活動方針

2012~2013年度活動方針

はじめに

◆ 東日本大震災から見えてきたこと 〜 連帯・協同の力で復興・再生へ

 3月11日に発生した東日本大震災は、巨大地震、大津波に原発事故が重なり、現地の被災者はもちろんのこと、日本社会全体に甚大な影響を与え、いまなお深刻な状況が続いています。
 未曾有の大災害が私たちの日常生活・生き方に突きつけたものは、すこぶる大きいものがあります。自然の前に科学技術は無力であるという事実を目の当たりにし、「経済成長は人間の幸せのためにある。手段であって目的でない」という当たり前のことに気づかされました。また、使い捨ての消費、エネルギーの浪費を続けてきたこれまでの生活のありよう、生き方も見直しが迫られています。
 一方で、私たちは、人への信頼・絆が、人間社会にとっていかに大切であったかということを再認識しました。まさかの時に頼りになるのは、顔の見える範囲での、いわば等身大での人と人との繋がり、支え合い、助け合い、連帯であり、そこをベースにしなければ国の様々なシステムも有効に機能しないことが明らかになったのです。
 何よりも、今回の震災で労働組合や協同組合が極めて有効で大きな役割を発揮し、存在感を示すことができたことは特筆に値します。各団体で取り組まれたカンパ活動、義援金の拠出をはじめ、震災発生直後からの生協による救援物資の搬送・供給、医療福祉生協による医療支援隊の派遣、労働組合による継続的・安定的なボランティア活動、労働者協同組合による仕事おこし。そして、「まさか」を支える共済や融資の仕組みが、どれほど安心と勇気を与えてくれたのか、私たち自身も実感したのではないでしょうか。
これからの復興過程においても、絆や連帯を活かし、地元のニーズ・発想から出発した生活再建・地域再生を進めるととともに、人間の傲慢さを謙虚さに変え、直線型ではなく自然と共生する循環型の社会へと創り直す中で、日本社会全体の再生につなげていけるかが問われています。私たちは、このたびの複合的な大震災からもたらされた様々な問題をしっかりと受けとめ検証し、新たな日本社会創造をめざして、引き続き復興・再生に向けて、協同組合と労働組合の総力をあげて取り組みます。

◆ 2012年国際協同組合年 〜 協同組合の社会的役割発揮へのキックオフに

 2012年は国連が定める「国際協同組合年」です。2009年12月に、国連総会の決議で「協同組合が、経済と社会の発展への人びとの参加を最大限に促し、経済と社会の発展の主要素となりつつあり、貧困の根絶に寄与するものであることを認識」し、各国に協同組合の促進を求めています。
 残念ながら日本においては、縦割り行政のもと未だに協同組合の総合的な窓口も決まらず、政府が推進する「新しい公共」においても協同組合の位置づけは極めて不十分です。政府に対して、協同組合憲章の制定をはじめ協同組合の政策的位置づけを高めるよう求めていくとともに、自らもその社会的役割を積極的に担っていかなくてはなりません。
 まずは協同組合自らが、国連宣言で「社会的事業体」として期待されていることに応え、共助(メンバーシップ)の組織でありつつも、それを超える公益(社会的目的)の担い手として新しい姿を示すことです。連合総研との共同研究「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」(2011年11月)の提言を素材に、雇用創出・就業支援を通じた社会的包摂の促進、社会サービスの供給、ソーシャルキャピタル(人づくり、暮らし相談、居場所づくり)などの分野での役割が発揮できるよう、協同組合間協同も促進しながら果敢にチャレンジしていくことが必要です。 
 私たちは国際協同組合年を単年度のイベントに終わらせることなく、協同組合を連帯経済の担い手として社会にしっかりと根付かせていくキックオフにすることを、この2年間の重点目標とします。

