連載

第4回(164号/4月号)

ネットワークで広げる“地域に根ざした”ライフサポートセンターの活動

 2005年の「ライフサポートセンター設置の4団体(連合・労福協・労金・全労済)」合意については多くを語る必要はないと思いますが、2030年ビジョンにおいて、改めてビジョンを実現するための具体策として「地域の様々なネットワークで、支え合い、助け合う地域共生社会をつくる」ことが確認されていますので、現在の取組みにおいてもライフサポート活動の趣旨と様々な団体と連携することの重要性がクローズアップされていると思います。
 静岡県は全国よりも2年早くその取組への重要性を考え、2003年県労福協総会において「福祉事業団体間における相談活動のネットワーク化の推進」が方針化され、翌年総会では「生活相談ネットワークを構築するための協議を福祉事業団体・労働組合と開始し、地域から県レベルへと構築する」ことが決定し、生涯サポート構想について県下8地域で協議を進め、全国の動きと合わせる中で2006年9月に設立されています。
 現在では、3事務所と3サテライトの体制になり活動を進めていますが、その運営上においては設立当初の4団体を意識した推進体制を組んでいます。その一つが、設立4団体と地域労福協会長からなる「ライフサポートセンター運営委員会」であり、円滑な事業の運営を図るために事業の進捗状況を確認し、諸課題に対しての意見交換会として年2回実施しています。「地域に根ざした活動」としての基軸を守るための重要な推進機構です。

LSC運営委員会

LSC運営委員会

 地域において活動をする以上、県・地域の諸関係先との連携は欠かせません。「暮らし何でも相談会」では、電話による相談があった際、課題に対して相談員は自分で対応できるか否かを考え、専門家に任せた方がよいと判断した場合は、PC画面上に表示される分野分類したマトリックスから適切な連絡先を選び出し相談者に伝えます。すべてを引き受けるのではなく適切な専門家に導き良い解決策を提供するというワンストップサービス体制を組んでいます。連携先を多く持っていることにより充実した相談サービスにつながっています。

ライフサポートセンター電話相談の様子

ライフサポートセンター電話相談の様子

 また、2018年度から始めた「奨学金電話相談会」の際には、様々な質問が想定される相談体制をどう組み立てるか、どのようにして多くの人に相談会を知らせるかを考える上ではネットワークが大きな力となりました。相談体制としては、消費者問題等で連携していた「県司法書士会」の力を借り、3日間の相談日全てに司法書士の同席が適い、法律面の問題に対応することができました。さらに、告知面では、地区労福協の行政要望による広報等へに掲載、勤労者共済会の会報への掲載やチラシ配布、県下大学へのチラシの配架、新聞記事掲載(地方紙2紙)、テレビ局情報番組(2局)、県のメールマガジンによる発信などが実現できました。このことは、日常的に広く多くの諸団体とつながっているからこそ実現できた取り組みでした。その結果3日間の相談会においては多くの相談や様々な内容に対応することができています。

奨学金電話相談会チラシ

 1年間で「暮らし何でも相談会」は2,000件を超える多くの相談に応えています。今後は、時代に即した相談体制への見直しも必要であると思いますが、ライフサポートセンター活動を進める上では「ネットワーク」が重視すべきテーマであることは不変です。

大滝 正 さん

一般社団法人 静岡県労働者福祉協議会 前専務理事

静岡県清水市(現静岡市)生まれ。静岡県労金の役職員を経て、2016年6月から3年間、静岡県労福協専務理事に就任。2017年6月からは、福祉基金協会専務理事も兼務。労金在籍時から労福協活動に関わる。役員就任時には、フードバンクふじのくに副理事長や県ボランティア協会理事などを歴任。福祉の活動を会員と共に進めると共に、地域における福祉関係の団体との連携を重視してきた。
現在は、フリーな立場でホームレス支援のビッグイシューの活動をボランティアとして進めている。

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