連載

第2回(199号/3月号)

一人暮らしを一人ぼっちにさせない!―高齢者福祉へスタート―

ボランティア友の会ひまわり 百歳健康体操

ボランティア友の会ひまわり 百歳健康体操

●労働者福祉メーデーの開催

 遅れてのゼロからの出発は、1992年の『ゆとり宣言』フェスティバルと翌年の第1回労働者福祉メーデーから始まりました。ゆとりフェスタは、県・労働局・経営団体・労働(福祉)団体での共同事業としてスタートし、山口県労福協に見習って開催の労働者福祉メーデーは、労働者福祉の研修を通して、課題の研究とその実現へ向けたアクションを起こすことにより、県労福協の新たなスタートに大きな役割を果たしました。第3回で紹介する公労使の三者構成による財団法人徳島県勤労者福祉ネットワークも、この中から生まれました。

ゆとり宣言フェスティバル街宣(1991.11.06)

ゆとり宣言フェスティバル街宣(1991.11.06)

第1回労働者福祉メーデー(1993.11.11)

第1回労働者福祉メーデー(1993.11.11)

●『2007年問題』から始まった高齢化社会の取り組み

 高齢者社会へ向け『2007年問題』が大きな社会問題となり、2000年4月からドイツ方式による「介護保険」がスタートすることとなりました。その2年前の1998年1月から、全労済と共催でホームヘルパー養成講座を開始しました。当時の受講生は、①家族の介護に備えたい、②介護の仕事に就きたい、③ボランティア活動に活かしたい、がそれぞれ3分の1でありました。
 この取り組みの中で、社会福祉士会の皆さんとの出会いがあり、介護保険時代における高齢者福祉の拡充へ向けた福祉セミナー、福祉なんでも相談ダイアルの開設から労福協なのはな居宅介護支援センター・ヘルパーステーションの開設へと繋がり、現在に至っています。また一方で、ヘルパー養成講座の第1期と第2期の修了生を中心にボランティア友の会ひまわりが結成され、さまざまな高齢者施設へのボランティア訪問に取り組みながら、現在でも「うたごえ広場」や「百歳健康体操」など幅広く活躍しています。これらの活動が土台となって、第4回で紹介予定の就労支援のジョブサポート事業へと拡がっていくこととなりました。

福祉セミナーinとくしま7(2009.2.21)

福祉セミナーinとくしま7(2009.2.21)

元気シニアの集い(2009.03.18)

元気シニアの集い(2009.03.18)

●“一人暮らしを一人ぼっちにさせない” シニアNPO壮生の結成

 2007年から団塊世代の定年退職が始まり、日本社会が大きな転換を迎える中、団塊世代の動向は社会の注目でありました。私たちは団塊世代のパワフルでアクティブな”地域デビュー”へ向けて、元気シニアの①生きがいづくり、②健康づくり、③仕事づくり、④居場所づくりをめざすシニアのNPO壮生を労働者福祉関係団体の退職者を中心に結成しました。部分就労・部分年金のワークシェアリングによるNPO壮生は、労働福祉会館の管理運営を受託しながら、健康セミナー、パソコン教室、折り紙教室、シニアカフェなども開催しました。さらに高齢者の社会的孤立が深刻な課題となる中、一人暮らしを一人ぼっちにさせないため、家事援助などの生活サポート事業として「サポート壮生」も設置しました。
 今、一億「総孤立」社会とも言われるさまざまな社会的孤立が深刻な課題となっています。私たち共助のセクターとして労働者福祉の果たす役割は更に重要性を増すと思います。

久積 育郎 さん

公益社団法人 徳島県労働者福祉協議会 元会長

徳島県阿南市生まれ。1996年5月から、社団法人徳島県労働者福祉協議会専務理事、2008年5月から同会長に就任。2011年5月から財団法人徳島県勤労者福祉ネットワーク理事長に就任し、この間、ファミリーサポートセンター、若者サポートステーション、ジョブ無料職業紹介所、なのはな介護支援センター、勤労者福祉サービスセンター、シニアNPO壮生、NPOフードバンク、社会運動資料センター、NPOこども食堂ネットワークなどの設立に取り組む。現在は、徳島県勤労者福祉ネットワーク理事長、認定NPO賀川豊彦記念・鳴門友愛会理事長を務める。

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