活動方針
2014~2015年度活動方針
基調(はじめに)
3.11東日本大震災から2年8か月が経過しましたが、被災地での復興・再生も遅々として進んでいません。今日でも、29万人を超える人々が仮設住宅などの避難生活を余儀なくされています。今回の巨大地震、津波、原発事故は社会・経済・政治の在り様、価値観を根底から問い直しています。私たちに「自然の前に科学技術は限界がある」「経済成長は人間の幸せのためにあり目的ではない」ということを突き付けました。他方、この危機の時においても、人と人とのつながり、支え合い、助け合い、連帯が社会の基本であることを改めて実感させられました。
中央労福協は、「連帯」「協同」に基本的価値を置き、東日本大震災からの復興支援を引き続き進めるとともに、労働組合、協同組合の持つ特性を発揮し、労働者福祉運動を展開していきます。
労福協「2020年ビジョン」の折り返し点にあたって
中央労福協は、2009年の結成60周年を契機に、労福協の理念、役割、さらに向こう10年先を展望し、労福協が進むべき方向性を「労福協の理念と2020年ビジョン」という形で共有しました。
私たちは、この間、「2020年ビジョン」で示した活動方向、基本目標( ①国民の共感の得られる社会運動と政策、②地域に根差した活動・ライフサポート、③労働者福祉運動の基盤強化、④協同事業の基盤強化、⑤労働者福祉のウィングの拡大)に向けて取り組んできました。
2014年は結成65周年にあたります。労福協の「2020年ビジョン」の具現化の取り組みの折り返し点にあたります。私たちの取り組みは、未だ始まったばかりですが、労働者福祉の課題は山積しています。結成65周年を迎えるにあたり、労福協の歴史・理念、役割を再確認しつつ、これからの2年間「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」への基盤、システムづくりに重点を置いて取り組んでいきます。
労働者福祉をめぐる環境は変わったか
「労福協の理念と2020年ビジョン」制定時の時代認識は、「暴走した新自由主義が終焉し、さらに政権交代が実現する中で、30年ぶりの時代の転換点」に立っている、というものでした。過去30年間、市場経済至上・拝金主義が蔓延する中で、労働者は必要以上に自己責任、成果主義が強調され、職場の連帯は分断され、不安定な雇用である非正規労働者が増大し貧困、格差が固定、拡大し閉塞的な「希望のない社会」が出現しました。私たちは、こうした社会を克服し、持続可能な社会「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」をめざしていくことを確認しました。
しかし、昨年末の国政選挙で再び自民党政権が復活し、政治状況は2009年以前に逆戻りしました。現政権は、公共事業へ大規模な財政を投入し「人からコンクリート」路線を復活させ、法人税の減税など企業重視の「成長」戦略を進める一方、生活保護基準の引き下げ、抜本的な社会保障制度改革の放置、さらには労働法制の規制緩和など新自由主義的性格を再び強めようとしています。
このような政策は、不安定雇用労働者の増大、労働者間の分断、さらなる格差の拡大、世代間の貧困の連鎖の固定化、ひいては社会の底割れにつながることが危惧されます。
「労働は、商品ではない」「一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である」(フィラデルフィア宣言)というILO憲章を想起し、私たちは「労福協の理念と2020年ビジョン」で示した「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」をめざし、労働組合と協同事業、協同事業間の連携を強め、労働者福祉の総合力を高め、社会運動としての労働者自主福祉運動を展開していく必要があります。
2012国際協同組合年を踏まえて社会的価値の発揮を
中央労福協が「労福協の理念と2020年ビジョン」を確認した同じ2009年12月、国連総会は2012年を「国際協同組合年」とすることを決議しました。この「国際協同組合年」は、国連が「貧困の根絶」、「就労機会の拡大」、「社会的統合の強化」など協同組合が持つ社会的機能を評価し、政府と協同組合関係者に対して「社会経済開発に貢献する協同組合の認知度を高め、さらに政府に対して協同組合の奨励・促進」を求めたものです。
中央労福協は、「協同組合がよりよい社会を築きます」を合言葉とした「国際協同組合年」が、労福協がめざす社会像と重なり合うとして、2012年を、「労福協の理念と2020年ビジョン」の具体化の一環として取り組みを進めました。具体的には、労働者自主福祉団体(協同組合)創設の歴史などの認知度を高める取り組みを進め、利用者たる組合員、労働組合(会員)に対して協同事業の社会的意義を訴え、労働組合と事業団体が「業者とお客様」の関係から「ともに担う運動主体」へと「連帯経済の基盤強化」に取り組みました。この結果、労働者自主福祉事業(協同組合)への認識は、労福協、労働組合役員の一定の層には広まり、また労働組合の運動方針への記載も増加しました、しかし、この社会的認知度は未だ全体化には至っていません。組合員、会員をはじめ、さらに広く社会に認知度を高める取り組みが必要となっています。
ICA(国際協同組合同盟)は、「国際協同組合年」の取り組みを踏まえ、さらに2020年までの協同組合発展のための指針である「協同組合の10年に向けた計画案」(ブループリント)を作成しました。この指針は、「協同組合は経済、社会、環境面でより高い持続可能性をもたらし、他の事業モデルよりも優れている」ことを主張し、実践するものとしてあります。
私たち労福協は、労働組合、構成事業団体の連携のもと「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」の具現化に向け、労働者自主福祉事業、協同組合のもつ公益的機能の発揮・「連帯経済の領域拡大」に取り組んでいきます。