◆ 社会的包摂をめざして 〜「孤立」から「支え合い」の社会に

 貧困や格差が広がり、無縁社会と言われるほど人々は孤立し分断されています。労働規制の緩和により「使い捨て」「出し入れ自由」の雇用への置き換えが進み、今や3人に一人(女性は半数)が非正規雇用。仕事や住まいを失ってもセーフティネットは脆弱です。年間の自殺者は13年連続して3万人を超え、20~30代の死因のトップが自殺という異常事態にあります。若者にとって希望が持てないようでは、社会そのものが持続できません。震災は深刻な外傷ですが、こうした内部疾患を放置したままでは傷は癒えません。
 自立・就労できないことを自己責任論で責めるだけでは何も解決しません。かえって劣悪な労働条件でもノーと言えない労働者を量産し、労働市場の崩壊を加速させ、貧困のスパイラルを生み出すだけです。貧困や自殺を放置すれば、膨大な社会的コストとなって私たちに跳ね返ってくるでしょう。
 問われるべきは、フルタイムで働いても食べていけない社会、働きたくても働けない社会のありようです。それを変えていくことが、企業の社会的責任であり、労働組合の役割です。その上でこぼれ落ちるところに対して社会的セーフティネットを重層的にきめ細かく張り巡らせていくことが必要であり、労福協も関係するネットワークとともにその一翼を担っていきます。
 現在、政府のパーソナル・サポート・サービス(寄り添い型支援)のモデル事業を沖縄、長野、山口、徳島の労福協が担っています。この貴重な経験を財産とし、全体で共有化しながらライフサポート活動のレベルアップをめざしていきます。そして、地域で一人ひとりの抱える悩みや問題に向き合う中で、ライフサポートセンターが頼りになる存在になり、そこから見えてくる問題を政策化し、社会の不条理を正す運動につなげていくという運動連鎖が必要です。まさに、「福祉は現場から」です。
 こうした活動を支える人材育成や財政基盤の確立も極めて重要です。労働者福祉運動の理念・歴史を継承し次代のリーダーを養成する教育活動を地域に広げていくとともに、連合が進める専門大学院構想にも積極的に関わっていきます。また、公益財団法人日本労働文化財団とも連携し、労働者福祉を支える基盤整備に取り組みます。
 この間の運動を通じて、労働・福祉・消費者などの個別課題の枠や政治的立場を超えた幅広い国民運動としてのコラボレーション(協働)も芽生えています。労福協は、母体である労働運動との連携を密にしながら、中小企業・未組織労働者や失業者にも光をあて、労働運動だけではカバーできない生活領域において、労働運動と消費者・市民運動、NPOとの“かすがい”としての役割を果たしていきます。

◆ 連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会へ

 インド独立運動の父マハトマ・ガンジーの墓碑には、7つの社会的大罪として「理念なき政治、労働なき富、良心なき快楽、人格なき学識、道徳なき商業、人間性なき科学、献身なき宗教」という含蓄のある言葉が刻まれています。まさに現代社会への警鐘です。そして、わが国の協同組合の生みの親である賀川豊彦が1954年に残した協同組合の中心思想7箇条「利益共楽、人格経済、資本協同、非搾取、権力分散、超政党、教育中心」は、これからの社会への道標ともなる私たちの原点です。
 中央労福協は2009年の創立60周年を機に「労福協の理念と2020年ビジョン」を策定しました。
30年にわたって世界を席巻した新自由主義が終わりを告げ、歴史的な転換点に立っているとの時代認識に基づき、「連帯・協同」こそが「安心・共生の福祉社会」をつくると宣言しました。
 時代はまさにそれを求めています。今日のこの困難な状況にあって、そして国際的な流れからも、協同組合の存在が今ほど期待されている時はありません。労福協、事業団体の役割が再発見される時代なのです。そして、事業団体と労働組合との関係も、業者とお客様の関係ではなく、ともに運動する関係にしていかなくてはなりません。もともと協同組合と労働運動は一体的な社会運動として生まれ、労働者の不安定な生活や大災害時の苦難を組合員の連帯・助け合いの精神で支え発展してきたという原点を今一度思いおこす時です。新しい時代、希望の扉を開けるかどうかは、私たちの思いと行動にかかっています。

◆ 活動の柱立て

 労福協の活動の柱は、①社会的連帯を深める運動と政策の実現、②自主福祉活動としての暮らし総合支援事業(ライフサポート)を車の両輪とし、③労働者福祉運動や協同事業が発展し社会的な役割を果たしていける基盤を創り出すことにあります。
 本活動方針においても、この3つを柱とし、これからの2年間、これまでの活動を着実に前進させるとともに、東日本大震災からの復興・再生や国際協同組合年といった新たな状況、課題に焦点をあてた活動を全力で展開します。また、限りのある資源の中では、加盟団体や関係する諸団体との密接な連携のもとに、各年度および状況に応じて、労福協が中心的に取り組むべき課題、ネットワークのもとで実現する課題などに仕分けしながら、メリハリをつけて取り組んでいきます。

