連載

第3回(200号/4月号)

公労使の三者構成による財団法人勤労者福祉ネットワークの設立

財団設立20周年記念大杉漣ふるさとコンサート(2016年10月6日)

財団設立20周年記念大杉漣ふるさとコンサート(2016年10月6日)

●“全部食べてしまった”ゼロからのスタート

 ゼロから出発した徳島県労福協の最大の特徴は、公労使の三者構成による財団法人の設立であります。そもそもは労金、全労済を中心とする労働者福祉事業の出資・利用配当などの果実を全部食べてしまった中からの「福祉基金」構想としてのスタートでした。
 静岡・山口・富山県労福協などの視察の中で、全国の労福協は果実を積立て新たな事業対策や福祉政策研究へ向けた「福祉基金」を設けていることを知りました。ほとんどが労働者福祉事業体での設置でしたが、その中で山口県労福協など数県で県・市町村との共同で基金を設けていました。
 そこで私たちは、全部食べてしまったゼロからのスタートならば労働者福祉を共通の目的とする公労使の三者による福祉基金の財団を創ろうと考え、1995年の第3回労働者福祉メーデーで三者構成による財団法人勤労者福祉ネットワークの設立基本構想を確認し、1996年12月17日の設立認可に至りました。設立に際しては“いつでもどこでもだれでも”が利用できる勤労者の総合福祉のネットワークをめざすことといたしました。

●“うちの子も、よその子も、まちの宝”の子育て支援

 最初に取り組んだのは子育て支援事業でした。1999年に四国で初めて徳島市ファミリーサポートセンターを設立し、2002年には全国初の広域自治体設立の板野東部ファミサポもスタートしました。現在は県内子育て世帯の9割をカバーする8ヶ所のファミサポと6ヶ所の子育て広場を運営しています。また、病児・病後児預り、ファミサポ利用助成基金、子育て支援員養成講座など、“うちの子も、よその子も、まちの宝”の子育て支援に取り組んでいます。

徳島ファミサポ開設(1999.09.01)

徳島ファミサポ開設(1999.09.01)

板野東部ファミサポ開設(2002.07.01)

板野東部ファミサポ開設(2002.07.01)

●“中小企業が元気になれば地域が元気になる”の中小企業支援

 中小企業勤労者福祉サービスセンター(あわーず徳島)は未設置4県の中での2002年設立ではありましたが、「活性化・広域化・自立化」基本構想を策定し、全国で初めての選択可能な四つの会員制度や新人マナー研修、心の健康相談室の設置などにも取り組み、現在では1,100事業所、15,000人会員となっています。
 コロナ禍では全会員へのマスクの配布、ワクチンの集団接種、更にはJA産直市とのコラボによる農家支援にも取り組みました。公務職場における年度任用職員の加入拡大にも取り組み、“中小企業が元気になれば地域が元気になる”をモットーに2万人会員をめざしています。

あわ〜ず第1回運営委(2002.12.03)

あわ〜ず第1回運営委(2002.12.03)

あわ〜ず第8回交流会(2020.01.19)

あわ〜ず第8回交流会(2020.01.19)

 また、地元のタウン誌と連携してスタートした県民生活応援の「クーポン丸。」、更には“ほっとけん、なんとかできんか、なんとかせな”の市民活動を応援するソーシャルファンド「ハートフルゆめ基金」や外国人とのユニバーサルカフェ“つながり”なども実施しています。

くーぽん丸。若者の見方(徳島新聞2009.04.15)

くーぽん丸。若者の見方(徳島新聞2009.04.15)

基金設立(徳島新聞2014.09.23)

基金設立(徳島新聞2014.09.23)

 財団設立25周年を迎え、改めて賀川豊彦の「友愛・互助・平和」の精神に基づき、労福協と共に働く者のライフステージに対応した総合的な労働者福祉をめざしています。

久積 育郎 さん

公益社団法人 徳島県労働者福祉協議会 元会長

徳島県阿南市生まれ。1996年5月から、社団法人徳島県労働者福祉協議会専務理事、2008年5月から同会長に就任。2011年5月から財団法人徳島県勤労者福祉ネットワーク理事長に就任し、この間、ファミリーサポートセンター、若者サポートステーション、ジョブ無料職業紹介所、なのはな介護支援センター、勤労者福祉サービスセンター、シニアNPO壮生、NPOフードバンク、社会運動資料センター、NPOこども食堂ネットワークなどの設立に取り組む。現在は、徳島県勤労者福祉ネットワーク理事長、認定NPO賀川豊彦記念・鳴門友愛会理事長を務める。

戻る

TOPへ