労働運動、労働者自主福祉運動の連携行動の推進 —– ≪利用促進≫ ≪共助拡大≫
新自由主義が世界を席巻し、金融資本が暴走した結果、各国では小さな政府、規制緩和、競争至上主義政策がとられ、所得の再分配は不公正となり格差と貧困が拡大しました。わが国でも、所得再配分機能は劣化し、正規から非正規労働者への置き換え、200万円以下の低所得者の増大、生活保護受給者の急増、貧困の子どもへの連鎖、自殺の増大という「希望なき社会」の中に私たちはあります。
このような労働者福祉をめぐる状況は未だ改善されていませんが、民主党政権のもと、制度的には「生活支援戦略」として「よりそいホットライン(相談)」、「伴走型の就労支援(パーソナルサポート事業)」などの新たなセーフティネットの芽も出てきました。中央労福協は「労働団体・事業団体連携行動委員会」を設置し、「労福協の理念と2020年ビジョン」の具体化に向けた議論を進め、その中で、それぞれの団体の取り組み、課題、今後の具体的連携のあり方について議論を進めてきました。
「労福協の理念と2020年ビジョン」の取り組みの折り返し地点に立って、「労働団体・事業団体連携行動委員会」の「まとめ」を踏まえ、取り組みを進めます。その活動の柱は、これまでの「社会的連帯を深める運動と政策の実現」「暮らしの総合支援事業(ライフサポート)」「協同事業、労働者福祉運動の基盤強化」の3本の柱に、横断的に関わる、①協同事業の基盤強化に向けた利用促進 ②労働者福祉のウィングの拡大をめざす共助拡大運動の2点を重視し労働団体と事業団体の連携行動を通じて取り組みます。
①「協同事業の利用促進」については、労働組合の協同事業に対する理解をさらに深める取り組みを進め、労働組合と労働者自主福祉事業団体との具体的連携に向けた協議を続けます。また、地域段階でも、利用促進に向けた協議の場を持ち取り組みます。
②「共助拡大運動」については、各労福協のライフサポート事業の強化を通じて、地域での「拠り所づくり」(ライフサポート友の会・仮称)のモデル地域の設定に着手します。このための条件整備、選定に向けた関係事業団体、地方労福協との協議を進めます。また、今後制度化が予定される「生活困窮者支援事業」については、真に生活困窮者を支援する制度となるよう、政府、自治体への取り組みを行い、各地域での実効ある制度化を求めていきます。
本活動方針は、これからの2年間、以上の2つの課題を重視し「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」の具現化に向け取り組んでいくとともに、東日本大震災からの復興・再生、課題に焦点をあてた活動を、当該県、被災当事者の声を聴きながら展開します。また、限りのある資源の中では、加盟団体や関係する諸団体との密接な連携のもとに、労福協が中心的に取り組むべき課題、ネットワークのもとで実現する課題などに仕分けしながら、メリハリをつけて取り組んでいきます。
Ⅰ.社会的連帯を深める運動と政策の実現
1.貧困や多重債務のない社会に向けて
- (1)生活困窮者支援制度の構築と社会的包摂の推進
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- 国民の6人に1人が貧困(2009年度相対的貧困率16%)という現実を直視し、貧困の削減目標を設定し、政策を総動員するよう働きかけていきます。また、社会的に孤立した人々を包摂し、誰1人排除されることなく居場所のある社会の実現に向けた戦略を策定し、生活・就労支援制度を体系的に整備していくよう求めていきます。
- 生活困窮者自立支援法に基づく新たな困窮者支援制度の2015年4月からの本格実施に向けて、生活困窮者自立促進支援モデル事業の拡充、ノウハウの提供や支援員等の人材養成等を着実に進めるよう働きかけます。また、当事者の尊厳と主体性を重んじ、社会との“つながりの再構築”をめざすという基本的な視点や、包括的かつ個別的な支援、早期的・継続的な支援という本来の趣旨が充分にいかされた制度設計がされるよう、モデル事業等を通じて積極的に参画し意見反映していきます。
- 地域においても、早急に体制づくりの検討・準備に入るよう自治体との協議・意見交換を進めます。その際、福祉分野にとどまらず労働を含む関係部局が連携して総合的に取り組む体制を構築するとともに、幅広い民間団体との協働ネットワークのもとでの制度運用や社会資源の開拓など、“地域づくり”につなげることをめざします。
- (2)ナショナルミニマムの保障と社会的セーフティネットの充実
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- 2013年8月に生活保護基準の大幅な引き下げが実施され、3年にわたり670億円が削減されます。生活保護基準は憲法25条が保障する“いのちの最終ライン”です。その削減は、生活保護の利用者のみならず、子育て世帯や国民生活にも大きな影響を及ぼすものであり、これ以上の引き下げを行わないよう、市民団体等と連携した国民的な運動に取り組みます。あわせて、住民税非課税限度額や就学援助など国民生活への影響を最小限度にとどめるよう国や自治体に働きかけます。
引き下げの根拠となった物価の反映分の算出方法の検証や、5年ごとの見直し方式の是非も含め、生活保護基準のあり方について専門家や当事者が参加する検討の場を設け、国民的合意の形成に努めるよう求めていきます。 - 生活保護法の改正に伴い、窓口における申請抑制や扶養義務強化を招かないよう、自治体における適切な運用を求めていきます。また、「水際作戦」を根絶するため、その根源にある財源問題に切り込み 生活保護費の国庫負担の増額やケースワーカーの増員に取り組みます。
- 「住まいは人権」との観点から、住宅セーフティネットの構築に向けて、住居確保給付金を使いやすい制度に改善していくとともに、地域における居住支援協議会の促進、公的住宅保証制度の創設、シェルターの整備等に取り組みます。
