助金の増額をすること。

回答・看護職員の離職防止、離職した人の現場復帰には、職場環境の改善を 求める声が強いということで、院内保育所やナースステーションの改良、 ナースバンクの運営など多角的な視点で施策を組み合わせて取り組んでい るところです。
 ・ 民間の養成所でも佐久大学、長野看護専門学校などに新規養成科がで き、定員は100人を超える増加という状況なので、密接な連携をとりながら 看護人材の確保に取り組んでまいりたい。

(4) 女性医師をはじめとする女性労働者が医療分野では重要な役割を担って います。子育てしながら働き続けられるよう、公的保育保障の充実および 院内保育所への財政措置を大幅に拡充すること。また、均等待遇による短 時間勤務の導入や産休・育休・育児期の代替対策、育休明けの研修制度な どの対策について財政措置を講じること。

回答・子育てをしながら働き続けられる環境整備が重要な課題だと考えてお り、院内保育所、病時・病後時の保育に関する各病院の取組みを引続き支 援してまいりたい。
 ・ 短時間勤務の導入については、そういうことが選択できるような環境 づくりに努めてまいりたい。産休・育休についても、病院によってはうま く使いきれていない実態があると聞いているので、県としても病院と一緒 に対応を検討してまいりたい。

5.中小企業勤労者等の福祉の向上について             【労働雇用課】
中小企業勤労者等の福祉の向上について方策を講じられたい。
① 国庫補助金の廃止に伴い、勤労者互助会・共済会、および中小企業勤労 者福祉サービスセンターは、自立化・広域化にむけて努力をしている。市 町村における中小企業勤労者の福祉の維持向上に向けて、県が積極的な役 割を果たすよう要望する。

回答・県市町村勤労者互助会・共済会連絡協議会では、各勤労者互助会・共 済会のサービス向上に向けた取組の情報交換や、自立化・広域化に向けた 研修会や情報交換を行う中で、様々な取組みを図っているところでありま す。
 ・ また、県としましても、ご要望を受けて昨年度から加入啓発用のパン フレット作成の予算を確保し、統一パンフレットとチラシを作成して、企 業等へ配付しているところであり、今後も市町村と連携してPRに努めて いきたい。

② 勤労者互助会・共済会、および中小企業勤労者福祉サービスセンターの強化に向けて各地区の労政事務所を通じて指導されたい。

回答・労政事務所長については、県市町村勤労者互助会・共済会連絡協議会 の各支部の参与として関与していますが、20年度からは、労政事務所の職 員も支部の事務局次長として関わることになりました。体制を強化しなが ら、支部活動に参画しまして、各互助会・共済会の強化に向けた支援に努 めてまいりたい。

6.食の安心・安全対策について
(1)①、③【食品・生活衛生課】 ②【農業政策課】
(2)【農産物マーケティング室】
 (1) 産地偽装や中国産冷凍餃子中毒等の事件や事故が相次ぎ、食品に対す る消費者の不安は増すばかりであり、食の安心・安全に関して以下の3項 目の実現を要望する。
①全国で20の都道府県が、食品安全に関する条例や基本計画を策定して おり、県としても基本計画、審議会を盛り込んだ「長野県食の安全・安心 条例」の制定を要望する。

回答・現在、食品の安全確保については、食品衛生法や農薬取締法等の現行 法令に加え、「長野県における食品の安全確保のための基本方針」を策定 し、農政部、衛生部等、関係部局が連携し、食品の生産から消費に至る各 段階で厳正な監視・指導や検査等を行うことにより、食品の安全性の確保 を図っております。
 ・しかし、県民に食の安心を提供していくための一つの方法として、仮称 ですが、「長野県食の安全・安心条例」の制定も検討課題であると考えて います。
 ・現在、国では消費者庁の創設が進められており、食品表示法制定などの 動きなどもあるため、他の自治体の状況などを見極めながら検討する必要 があると考えます。