Ⅰ.社会的連帯を深める運動と政策の実現

1.東日本大震災からの復興・再生に向けて

(1)生活再建、復興・再生に向けた活動と政策改善
融資、共済、物資供給等の被災者の生活再建支援や被災地の復興・再生は、息の長い取り組みが必要です。あらゆる機会を通じて、協同事業団体等の取り組みの情報共有をはかり、助け合い、支え合いの原点に帰って労働組合・労福協全体で支えていきます。
また、連合等とも連携し、協同事業団体の活動に関わる政策・制度改善に取り組みます。

  • ① 二重ローン等の住宅等の既存債務問題については、政府の「二重債務問題への対応方針」を受けてとりまとめられた「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」により、労金等で積極的な相談活動が進められていますが、被災者の生活再建を支援する観点から、国費による既存債務の免除を含む、より一層の施策を求めます。
  • ② 被災者生活再建支援法の適用対象の拡大、金額の引き上げに向けて、関係団体と相談しながら対応していきます。
  • ③ 生協等による移動販売車、買い物バスの運行など、買い物弱者対策として行われる事業に対する支援施策を拡充するよう求めます。
  • ④ 食品中の放射性物質の検査・モニタリング調査を迅速かつ効果的に実施し、消費者に分かりやすく継続的に情報提供していくよう求めます。
  • ⑤ 被災地・被災者の仕事の確保・創出について、協同労働による仕事おこしを促進します。また、地域の産業創出や就労分野の変更を制度的に支える研修・訓練制度と、公的に就労を保障する制度を合体させ、「公的就労・訓練制度」の創設を求めます。
  • ⑥ 義援金や原発事故補償金を収入認定して生活保護を打ち切らないよう求めます。
(2)防災・減災の取り組み
  • ① 地震・津波・風水害による自然災害が多発しています。東日本大震災を教訓に、今後の自然災害に備え、労福協の加盟団体と、災害時のボランティア・支援活動(労組)、応急生活物資供給(生協)、火災共済・自然災害共済(全労済)、住宅の耐震補強・液状化対策(住宅生協、全建総連)、医療支援(医療福祉生協)、帰宅困難者支援訓練(首都圏の労福協)など情報を全体で共有化し、行政や市民団体、経営団体とも連携をはかりつつ、国民的な課題として災害に対応できる社会とネットワークづくりを進めます。また、ニュース・レターで、防災関係のシリーズ物を企画します。
  • ② 全労済の「住まいと暮らしの防災・保障点検運動」に労福協をあげて全面的に支援します。
  • ③ 災害時における食料支援システムとしてフードバンクを戦略的に位置づけ、平常時は福祉支援と災害訓練に、災害時はそのままフードバンクのインフラ(基幹物流、地域物流網)が活用できるよう、官民協働によるシステムの構築をめざします。