- 生活困窮者を食い物にする貧困ビジネス(脱法ハウス、無料低額宿泊所等による生活保護費のピンハネ、追い出し屋等)の根絶をめざし、規制強化に取り組みます。
- 税と社会保障の一体改革に関しては、貧困・格差解消に向け、第2のセーフティネットの恒常化に向けた安定的な財源確保をはかるとともに、所得・資産課税の累進性強化等を通じた所得再分配機能の強化をめざします。消費税については低所得者の逆進性等に充分配慮するよう求めていきます。
- 公契約に関する基本法や公契約条例の制定に向けて、市民集会やシンポジウムの開催、運動に関する情報共有など、生活底上げ会議の場を活用しつつ市民団体への裾野を広げる取り組みを行います。
- 上記の課題を実現するため、「生活底上げ会議」(注)を軸に、労働組合や福祉事業団体、市民団体、法律家、研究者などとも連携して、より広範な運動とネットワークづくり、政策提言・政策決定への反映をめざします。さらに、貧困問題に関するキャンペーン活動、生活困窮者支援・相談活動などについても、共同で取り組める行動を追求します。
- 2013年8月に生活保護基準の大幅な引き下げが実施され、3年にわたり670億円が削減されます。生活保護基準は憲法25条が保障する“いのちの最終ライン”です。その削減は、生活保護の利用者のみならず、子育て世帯や国民生活にも大きな影響を及ぼすものであり、これ以上の引き下げを行わないよう、市民団体等と連携した国民的な運動に取り組みます。あわせて、住民税非課税限度額や就学援助など国民生活への影響を最小限度にとどめるよう国や自治体に働きかけます。
- (3)貧困の連鎖の解消をめざして ~ 子どもの貧困、奨学金問題
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- 2013年6月に成立した「子どもの貧困対策推進法」に基づく大綱づくりにおいて、当事者や支援団体の参画や、子どもの貧困率の削減目標を明記するなど、実効性のある政策を推進するよう求めていきます。
- 学費の高騰や家計収入の減少により、今や大学生の2人に一人が奨学金を借りており、さらに不安定・低賃金労働の拡大により、卒業しても多額の借金を抱えたまま返済できない人を大量に生み出しています。就学金を有利子の貸与に頼り切った制度は日本だけで、延滞金徴収や過酷な取り立てなど、奨学金の本来の姿を失い、完全に教育ローン化しています。このため、貧困の世代間連鎖の解消や教育の機会均等の観点から、以下の取り組みを進めます。
a) 高校・大学生の奨学金について、貸与奨学金の無利子化、延滞金や個人保証の廃止、所得連動型の返済制度の導入、無償給付型奨学金制度の創設・拡充などをめざし、「奨学金問題対策全国会議」や関係団体と連携して制度改善をはかります。
b) 地方労福協や関係団体による奨学金支援や借り換え・利子補給等に関する情報収集や共有をはかり、取り組みを広げるための方策等について検討します。 - 法曹志望者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう、司法修習生に対する給費制の復活を含めた実効的な経済的支援策について結論を出すよう、引き続き取り組みます。
- (4)多重債務対策
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中央労福協・連合・日弁連・被害者団体等の連携した取り組みにより成立した改正貸金業法の完全施行(2010年6月)後も、大阪府での貸金特区申請の動き(政府が却下)や、超党派議員連盟における貸金業法見直しの動き等、揺り戻しの動きがあります。貸金業法改正の歴史的意義を損なうことの無いよう、引き続きその動向を注視するともに、都度、集会等による牽制はじめ、各般の取り組みを緩めずに進めていきます。
- 2007年4月に政府が決定した「多重債務問題改善プログラム」について、その主要な4本の柱(注)(※)について、完全施行後もさらに強化するよう働きかけます。あわせて、各都道府県に設置された「多重債務対策協議会」について、地域事情を踏まえ、必要に応じ充実化の働きかけを行います。
- 多重債務を整理し懸命に生活再建に努めていても、事故情報に登録されると5~7年間は金融機関から借り入れができなくなるのが現状です。これらの層の生活再建をサポートするため、引き続き勤労者向けのセーフティネット保証枠の創設を求めて政策要請を行います。
- 労金協会作成のブックレット「マネートラブルにかつ」は、多重債務防止・消費者教育用の教宣資材として累計200万部以上が発行され、組合員・地域勤労者・高校生・大学生への啓発のほか、地方労福協の協力による地域住民向けの自治体提携版も発行され、政府(金融庁・消費者庁)等においても注目されています。2013年7月に改訂版が発行されたことを受け、実社会において本格的な消費経済活動を行うこととなる新入組合員向けの教育宣伝資材として、自治体提携版や産別独自版の作成・配布等で未然に消費者被害を防止する活動を提起していきます。
- 「利息制限法金利引下げ全国会議」と連携し、利息制限法改正へ向けた検討を推進します。
- 多重債務の一因である保証制度(連帯保証・根保証)については、政府の法制審議会においても、民法改正の審議の一環として保証制度が改正の対象とされています。2013年3月には、保証制度を大きく制限する方向での検討を示した中間試案が公表されました。2011年7月には「保証被害対策全国会議」が、全国の弁護士・司法書士・保証被害者等によって結成され、保証人被害を生まない保証制度とその規制のあり方について、議論と取り組みが進められつつあります。同会議と連携し、あるべき民法の姿について検討を深め、法制審議会の動向を見つつ、必要に応じ運動展開を行います。