②遺伝子組み換え作物が自然交配によって広がっているという調査もある。自然交配による遺伝子組み換え作物に対する監視活動の強化を図ること。

回答・近年、輸入港周辺において、輸入セイヨウナタネ(アブラナ)の運搬 時のこぼれ落ちに由来すると考えられる遺伝子組み換えセイヨウナタネタ ネ個体の生育が認められるようになったことは承知しています。
 ・平成17年に市民団体が実施した遺伝子組み換えセイヨウアブラナ分布調 査で、長野県でも遺伝子組み換えセイヨウアブラナの生育が確認されたこ とが公表されたことを受け、(独)国立環境研究所で平成17、18年に緊急調査 を実施したところですが、遺伝子組み換えセイヨウアブラナの個体は確認 されませんでした。
 ・なお、環境省において平成15年度から遺伝子組み換えナタネの分布状況 調査が実施されていますので、その動向を注視してまいります。

③ 名産品、土産物品等を中心とした食品の安全性や表示のチェック機能強化を図ること。

回答・長野県では食品の安全性確保を図るため、食品衛生法に基づき、毎  年、長野県食品衛生監視指導計画を策定し、計画に基づき食品取扱施設に 対する監視・指導及び食品の検査を行っています。
 ・ 食品の衛生的な製造・販売や適正表示につきましては、より一層徹底 するよう適切な監視・指導や講習会による営業者の教育に努めてまいりま す。
 ・ また、検査につきましても計画的に実施し、結果に基づく適切な指導 等を実施するとともに、迅速な情報の公開に努めてまいります。

(2) 世界的な食糧危機が懸念されており、WTO交渉も暗礁に乗り上げ、輸入食糧に頼っている日本の食糧需給は一気に悪化している。その中で、地産地消や産直事業は発展する可能性を秘めており、県として遊休農地活用と合わせ、地産地消、産直事業への奨励・支援を要望する。
① 本年4月に県が定めた地産地消推進計画の確実な実行を要望する。

回答・県では、本年4月に「長野県地産地消推進計画」を策定し、これに基づ き5か年計画で地産地消を県民運動として推進してまいります。
 ・具体的には、本年度、地産地消「信州を食べよう」キャンペーンを実施 したところであり、また、イベントやシンポジウムの開催などで県民に対 して地産地消の意識啓発を行っているところです。

② 地産地消や産直事業事例を集約・公表し、優秀事業の表彰制度の新設を要望する。

回答・現在、地産地消についての優良事例に対しては、農林水産省の表彰制 度があり、表彰に応募した事例については、受賞に関係なく国が事例集に 掲載し発表を行っています。
 ・また、学校給食における先進事例についても、国が事例集を作成しHP からダウンロードできるようになっていますので、これらの制度の積極的 な活用を図ってまいりたい。

7.消費者行政の充実強化について                 【生活文化課】
(1) 6月県会において制定された長野県消費生活条例は、消費者の権利を明記し、権利の擁護と自立の支援を理念とし、立証責任の転換や国等が公表した危害情報の提供、消費生活審議会の設置と消費者施策の公表等が盛り込まれた。そうした点で今回の長野県消費生活条例は高く評価できるが、以下の点について要望する。
① 不当取引に対する調査、勧告、公表、特定商取引法に基づく業務停止命令や改善指示の行政処分を行うためには、ノウハウを持った捜査経験者の協力や配置が必要であり、そのための体制整備と人件費予算の確保を要望する。

回答・これまでも県では、経済産業省の実施する研修に参加するなど悪質事 業者に対する指導ノウハウの蓄積に努めているところです。
 ・ご要望の内容は重要と認識しており、来年1月の消費生活条例の施行に あわせ、悪質事業者に対する指導体制の強化に努めたい。

② 全県を網羅する上で、市町村の相談窓口の役割は大きく、又、消費者トラブルや製品危害情報を県民に周知する上でも市町村との連携は不可欠である。定期的な協議の場の設定など市町村との連携を図るための具体的な手立てを講じられたい。