2.貧困や多重債務のない社会に向けて

(1)最低生活保障と社会的セーフティネットの充実
  • ① 国民の6人に1人が貧困(2009年度相対的貧困率16%)という現実を直視し、貧困や自殺の削減目標を設定し政策を総動員するよう、働きかけていきます。
    とりわけ、社会的に孤立した人々を包摂し、社会の支え合いネットワークから誰1人排除されることのない社会の実現に向けて、政府が2012年度中を目途に検討している「社会的包摂戦略」の策定を後押します。その基軸としてパーソナル・サポート・サービスを位置づけ、制度化と全国展開をめざし、モデル事業の継続実施と国の財政支援を求めていきます。
    こうした施策に関しては、与野党を超えた必要性の認識共有と政策の継続性が必要であり、世論喚起をはかりつつ働きかけを強化します。
  • ② 雇用保険と生活保護をつなぐ「第2のセーフティネット」の拡充と恒久制度化をめざします。特に、「住まいは人権」との観点から、住宅セーフティネットの構築が喫緊の課題であり、2012年4月以降の住宅手当の継続と普遍化・恒久化、公的住宅保証制度の創設、地域における居住支援協議会の促進、シェルターの整備等に取り組みます。
    生活保護の利用者が急増するなか、有期化や基準の引き下げなど生活保護を抑制しようという動きに対して、最低生活保障の水準確保、権利保障の観点から制度改善を求めていきます。また、「水際作戦」を根絶するため、その根源にある財源問題に切り込み 生活保護費の国庫負担の増額やケースワーカーの増員に取り組みます。
  • ③ 生活困窮者を食い物にする貧困ビジネス(無料低額宿泊所等による生活保護費のピンハネ、追い出し屋等)の根絶をめざし、規制強化に取り組みます。
  • ④ 税と社会保障の一体改革に関しては、貧困・格差解消に向け、第2のセーフティネットの恒常化に向けた安定的な財源確保をはかるとともに、所得・資産課税の累進性強化等を通じた所得再分配機能の強化をめざします。消費税については低所得者の逆進性等に充分配慮するよう求めていきます。
  • ⑤ 公契約に関する基本法や公契約条例の制定に向けて、これまでの勉強会段階からステップアップし、市民集会やシンポジウムの開催、運動に関する情報共有など、生活底上げ会議の場を活用しつつ市民団体への裾野を広げる取り組みを行います。
  • ⑥ 上記の課題を実現するため、「生活底上げ会議」(注)を軸に、労働組合や福祉事業団体、市民団体、法曹界、研究者などとも連携して、より広範な運動とネットワークづくり、政策提言・政策決定への反映をめざします。さらに、反貧困キャンペーン活動、生活困窮者支援・相談活動などについても、共同で取り組める行動を追求します。
(2)多重債務対策
2006年12月に成立した改正貸金業法については、中央労福協は、連合、日弁連、高金利引き下げ全国連絡会等と連携し、早期完全実施を主張し、2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行されました。この成果を踏まえ、引き続き多重債務対策に取り組みます。

  • ① 2007年4月に政府が決定した「多重債務問題改善プログラム」について、その主要な4本の柱(注)について、完全施行後もさらに強化するよう働きかけます。併せて、各都道府県に設置された「多重債務対策協議会」について、地域事情を踏まえ、必要に応じ充実化の働きかけを行います。
  • ② 多重債務を整理し懸命に生活再建に努めていても、事故情報に登録されると5~7年間は金融機関から借り入れができなくなるのが現状です。これらの層の生活再建をサポートするため、引き続き勤労者向けのセーフティネット保証枠の創設を求めて政策要請を行います。
  • ③ 労金協会作成のブックレット「マネートラブルにかつ」は多重債務防止・消費者教育用の教宣資材として累計130万部以上が発行され、組合員・地域勤労者・高校生・大学生への啓発のほか、地域住民向けの自治体提携版も発行され、政府(金融庁・消費者庁)等においても注目されています。
    ついては、実社会において本格的な消費経済活動を行うこととなる新入組合員向けの教育宣伝資材として、自治体提携版と同様の産別独自版を作成・配布すること等で未然に消費者被害を防止する活動を提起していきます。
  • ④ 改正貸金業法が完全施行された後も、大阪府での貸金特区申請の動き(政府が却下)や、超党派議員連盟における貸金業法見直しの動き等、揺り戻しの動きが未だにみられる状況にあります。貸金業法改正の歴史的意義を損なうことの無いよう、引き続きその動向を注視するともに、都度、集会等で牽制を行うなど、取り組みを緩めずに進めていきます。
  • ⑤ 「利息制限法金利引下げ全国会議」と連携し、利息制限法の改正へ向けた検討を推進します。
  • ⑥ 多重債務の一因である保証制度(連帯保証・根保証)については、政府の法制審議会民法改正部会においても、民法改正の審議の一環として保証制度が改正の対象とされています。2011年7月には「保証被害対策全国会議」が、全国の弁護士・司法書士・保証被害者等によって結成され、保証人被害を生まない保証制度とその規制のあり方について、議論と取り組みが進められつつあります。同会議と連携し、あるべき民法の姿について検討を深め、法制審議会の動向を見つつ、必要に応じ運動展開を行います。
  • ⑦ 改正貸金業法の成立に伴い、労金では2007年度下期から「第2次気づきキャンペーン」を展開してきていますが、引き続き労福協としても各労金と連携して、多重債務問題の啓発や高金利からの借り換え運動に取り組みます。
(3)自殺対策
  • ① 国の補助金(自殺対策緊急強化基金等)も活用しつつ、ライフサポート活動の一環として啓発活動、相談活動などを促進します。
  • ② ライフリンク、反貧困ネットワークなどが取り組む啓発活動、クレサラ被連協が取り組む自殺防止看板設置運動に協力します。
(4)司法修習生の給費制存続、奨学金問題
  • ① 法曹志望者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう、司法修習生に対する給費制を維持し、法科大学院の問題も含め法曹養成のあり方全体を見直す中でよりよい結論を出すよう、引き続き取り組みます。
  • ② 貧困の世代間連鎖の解消や教育の機会均等の観点から、高校の授業料無償化を維持するとともに、一般の高校・大学生の奨学金について、貸与奨学金の無利子化、無償給付型奨学金制度の創設などをめざし、関係団体と連携した取り組みを検討します。