- 改正貸金業法の成立に伴い、労金では2007年度下期から「第2次気づきキャンペーン」を展開してきていますが、引き続き労福協としても各労金と連携して、多重債務問題の啓発や高金利からの借り換え運動に取り組みます。
- (5)自殺対策
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- ライフサポート活動の一環として、啓発活動、相談活動等を促進します。また、全国ネットの24時間相談回線を有する「よりそいホットライン」とも連携した取り組みを進めます。
- ライフリンク、反貧困ネットワークなどが取り組む啓発活動、クレサラ被連協が取り組む自殺防止看板設置運動に協力します。
2.消費者運動との連携の促進
- (1)3.4兆円の悪質商法被害の根絶に向けた国民世論の喚起
- 平成20年版国民生活白書によると、2007年度の消費者被害に伴う経済的損失額は年間約3兆4千億円、GDPの0.7%と推計されています。これだけの巨額が消費者から悪質業者の懐に入るのみならず、善良な事業者のビジネス機会を喪失させ、ひいては良質な雇用創出の妨げにもなります。こうした観点から、悪質商法の根絶や消費者行政の充実は、消費者のみならず善良な事業者や労働者をも含めた国民的課題との共通認識を醸成し、世論喚起に取り組みます。
- (2)消費者行政・相談体制の充実強化
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- 貸金業法・割賦販売法改正という運動の成果を活かし悪質商法被害を防止するためには、消費者行政の土台である地方消費者行政・相談機能を充実強化していくことが不可欠です。
このため、各地域において消費者重視の政策転換をめざし、消費者行政推進体制の強化、消費者行政予算の確保・拡充、地方消費者行政活性化基金の有効活用、消費生活相談員の増員と安定雇用・待遇改善・資質の向上、行政処分の執行体制の強化等に取り組みます。
国においても、一定の水準のサービスが行える地方消費者行政が定着するまでの間、基金継続など実効的な財政支援を含む支援策を強化するよう求めていきます。また、相談員の待遇改善や雇用安定を促進する法的整備に取り組みます。 - 消費者庁設置時の国会論議(附則)を踏まえ、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターが適切な役割分担のもとで消費者行政全体の機能強化につながるよう求めていきます。
- 集団的消費者被害回復訴訟制度の創設に伴い、制度が有効に機能するよう、その担い手となる特定適格消費者団体への国の財政面での支援獲得をはかるとともに、適格消費者団体の設立の促進にも取り組みます。また、引き続き、悪徳事業者による財産の隠匿・散逸防止策や不当収益剥奪制度の導入の検討を求めていきます。
- 貸金業法・割賦販売法改正という運動の成果を活かし悪質商法被害を防止するためには、消費者行政の土台である地方消費者行政・相談機能を充実強化していくことが不可欠です。
- (3)消費者教育
- 2012年12月に施行された消費者教育推進法は、消費者市民社会の形成を志向し、学校現場だけでなく地域・職域をはじめ、あらゆるライフステージでの消費者教育の推進を掲げています。さらに、都道府県・市町村における各ステークホルダーの参画による「地域消費者教育推進協議会」の設置を地方自治体の努力義務としています。
これを受け、連合(地方連合会)・消費者団体・事業団体等とも連携し、都道府県との情報収集・意見交換を進め、「消費者教育推進地域協議会」の早期設置ならびに「市町村消費者教育推進計画」の策定・実施を求めます。また、同協議会への意見反映のために、労働者代表の参画を追求します。同時にこれまでの各地方労福協の取り組みを活かしつつ、同協議会との連携を進め、地域・職域・学校現場等での消費者教育の一層の推進をはかります。 - (4)労働運動と消費者運動との連携の促進
- 大多数の国民は労働者でもあり消費者でもあります。したがって、労働組合には消費者被害や「偽装」事件を生まないためのチェック機能が求められますし、消費者政策(価格競争)においても「公正なワークルール」が前提とされるべきです。また、多くの青少年が労働者としての権利侵害や悪質商法に無防備なまま社会に出て行く現状に対しては、教材の共同作成・配布などをはじめ労働教育と消費者教育を一体的に推進することが共通の課題です。労福協は、これまでの運動で培われたネットワークを活かし、様々な場を通じて労働運動と消費者運動の共通認識を広げ、共同の取り組みにつなげていく「かすがい」としての役割を追求します。
3.連帯経済の促進に向けた政策の実現
- (1)協同組合憲章の制定
- 「2012国際協同組合年全国実行委員会」で確認された「協同組合憲章」に基づき、政府に憲章の制定を求め、関係団体と共同で取り組みます。
- (2)生協法改正に向けて
- 改正生協法の施行(08年4月)5年後の見直しに対応した法改正をめざし、関係団体での検討・調整を踏まえた要望案をもとに、厚労省や政党への働きかけを行います。
- (3)協同労働の協同組合法の早期制定
- 「協同労働の協同組合法」の早期の国会成立を求めて働きかけます。
また、社会的に排除された人々の就労を通じた社会参加や「地域雇用創造」を促進する担い手として、「協同労働の協同組合」や社会的企業の果たす役割を重視し、その育成・支援を充実させ、コミュニティにおける就労と事業化を促進するための政策を推進するよう求めます。 - (4)労働者福祉、協同組合に関する政策決定プロセス、運営への参画
- 連帯経済や「新しい公共」の担い手として、労働者福祉や協同組合セクターの政策的位置づけを高め、政策決定プロセスや運営への関与を高めていくことを追求します。このため、協同組合セクターと政府との継続的な政策協議や、与野党国会議員との政策懇談会等の仕組みづくりを検討し、実現に向けて働きかけます。