回答・これまでも、市町村への消費生活相談案件については、消費生活セン ターの相談員が助言を行うなど連携協力し対応しています。
 ・特に、新手の悪質商法の手口の紹介など消費者トラブルの拡大防止のた めの情報提供も行っており、市町村と一体となって対策に取組んでいま  す。
 ・市町村の消費生活担当職員や相談員の資質向上と意見交換のため、消費 生活センターや生活文化課で研修会や担当者会議を定例的に開催していま す。
 ・今後は、製品危害情報の周知についても市町村との連携が重要と考えて おり、研修会等の充実を図ってまいりたい。

③ 条例に盛込まれた「国等が公表する危害情報の提供」をどのように行うのか、提供情報の範囲や伝達方法について明確にしないと実際には運用できない。それらを市町村との協議等を踏まえ、明確にされたい。

回答・危害情報全般については、県のホームページや広報紙等により県民に 周知するとともに、市町村に情報提供し、市町村の広報紙、有線放送、ケ ーブルテレビ等での周知をお願いしていきたい。
 ・ 特に情報が伝わりにくい、高齢者や障害者の方を対象に、市町村の協 力を得たり出前講座を活用し、民生委員やホームヘルパーなど、実際にこ れらの方のお宅を実際に訪問される皆さんに情報を提供し、周知を図ると ともに、危険な製品がお宅にないかの「気付き」をお願いしていきたい。

(2) 消費者行政を充実させるためにも、地方自治体の消費者行政部門を自治 体における消費者行政の司令塔機能として整備することと、消費生活セン ターを強化することを要望する。
① 消費者行政部門の人員・財政面の拡充、自治体内の関係部署の連携強  化、行政処分の執行体制強化、相談情報の一元化の仕組みづくり等を要望 する。

回答・要望事項はいずれも重要と認識しています。
 ・ 国も地方の消費者行政の充実を目指しており、消費者安全法案等の動 向、地方消費者行政活性化交付金の予算措置状況を注視しながら、消費者 行政の充実に向けた体制の強化等に努めてまいりたい。

② 消費生活センターが、相談受付から助言・あっせん、紛争解決まで一貫して対応できる消費者相談窓口としての任務を果たせるようにすること。併せて相談員の増員・待遇改善など人員・財政面の抜本的強化支援を要望する。

回答・消費生活センターは、助言により消費者自らが事業者とのトラブルを 解決する手助けをすることを原則としています。これが困難な消費者につ いて、事業者との間に立ってあっせんを行っており、今後も消費者の立場 に立ってトラブル解決を支援していきたい。
 ・ 来年4月に施行されます消費生活条例では、消費者被害救済委員会を 設置することとしており、消費生活センターの活動と一体となって消費者 トラブルの解決が図られるよう運用していきたい。
 ・ 相談員の増員等については、現在は考えていませんが、資質の向上の ための研修の充実等を図ってまいりたい。

(3) 石油製品や食品などの物価高騰への対策を講じられたい。

回答・県として、又、知事会を通じて、国に対策を要望しているところで  す。
 ・ 石油製品の価格の安定と供給の確保については、従来から石油関係団 体へ要請しており、今後も必要に応じて要請してまいりたい。
 ・ 県では、石油製品価格動向調査を毎月実施し、価格動向に注視すると ともに、県民に情報提供しており、今後も継続してまいりたい。

8.NPOへの支援について           【NPO活動推進室】
  NPOの活動資金不足が大きな課題となっているので、県としての支援 策を講じられたい。とりわけNPOの活動に対する融資を行っている「N PO夢バンク」の果たす役割は重要であることから、現行の1,000万 円(無利子・融資日平成16年8月・期間5年間)の融資について期間延 長をされたい。

回答・この制度は、比較的低金利で、短期間の融資にも対応しており、NP Oの設立支援や経営安定化に貢献しているものと認識しています。
 ・NPO夢バンクを含めた金融機関によるNPOに対する融資は、以前に 比べて少しずつ進んできていますが、活動期間が短いといった理由等で借 り入れができない状況もありますので、NPO夢バンクの果たす役割は大 きいものと認識してます。
 ・平成21年8月以降の期限経過後の扱いについては、NPO夢バンクの貸付 原資、貸付残高の状況及び融資の見通し等を充分検討して、対応してまい りたい。











添付資料
戻る >>