3.消費者運動との連携の促進

(1)3.4兆円の悪質商法被害の根絶に向けた国民世論の喚起
 平成20年版国民生活白書によると、2007年度の消費者被害に伴う経済的損失額は年間約3兆4千億円、GDPの0.7%と推計されています。これだけの巨額が消費者から悪質業者の懐に入るのみならず、善良な事業者のビジネス機会を喪失させ、ひいては良質な雇用創出の妨げにもなります。こうした観点から、悪質商法の根絶や消費者行政の充実は、消費者のみならず善良な事業者や労働者をも含めた国民的課題との共通認識を醸成し、世論喚起に取り組みます。
(2)消費者行政・相談体制の充実強化
  • ① 貸金業法・割賦販売法改正という運動の成果を活かし悪質商法被害を防止するためには、消費者行政の土台である地方消費者行政・相談機能を強化していくことが不可欠です。
     このため、各地域において消費者重視の政策転換をめざし、官民共同による消費者行政推進体制の強化、消費者行政予算の拡充、地方消費者行政活性化基金の有効活用、消費生活相談員の増員と待遇改善・資質の向上等に取り組みます。
    国においても、一定の水準のサービスが行える地方消費者行政が定着するまでの間は国の実効的な財政支援を継続的に行うよう、地方からの声をもとに国に政策転換を求めていきます。また、相談員の待遇改善や雇用安定を促進する法的整備に取り組みます。
    詳細については、地方消費者行政充実に関する中央5団体連絡会議(全国消団連、ウォッチねっと、中央労福協、日弁連有志、日司連による情報交換の場)において、取り組みの調整、地域でのネットワークづくりに関する情報の共有と連携促進をはかります。
  • ② 消費者庁設置時の国会論議(附則)を踏まえ、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターが適切な役割分担のもとで消費者行政全体の機能強化につながるよう、有識者や消費者団体等を加えた第三者機関で検討するよう求めていきます。
  • ③ 悪質な事業者の違法・不当な収益を剥奪し、集団的消費者被害を救済する制度の創設をめざし、2012年通常国会での法制定をはかります。
(3)労働運動と消費者運動との連携の促進
 大多数の国民は労働者でもあり消費者でもあります。したがって、労働組合には消費者被害や「偽装」事件を生まないためのチェック機能が求められますし、消費者政策(価格競争)においても「公正なワークルール」が前提とされるべきです。また、多くの青少年が労働者としての権利侵害や悪質商法に無防備なまま社会に出て行く現状に対しては、教材の共同作成・配布などをはじめ労働教育と消費者教育を一体的に推進することが共通の課題ではないでしょうか。労福協は、これまでの運動で培われたネットワークを活かし、様々な場を通じて労働運動と消費者運動の共通認識を広げ、共同の取り組みにつなげていく「かすがい」としての役割を追求します。