行政と非営利・協同セクターとの関係についても、単なるコスト削減や下請け型の業務委託ではなく、目的や基準を明確にした上での対等なパートナーシップに基づく関係へと再編成するよう働きかけます。 - (5)政策・制度に関する要求と提言
- 労福協が取り組む社会運動の重点課題のほか、中小企業勤労者福祉の向上、子育て支援の促進や高齢者の暮らしの安心確保、さらには財形・共済制度の改善、食の安全、住宅など事業団体に関わる政策・制度に関して、より実現を意識した要求・提言に取り組みます。各年度の具体的な要求・提言内容は、事業団体からの要望のほか、地方労福協の相談活動(ライフサポート、パーソナルサポート[生活困窮者自立促進支援モデル事業])を通じた現場からの声や政策提言も汲み上げ、政策委員会で取りまとめの作業を行います。
また、国際会計基準やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題に関して、協同組合への影響等について関係団体での情報交換を行い、必要に応じて対応を検討します。
4.東日本大震災からの復興・再生に向けて
被災者の生活再建支援や被災地の復興・再生は、今後も息の長い取り組みが必要となります。特に、原発事故後のガレキ処理、除染、汚染水問題は解決の目途が立たず、未だ収束に至っていません。
私たちは、当該被災地の労福協と連携しつつ、協同事業団体等の取り組みの情報共有をはかり、助け合い、支え合いの原点に帰って労働組合・労福協全体で取り組んでいきます。被災者生活再建支援法への対応や買い物弱者対策の支援施策等についても、関係団体と協議し対応していきます。また、福島県生協連などが協同組合間連携で進めている土壌スクリーニング(メッシュマップ)・プロジェクトの実践事例に見られるような、復興に向けた協同組合間協同の取り組みも支援していきます。
- 子ども・被災者生活支援法について実効ある施策の実現をめざします。
- 食品中の放射性物質の検査・モニタリング調査を迅速かつ効果的に実施し、消費者に分かりやすく継続的に情報提供していくよう求めます。
- 被災地・被災者の仕事の確保・創出について、協同労働による仕事おこしを促進します。また、地域の産業創出や就労分野の変更を制度的に支える研修・訓練制度と、公的に就労を保障する制度を合体させ、「公的就労・訓練制度」の創設を求めます。
- 二重ローン等の住宅等の既存債務問題は、労金でも積極的な相談活動が進められています。また、政府の「二重債務問題への対応方針」を受けた「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」による対応も進められていますが、被災者の生活再建を支援する観点から、国による一層の施策の充実を求めます。
5.防災・減災の取り組み
- 地震・津波・風水害・突風による自然災害が多発しています。東日本大震災を教訓に、今後の自然災害に備え、労福協の加盟団体と、災害時のボランティア・支援活動(労組)、応急生活物資供給(生協)、火災共済・自然災害共済(全労済)、住宅の耐震補強・液状化対策(住宅生協、全建総連)、医療支援(医療福祉生協)、帰宅困難者支援訓練(首都圏の労福協)など情報を全体で共有化し、行政や市民団体、経営団体とも連携をはかりつつ、国民的な課題として災害に対応できる社会とネットワークづくりを進めます。
- 災害に備えるためにも、全労済の「火災共済・自然災害共済」を会員に広く告知します。
- 災害時における食料支援システムとしてフードバンクを戦略的に位置づけ、平常時は福祉支援と災害訓練に、災害時はそのままフードバンクのインフラ(基幹物流、地域物流網)が活用できるよう、引き続き官民協働によるシステムの構築をめざします。
6.地球環境保護、食の安全
連合、中央労福協、労金協会、全労済で構成する「ライフスタイルを見直す環境会議」で、「食品ロスの削減」や「再生可能な循環型自然エネルギーの促進」等に取り組みます。また、引き続きエコキャップ運動(ベットボトルキャップを回収し世界の子どもにワクチンを送る)の促進に取り組みます。(製品改良の時期まで)
放射性物質の影響が懸念される食品の安全の確認を徹底し、食育、地産地消、食の安全等に対し、分かりやすく正確な情報提供を通じて消費者の安心・安全の確保に息の長い取り組みを進めていきます。
Ⅱ.暮らしの総合支援(ライフサポート)
1.暮らしの総合支援(ライフサポート)事業の体制づくりと着実な推進(総論)
全国の都道府県における地域を拠点とした暮らしの総合支援事業(ライフサポートセンター)の体制強化とサービス内容の着実な前進をはかります。
ライフサポートセンターが地域で生活する人々の「拠り所」「問題解決の場」としての機能をより強化するため、「共助拡大作業まとめ」を踏まえ、「ライフサポート友の会」(仮称)を構想し、その取り組みを開始します。
- (1)各地域の先進的な事例を相互に学び、新たな分野の開拓と普及をはかるとともに、相談の具体的処理のノウハウなどの情報交換、経験交流を進めます。そのため、各地のライフサポートの担当者、相談員の研修・交流の場づくりを継続します。また、相談員の全国ネットワークの構築をはかっていきます。
- (2)労働団体や労金、全労済を核としながらも、他の事業団体との連携も視野に入れたサポート事業の支援体制のあり方を検討していきます。このため、連合を中心に4団体での協議を再開し、課題の整理を進め、各団体の役割を発揮していきます。
- (3)「ライフサポート友の会」(仮称)については、モデル地域の選定に向けて関係事業団体、地方労福協と協議を進め、条件の合意した地域からスタートをめざします。
- (4)地域(各県)の実情を十分認識し、現地中心の判断に基づく事業の展開を進めていきます。
- (5)事業団体の利用促進や行政との協働関係を高める取り組みを通じて、財政基盤の強化をはかります。
- (6)中央労福協のホームページ等において、全国のライフサポートセンター・相談窓口の広報周知を行います。また、必要に応じて特徴的な相談課題の事例紹介などについてのシステム化に着手します。
