第2回(187号/3月号)
労働組合が地域とつながるネットワークSAITAMA21運動に取り組んでいます。
2003年9月、中坊公平氏を座長とする連合評価委員会からの最終報告が出され、「労働組合は自己変革を図るとともに、NPOという組織の研究を進め、連携を深め、柔軟な組織のあり方を模索してゆくことが求められる。連合は独自のネットワークを全国に張り巡らせており、全国に点在するNPO、NGOをつなぎ、ネットワーク形成の中心となることが可能な存在である。市民としての新たな連帯を形成することが可能であり、そしてまた、そのことにより、新たな活力を労働組合・運動に呼び込むこともできる。」と提起されました。
● 2004年、「ネットワークSAITAMA21運動がスタート!!
この中坊報告を受けて、埼玉では連合埼玉と埼玉労福協が推進母体となって、「ネットワークSAITAMA21運動(以下「ネット21運動」)」をスタートさせました。「ネット21運動」は、NPOの中間支援NPO法人であるさいたまNPOセンターと連携して、働く者と地域の市民が出会い、お互いが理解しあって、勤労者の生活と暮らしをともに支え合う「共生の地域社会づくり」をめざす新たな自主福祉運動と位置付けられました。
この運動の特徴は、連合組合員や事業団体職員、NPO団体に500円の寄付を頂き、それを原資に様々な地域活動を行うところにあります。埼玉労福協は連合埼玉とともに事務局となり、以下の事業に取り組んでいます。
● 地域とつながる3つのプログラム
① ライフサポートプログラム
労働組合や事業団体から依頼を受けて講師の選定・派遣(出前講座)を行い、講師費用の一部を補助しています。
② ボランティアサポートプログラム
ボランティア人財バンクへの登録、地域活動紹介に取り組み、「自然環境ボランティア促進事業」として、組合員や家族を対象とした自然体験教室を実施しています。
③ NPOサポートプログラム
NPO団体に毎年パソコンを寄贈しています。2007年度から現在まで157台のパソコンを寄贈しました。 また、NPO団体の活動を知るための「NPO訪問ツアー」やNPO団体と労働組合が交流する地域セミナーを開催しています。また東日本大震災被災者・避難者を支援する特別事業として「ママランチ会」や「バーベキュー交流会」を開催したりしています。
● 評議員会と運営委員会を設置して運営
「ネット21運動」は、連合埼玉や埼玉労福協、労働金庫やこくみん共済coopなどから選出された評議員会(年1回)と運営委員会によって運営されています。
● ボランティアカードで寄付集め
どんなに素晴らしい事業でも財源がなければ「絵に描いた餅」です。「ネット21運動」は、組合員や福祉事業団体職員の寄付(500円を寄付してボランティアカードを購入する)によって賄われています。ボランティアカードは10,000人以上の方が購入しています。
● 「ネットカード」協力者は各種のメンバー優待でお得!
組合員は「ボランティアカード」を購入することで、リゾート倶楽部や各種の会員特典を受けることができます。
これまで、「ネット21運動」は紆余曲折がありました。連合埼玉と埼玉労福協はともかく、NPO団体の文化を理解するにも、NPO団体に労働組合を理解して貰うのにも多くの議論と時間が必要でした。
しかし、「ネット21運動」のおかげで多くの組合員が現役時代にNPOを知り、地域の課題を知ることができました。永田自身もNPOサポートプログラムでパソコンを寄贈したNPO団体と出会い、微力ではありますが、外国人支援の活動に参加することができました。
東日本大震災のような「いざ」というときに、速やかに被災者・広域避難者の支援できたこと、11年間にわたって生活困窮者やNPO団体への支援を継続できたのは、「ネット21運動」という助け合いの仕組みの存在が大きかったと思います。
NPO団体へのパソコンの寄贈(2020年11月17日)
永田 信雄 さん
一般社団法人 埼玉県労働者福祉協議会・前専務理事
1976年 9月
埼玉労働金庫(現中央労働金庫)入庫
1983年10月
埼玉労働金庫労働組合
(現中央労働金庫労働組合)書記長
2001年 6月
中央労働金庫労働組合書記長
2010年 3月
(特)埼玉県労働者福祉協議会に出向し事務局長となる。
2015年 3月
中央労働金庫を定年退職し再雇用嘱託
職員として埼玉労福協出向
2015年 5月
一般社団法人埼玉県労働者福祉協議会
専務理事に就任
2017年 7月
NPO法人フードバンク埼玉理事に就任
2021年 5月
一般社団法人埼玉県労働者福祉協議会
専務理事を退任
2022年 4月
避難者支援組織「さいたま共にあゆむ会」設立、事務局長となる。