4.連帯経済の促進に向けた政策の実現

(1)協同組合憲章の制定
 2012年国際協同組合年の重要な柱として同全国実行委員会で検討を進めている「協同組合憲章」(2011年11月を目途に最終案の取りまとめ予定)に基づき、政府に憲章の制定を求め、関係団体と共同で取り組みます。また、「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」の提言(2011年11月)を素材に関係団体での論議を深めつつ、できるところから実現に向けた取り組みを進めていきます。
(2)生協法改正に向けて
 2007年生協法改正の施行(08年4月)5年後の見直しに対応し、2013年での法改正をめざし、関係団体での検討・調整を踏まえた要望案をもとに、厚労省や政党への働きかけを行います。
(3)協同労働の協同組合法の早期制定
 「協同労働の協同組合法」の早期の国会成立を求めて働きかけます。
また、社会的に排除された人々の就労を通じた社会参加や「地域雇用創造」を促進する担い手として、「協同労働の協同組合」や社会的企業の果たす役割を重視し、その育成・支援を充実させ、コミュニティにおける就労と事業化を促進するための政策を推進するよう求めます。
(4)労働者福祉、協同組合に関する政策決定プロセス、運営への参画
 連帯経済や「新しい公共」の担い手として、労働者福祉や協同組合セクターの政策的位置づけを高め、政策決定プロセスや運営への関与を高めていくことを追求します。このため、協同組合セクターと政府との継続的な政策協議や、与野党国会議員との政策懇談会等の仕組みづくりを検討し、実現に向けて働きかけます。
 行政と非営利・協同セクターとの関係についても、単なるコスト削減や下請け型の業務委託ではなく、目的や基準を明確にした上での対等なパートナーシップに基づく関係へと再編成するよう働きかけます。
(5)政策・制度に関する要求と提言
 労福協が取り組む社会運動の重点課題のほか、中小企業勤労者福祉の向上、子育て支援の促進や高齢者の暮らしの安心確保、さらには財形・共済制度の改善、食の安全、住宅など事業団体に関わる政策・制度に関して、より実現を意識した要求・提言に取り組みます。各年度の具体的な要求・提言内容は、事業団体からの要望のほか、地方労福協の相談活動(ライフサポート、パーソナル・サポート)を通じた現場からの声や政策提言も汲み上げ、政策委員会で取りまとめの作業を行います。
 また、国際会計基準やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題に関して、協同組合への影響等について関係団体での情報交換を行い、必要に応じて対応を検討します。

5.地球環境保護、食の安全

 連合、中央労福協、労金協会、全労済で構成する「ライフスタイルを見直す環境会議」で、「食品ロスの削減」や「再生可能な循環型自然エネルギーの促進」等に取り組みます。また、引き続きエコキャップ運動(ペットボトルキャップを回収し世界の子どもにワクチンを送る)の促進に取り組みます。(製品改良の時期まで)
放射性物質の影響が懸念される食品の安全の確認を徹底し、食育、地産地消、食の安全等に対し、分かりやすく正確な情報提供を通じて消費者の安心・安全の確保に息の長い取り組みを進めていきます。

Ⅱ.暮らしの総合支援(ライフサポート)

1.暮らしの総合支援(ライフサポート)事業の体制づくりと着実な推進(総論)

全国の都道府県における地域を拠点とした暮らしの総合支援事業(ライフサポートセンター)の体制強化とサービス内容の着実な前進をはかります。

  • (1)各地域の先進的な事例を相互に学び、新たな分野の開拓と普及をはかるとともに、相談の具体的処理のノウハウなどの情報交換、経験交流を進めます。そのため、各地のライフサポートの担当者、相談員の研修・交流の場づくりを設定します。また、相談員の全国ネットワークの構築をはかっていきます。
  • (2)中央労福協のホームページ等において、全国のライフサポートセンター・相談窓口の広報周知を行います。また、必要に応じて特徴的な相談課題の事例紹介などについての支援を検討します。
  • (3)労働団体や労金、全労済を核としながらも、他の事業団体との連携も視野に入れたサポート事業の支援体制のあり方を検討していきます。このため、4団体での協議を深め、課題の整理をすすめ、各団体の役割を発揮していきます。
  • (4)事業団体の利用促進や行政との協働関係を高める取り組みを通じて、財政基盤の強化をはかります。
  • (5)地域(各県)の実情を充分認識し、現地中心の判断に基づく事業の展開を進めていきます。