2.生活・就労支援
- (1)2015年度からの生活困窮者自立支援制度の本格実施に向けて、各自治体における実施体制の検討にあわせて、新たな支援制度とライフサポートセンターとの関係や役割分担などを整理し、ライフサポート活動のレベルアップもはかっていきます。
複合的な課題を抱えた人たちへの包括的かつ個別的支援は、単独の機関や団体が自己完結して担えるものではなく、官民による幅広い協働ネットワークのもと、地域・分野ごとでのそれぞれが強みを活かし、地域の総合力で進めることが必要であり、労福協も各々の条件・レベルに応じてその一翼を担っていけるよう努めます。 - (2)一般社団・社会的包摂サポートセンターと連携し、各地域で「よりそいホットライン」の全国展開を支援します。
- (3)生活就労支援連絡会議(PS連絡会議の発展継承)を開催し、地方労福協が関わるモデル事業を通じた支援、人材養成・研修等のノウハウの蓄積と共有をはかります。
- (4)就職困難者への就労支援準備、就労訓練事業において、民間営利企業の参入が予想されますが、協同組合などの社会的事業体が受け皿となり、仕事づくりも含めて社会的就労から持続的な就労(コミュニティ就労)へとつなげていくことが期待されます。こうした趣旨からの協同総研の調査研究(2013年度厚生労働省社会福祉推進事業)の成果を活用し、生活困窮者支援制度の制度設計に反映させるよう取り組みます。
- (5)家計再建支援については、日本生協連、労金、全労済などと連携した取り組みを追求します。
- (6)ワーカーズ・コープと連携し、協同労働による仕事おこしを促進していきます。
- (7)公益財団法人日本労働文化財団と連携し、就労自立支援の促進に向けて取り組みます。
3.フードバンク活動の普及・促進
- (1)年間800万トン(米の生産量に匹敵)もの食べられる食料が無駄に捨てられている日本において、食品ロスを削減・有効活用し福祉活動支援にもなるフードバンクが社会的に注目され、行政も含めて推進の機運が高まっています。特に、東日本大震災を契機に、災害時における食糧支援システムとして転用できることで、より社会的有用性が高まっています。
- (2)労福協としても、貧困問題、食、環境、福祉、防災などの運動に関わるテーマとして、フードバンク活動の認知度の向上をはかる啓発活動やセミナーの開催を地方労福協へ呼びかけ、引き続き地域における普及・支援に取り組みます。
- (3)セカンド・ハーベスト・ジャパンのフードバンク検討会およびセカンドハーベスト・ジャパンアライアンスに参画し、フードバンク団体とのネットワークづくりを促進し、支援事業に寄与します。
- (4)国や自治体に対して、「新しい公共」としての戦略的位置づけに基づくフードバンク活動への支援を要請していきます。
4.中小企業勤労者福祉の充実
- (1)賃金など基本的な労働条件をはじめ、福利厚生の面でも大企業と中小企業で働く労働者の格差は年々広がってきています。地域で暮らす市民の圧倒的多数は中小零細企業で働く人々とその家族であり、中小・未組織労働者の生活基盤の安定は、格差の是正や地域社会の発展、日本経済活性化の観点からも重要な課題です。
もともと中小企業勤労者福祉サービスセンターは、大企業と中小企業の福利厚生格差を是正するために連合や労福協の要求・運動からつくられてきたにもかかわらず、次第に取り組みが希薄になりつつあり、歴史的経過も含めて運動を継承していく必要があります。
また、大企業であっても、非正規職員のほとんどは福利厚生の対象になっていません。今や3人に1人が非正規雇用という実態を踏まえて、福利格差是正に向けた運動と制度を再構築していく必要があります。 - (2)こうした観点から、中小企業勤労者福祉サービスセンター(以下「サービスセンター」)については、引き続き自立と再生に向けて、関係団体とともに中央・地方を通じて取り組みを強化します。このため、中小企業勤労者福祉関係団体連絡会議(中央・地方労福協、連合、全福センター、関係事業団体で構成)において、以下の課題等について経験交流や課題整理を行いつつ具体化を進めます。
- ① ライフサポート活動の中での中小・未組織労働者支援の位置づけを強化し、サービスセンターとの連携をはかります。当面、双方の広報媒体等を通じた事業やイベントの紹介・共催など、できるところから関係づくりを進めていきます。
- ② サービスセンターを通じた労金、全労済等の事業の利用促進を推進します。
- ③ 各地の実情に応じた形で、スケールメリットの発揮(広域化、共同化)を検討します。
- ④ 未設置の県・地域での設置促進に取り組むとともに、未設置エリアにおいてライフサポートセンターが受け皿になる可能性についても検討します。
- ⑤ サービスセンターに対して、利用しやすく魅力的なサービスへの改善や、従業員ニーズに合わせてサービス・会費が選択できる制度の導入を提言していきます。また、大企業や公務部門のアウトソーシングに対応し、サービスセンターが受け皿(特別会員/業務受託)となるよう働きかけます。
- ⑥ 派遣労働者や退職者に対象を拡大する方向で、受け皿組織(入り口)やポータビリティについて全福センターと検討を行います。
- ⑦ 中小企業勤労者退職共済(中退金)との連携した加入促進や制度の仕組みを検討します。
- (3)中小企業勤労者の福祉格差の是正に向けて、国・自治体・事業主の役割・責務等の明確化、勤労者福祉に関する制度運用への労使の参画促進、ワーク・ライフ・バランスの推進等をはかる観点から関係法制を見直し、その整備・改善を国に求めます。
また、サービスセンターの改革を加速するため、国庫補助廃止に代わる新たなスキームでの財政措置の検討も含めて、国や都道府県の役割・責任を明確にしつつ支援策の拡充を求めていきます。
5.退職者・高齢者との連携・支援の活動
