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第5回(202号/6月号)
労福協をコーディネーターに―「協同が輝く」社会へ―
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2010年7月「就職のための日本語講座」終了後の交流会
●「誰もがたすけあう大きな家」をめざして
障がい者のための自動車運転免許特別講座の記事が地元新聞の朝刊に掲載されたその朝に、県南の教育委員会から「町民から、障がい者に免許を取らせて事故が起こったらどうするのかとの声がある。主催者としてどう考えているのか」との電話がありました。「自動車免許はダブルスタンダードですか?」と問い返すとはたと気がついたようでした。ノーマライゼーションが言われて久しい中での出来事です。私は未だ遠いと感じました。
この運転免許特別講座は、2002年に開催された障がい者就業生活支援フォーラムで「息子が免許を取ろうと頑張っているが、実技は合格しても学科が難しくて困っている。何か良い手立てはないか」との発言がきっかけでした。パネラーとして出席していた私から「関係者・団体が知恵を出して連携すれば可能だと思う。具体的な相談をしましょう」と答え、その後に労福協がコーディネーターを務め、①講師は教習所の労組OBの指導員②サポーターはボランティア③会場は市町村④教科書は教習所がそれぞれ受け持ち、運営委員会が発足することとなりました。南部、北部をスタートとして県内4か所でそれぞれ50回の講座開催となりました。
現在までに507名が受講し、普通免許166名、バイク28名が合格し、職域の拡大につながっています。合格者の一人は「徳島人生たすけあい家」の市民団体を立ち上げ、多くの人たちの協力を得て、資源ゴミを回収し、その収益をハートフルゆめ基金などに寄付して「誰もが人生をたすけあう、大きな家」をめざして活動しています。
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徳島講座 閉講式
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修了生が始めた『人生たすけあい家』
●「日本一、外国人が活躍する徳島」をめざして
また、県内在住の外国人が6000人を超え、定住外国人の就職は大変厳しい状況にありました。その当時、県内では就労のための日本語講座は開かれていませんでした。
県内で活動する「JTMとくしま日本語ネットワーク」の事務局を労福協に置いていたこともあり、2009年に日本語教師ボランティアのJTMとのコラボにより「外国人の就労のための日本語講座」を開講することといたしました。
現在では介護・運転免許・日本語検定、ビジネスマナー講座など在住外国人のための総合的な就労・生活支援に取り組んでいます。現在までに20ヵ国、305名が受講し、85名が就職に結びついています。
この取り組みの最大の特徴は、開始直後から「在住外国人の就労・定着促進連絡協議会」を設置していたことです。県・労働局をはじめ、教育委員会、国際交流協会、JTM、観光協会、老人保健施設、労・使団体などが参加し、「日本一、外国人が活躍する徳島」へ向け連携をはかっていることです。今後、さらに大きな役割を果たすこととなると思います。
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外国人就労定住促進連絡協議会(2023.08.04)
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グローバルフェア(2023.09.07)
●労福協がコーディネーターとして「協同が輝く」社会へ
日本社会は、超少子高齢化による急速な人口減少社会に転じ、大きな社会課題となっています。入管法の改正、外国人技能実習制度の廃止、新たな特定技能制度など大きな変化の時代を迎えています。
改めて、人間の尊厳を第一とした多様性のある共生社会へ向け、労福協はコーディネーターとして、さまざまな分野の人たちとの協働で「協同が輝く」未来へ向けさらなる奮闘が求められていると思います。
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久積 育郎 さん
公益社団法人 徳島県労働者福祉協議会 元会長
徳島県阿南市生まれ。1996年5月から、社団法人徳島県労働者福祉協議会専務理事、2008年5月から同会長に就任。2011年5月から財団法人徳島県勤労者福祉ネットワーク理事長に就任し、この間、ファミリーサポートセンター、若者サポートステーション、ジョブ無料職業紹介所、なのはな介護支援センター、勤労者福祉サービスセンター、シニアNPO壮生、NPOフードバンク、社会運動資料センター、NPOこども食堂ネットワークなどの設立に取り組む。現在は、徳島県勤労者福祉ネットワーク理事長、認定NPO賀川豊彦記念・鳴門友愛会理事長を務める。