- (1)退職者・高齢者の生きがいづくりは、ライフサポートセンターでの重要な柱となります。労働団体・事業団体連携行動委員会の「共助拡大作業グループまとめ」(2013年9月)をベースに、引き続き高退連をはじめとする退職者団体とNPO団体との連携を進め、情報収集と加盟団体への情報提供・共有化を進めていきます。
- (2)退職者が気軽に相談でき、労働組合や福祉事業団体と生涯を通じてつきあえる仕組みづくりとして、地域の「拠り所づくり」(仮称「ライフサポート友の会」)を進めます。当面、モデル地域の選定に向けて、関係事業団体、高退連、地方労福協との協議を進め、条件等合意した地域からスタートをめざします。
6.介護・子育て支援
- (1)地域における介護・子育て支援サービスへのニーズの高まりに対応して、地方労福協においても国や自治体の事業受託のほか、全労済や生協、NPO等と連携した取り組みが広がっています。今後もライフサポートセンターの柱の一つとして取り組みを進めます。
- (2)子どもの貧困、引きこもりなど若年層の問題が深刻化するなか、地域のネットワークで子ども・若者の育成・社会参加を支援していく必要性も高まっています。地方労福協や労働者協同組合が取り組んでいる引きこもり支援(若者サポートステーション/若者自立塾)などの事例も参考に、労福協としての関わり方についても検討していきます。
Ⅲ.協同事業、労働者福祉運動の基盤強化
1.ポスト2012国際協同組合年の取り組み
中央労福協が加盟した「2012国際協同組合年全国実行委員会」の後継組織「国際協同組合年記念協同組合全国協議会」の活動の中で、JA、漁協など協同組合との交流を進め、協同組合の社会的役割発揮に構成協同組合とともに協同組合の社会的認知を広める活動に取り組みます。
- (1)「2012国際協同組合年全国実行委員会」で確認された「協同組合憲章」に基づき、政府に憲章の制定を求め、関係団体と共同で取り組みます。(再掲)
- (2)また、政府に対して協同組合への統一した政策が進められるよう、関係協同組合との連携のもと窓口の設置を追求していきます。
- (3)ICA(国際協同組合同盟)の「協同組合の10年に向けた計画」(ブループリント)についての学習会を開催するなど、持続可能な社会に向けての協同組合の新たな挑戦について関係者の理解を広げます。
2.協同事業団体の利用促進・支援の取り組み
各事業団体を支援するため、以下の各項目を重要課題と位置づけ、労働組合や地方労福協および各事業団体との更なる密接な関係を深めながら、これまで継続してきた支援策に取り入れていくこととします。
- (1)設立時の初心に立ち返り、労働組合と事業団体が「ともに運動する主体」としての関係の再構築をはかり、組合員の利用促進につなげます。2020年ビジョンで示した協同組合の社会的価値や優位性に対する理解を浸透させるための理念・歴史講座、研修会、キャンペーン活動に取り組みます。また、労働組合役員が率先して利用促進に取り組むよう、連合、事業団体の推進機構(労金運動中央推進会議、全労済中央推進会議)とも連携を強化します。
- (2)協同事業団体と労働組合との連携を深め、貸付、共済など具体的な推進課題の協議の場を設けるとともに、推進方針の具体的化に向けた支援活動を行います。また,引き続き、労働組合の方針に、積極的な事業団体利用促進についての記載を求めていきます。
- (3)労福協に参加する事業団体の相互の連携と協力関係の強化をはかります。
① 加盟団体から事業団体・関係系列会社等への紹介運動の取り組み
② 事業団体の未利用団体対策(利用促進策)として事業団体間相互の会員団体・協力団体等の紹介運動
③ 各事業団体の事業を一体的な労働者福祉事業と位置づけての推進実施 - (4)ライフサポートセンターを新たな労働者福祉事業推進チャネルと位置づけ、利用促進につなげます。
- (5)中央・地方労福協は、自らの活動が事業団体の利用促進や支援につながっているかという観 点から自己点検を行い、会員事業団体の信頼を確かなものにするよう努めます。こうした信頼 関係のもと、地方労福協が安定した活動が継続できるよう、事業団体には引き続き理解を求めていきます。
- (6)全労金と労済労連が「労福協の理念と2020年ビジョン」の実現に向けて、各地域で開催しているシンポジウムについて、地域での事業団体(労働金庫・全労済)と労働組合との連携を強める取り組みとして引き続き支援し、地方労福協の協力を求めていきます。
- (7)労働組合未加入者、NPO関係者などを対象とした事業団体の利用促進・拡大について、労福協と事業団体との協議を進めます。
3.労働団体と事業団体の連携行動による共助拡大の取り組み
未組織労働者(中小企業労働者)、非正規労働者、高齢者など共助の輪に参加できない人々に対して、地域を基盤として地域セーフティネット、ソーシャルキャピタル(人と人とのつながり)の構築に向けて以下の取り組みを進めます。
- (1)労働団体と事業団体の連携行動を進めるにあたり、構成組織が総力を挙げて取り組むため関係団体で合意確認をして進めます。
- (2)連合、高退連が進める組織拡大運動を支援するため、両組織と協議を進め、具体的な労福協の役割を確認します。
- (3)共助の参加の受け皿として、地域の「拠り所づくり」(仮称「ライフサポート友の会」を進めます。当面、モデル地域の選定に向けて、関係事業団体、地方労福協との協議を進め、条件等合意した地域からスタートをめざします。
- (4)共助の輪に参加可能な制度(商品)の開発、利用について関係事業団体との協議を進めます。
- (5)協同組合間協同についは、関係団体同士の協議を要請するとともに、必要に応じて中央労福協での課題整理に向けた合同会議を開催します。
- (6)リスク負担等のあり方については、具体的なシミュレーションができた段階で、三役会議、各団体責任者会議で議論を進めていきます。
4.労働者福祉運動を担う人材の育成・教育活動
- (1)労働運動・労働者福祉の運動に対する労働者の理解や関心が希薄になっているといわれ、これからの運動を担う若手の人材の育成・教育活動が共通の課題となっています。このため、2006年度から始めた労働運動・労働者福祉運動の理念・歴史講座を、2013年度から各ブロック開催になりました。各ブロック開催に際し、中央労福協は講師派遣や費用補助など最大限の支援を行います。
- (2)関係団体の教育部門との連携により、講師養成や共通カリキュラム・教材等の開発を進めます。また、教育手法等についてブロックでの先進事例の情報交換を行い、全体のレベルアップをはかっていきます。
- (3)ライフサポートや教育活動などにおいて、労働者福祉運動のOB等で専門的能力を持った人材を有効に活用し、アドバイザー・協力スタッフとして中央労福協の活動をサポートする体制をつくります。
- (4)2015年4月開講予定の「連合大学院」に連携し、人材育成に寄与します。また、2014年に設立する「連帯社会インスチゥート研究交流センター」が開催する諸講座に対して、構成団体に参加を呼び掛けます。
5.会員拡大と財政基盤強化に向けて
未加盟労働団体、福祉事業団体などの会員拡大を進め、労働者福祉運動、協同組合運動の裾野を拡大するとともに、財政基盤の強化を進めます。
6.新公益法人制度への対応
- (1)新公益法人制度移行後の一般社団・財団法人は公益目的支出計画が終了するまで、決算を行政庁が監督します。同じく移行後の公益社団・財団法人は、公益認定基準の継続などを行政庁が監督します。移行した法人へ決算処理のサポート、公益認定基準継続の情報提供などを行います。
- (2)一般社団・財団法人に移行した法人、新公益法人制度発足後新たに一般社団・財団法人となった法人が、公益認定をめざす場合においても、支援していきます。
- (3)移行後の法人運営および会計処理等、また新法人設立のための「情報交換会」を、必要に応じて開催します。
Ⅳ.経常活動、研修・広報活動
1.各種会議の機能的運営
- (1)機関会議
- ① 幹事会は年に3回程度開催します。
② 三役会は1~2ヶ月に1度開催します。 - (2)加盟団体会議
-
- ① 事業団体会議、地方労福協会議、労働組合会議を年2~3回程度開催します。相互の情報交換と意思疎通をはかるほか、それぞれの課題に応じたテーマでの討議、研修等も盛り込み、機能的で充実した運営をめざします。
- ② ブロック事務局長会議を開催します。年に1度はブロック会長・事務局長会議とします。
- ③ 事業団体と地方労福協の合同会議を年1回開催します。必要に応じて事業団体・労働組合の合同会議やテーマ別懇談会を開催します。
2.研修活動の充実
- (1)全国研究集会
- 引き続き年1回全国研究集会を開催します。内容については、時代の流れに応じた適切なテーマの設定や活動との連動など、質の高い研究集会を開催します。
- (2)地方労福協事務担当者研修会
- 地方労福協の事務担当者を対象に、中央労福協の活動に理解を深め、相互の交流と意思疎通をはかることを目的に、年1回開催します。
3.国内外の調査・交流視察の派遣
- (1)労働者福祉視察団の派遣
- これまで欧州への視察団を毎年派遣してきましたが、視察先や目的、定例的な派遣の是非も含めて今後のあり方について検討します。
- (2)中国との交流
- 引き続き中国職工対外交流中心との友好関係を維持し、関係団体とも調整しつつ日中両国の労働者福祉事業の交流を促進します。
- (3)地方労福協の先進的活動の視察交流(国内交流)
- 先進的活動を行っている地方労福協の視察交流を必要に応じて開催します。
4.広報活動と情報化
- (1)ニュースレターの発行
- ニュースレターの月1回定期発行を継続します。また、地方労福協、事業団体、連合等の記事を掲載し、内容の充実をはかります。
- (2)ホームページによる情報発信
- ホームページには迅速な情報発信に加え、全国のライフサポートセンター・相談窓口の紹介など重点的活動の情報を掲載します。
引き続き、地方労福協活動のホームページ作成・充実の支援をします。 - (3)現行社会保険制度の概要
- 引き続き「現行社会保険制度の概要」(掲示用)を、会員および要望のある単組、団体に向け、10月に発行します。またホームページにおいて最新情報を更新、地方労福協のホームページからも閲覧できるようにします。
5.調査研究活動
(1)連合総研や教育文化協会とは、引き続き労働者自主福祉に関する調査研究、研究者等とのネットワークづくりについて協力関係を深めます。
(2)連帯経済を促進するための政策や貧困問題に関する提言、中小企業勤労者福祉などの課題について、関係するシンクタンクや専門家等による調査研究成果を運動に活用していくとともに、必要に応じて共同研究・委託研究を行います。
6.労働組合の税務・会計サポート
- (1)「労働組合の会計税務に係る実務マニュアル」の普及と会計税務実務研修会
- 2012年版「労働組合の会計税務に係る実務マニュアル」によって、労働組合の会計のあるべき方向を確認するとともに、日々の会計・税務の処理や月次・決算時の処理、確定申告など、様々な場面で活用できる会計実務書となるよう普及をはかります。また、地方労福協が開催する労働組合の会計税務研修会において、講師派遣や税務相談を行い、実務マニュアルをテキストにして、会計処理の充実、税務処理の適正化を進めます。
- (2)会計ソフトの導入支援
- 会計ソフトは、複式簿記の帳簿作成、集計・転記ミスがなくなる、活動の状況がすぐ把握できるなど、導入メリットが大きく、引き続き未導入の労働組合へ導入を進めます。
- (3)税務サポートの会
- 現在、労働組合の会計担当者および個人の税務問題を対象に税務の電話相談を受ける「税務サポートの会」を運営しています。実務マニュアルやホームページなどで解決することができない、また相談先が見当たらない問題を解決する相談機関として普及・浸透をはかります。