2.パーソナル・サポート・サービス

  • (1)ライフサポートの延長としてパーソナル・サポート・サービスを位置づけ、労福協が積極的に関わることにより、国による制度化・全国展開を後押ししていきます。また、一般社団・社会的包摂サポートセンターと連携し、各地域でパーソナル・サポート・センター等が行う社会的包摂ワンストップ相談支援事業(寄り添いホットライン)の全国展開を支援します。
  • (2)パーソナル・サポート・サービス連絡会議を開催し、地方労福協が関わるモデル・プロジェクトを通じた支援、人材養成・研修等のノウハウの蓄積と共有をはかります。
  • (3)地方労福協は就労・生活困難者支援への取り組みを広げつつ、可能なところからパーソナル・サポート・サービスへの参画を進めます。中心団体としての実施が難しい場合でも、ネットワークの一員として協力支援や、自治体要請などを通じたバックアップに努めます。

3.就労・自立支援、仕事おこし

  • (1)経済危機のもとで雇用の崩壊が一段と進む中、「雇用あっての福祉」との観点から、就労・自立支援をライフサポートの重要な柱として位置づけます。地方労福協においても、無料職業紹介事業、住居を失った離職者へ就労・自立支援、国の助成を活用した事業、能力開発・キャリア支援やコミュニティビジネスの起業支援、障害者の就労支援など、様々な取り組みが広がっています。このため、「就業支援連絡会議」などを通じて、先進事例の経験交流や情報提供・共有を行うとともに、市民団体や専門家等を含めたネットワークづくりを進めます。また、雇用創出事業や、民間の就労・自立支援活動に対する国の支援・予算の拡充をめざし、地域における活用をはかります。
  • (2)職業訓練、就職困難者への中間的就労の場づくりなども今後重視していきます。
  • (3)ワーカーズ・コープと連携し、協同労働による仕事おこしを促進していきます。

4.フードバンク活動の普及・促進

  • (1)年間900万トン(米の生産量に匹敵)もの食べられる食料が無駄に捨てられている日本において、食品ロスを削減・有効活用し福祉活動支援にもなるフードバンクが社会的に注目され、行政も含めて推進の機運が高まっています。特に、東日本大震災を契機に、災害時における食糧支援システムとして転用できることで、より社会的有用性が高まっています。
  • (2)労福協としても、貧困問題、食、環境、福祉、防災などの運動に関わるテーマとして、「フードバンクを考える研究会」中間取りまとめを素材に、フードバンク活動の認知度の向上をはかる啓発活動やセミナーの開催、労福協のネットワークがどのように関わっていけるか加盟団体での議論を呼びかけ、地域におけるモデル事業づくりと普及・支援に取り組みます。
  • (3)セカンド・ハーベスト・ジャパンのフードバンク検討会に参画し、フードバンク団体とのネットワークづくりを促進します。
  • (4)国や自治体に対して、「新しい公共」としての戦略的位置づけに基づくフードバンク活動への支援を要請していきます。

5.中小企業勤労者福祉の充実

  • (1)賃金など基本的な労働条件をはじめ、福利厚生の面でも大企業と中小企業で働く労働者の格差は年々広がってきています。地域で暮らす市民の圧倒的多数は中小零細企業で働く人々とその家族であり、中小・未組織労働者の生活基盤の安定は、格差の是正や地域社会の発展、日本経済活性化の観点からも重要な課題です。また、大企業であっても、非正規職員のほとんどは福利厚生の対象になっていません。今や3人に1人が非正規雇用という実態を踏まえて、福利格差是正に向けた運動と制度を再構築していく必要があります。
  • (2)こうした観点から、中小企業勤労者福祉サービスセンターについては、引き続き自立と再生に向けて、ライフサポート・相談機能をも組み合わせた総合的福祉センターをも展望しつつ、行政・労働組合・事業団体・全福センターとも連携し、中央・地方を通じて取り組みを強化します。このため、中央労福協の中小企業勤労者福祉関係団体連絡会議において以下の課題等について経験交流や課題整理を行い、この2年間で一定の方向性を出せるよう努めます。
    • ① スケールメリットの発揮(広域化、共同化、中央での受け皿づくりの検討)
    • ② 利用しやすく魅力的なサービスへの改善
    • ③ 従業員ニーズに合わせてサービス・会費が選択できる複数会員制度の導入
    • ④ 大企業や公務部門からの福利厚生事業の受託、非正規労働者等への対象拡大の検討
    • ⑤ ライフサポートセンター等との連携、ネットワークづくり
    • ⑥ サービスセンターを通じた労金、全労済等の事業の利用促進
  • (3)中小企業勤労者の福祉格差の是正に向けて、国・自治体・事業主の役割・責務等の明確化、勤労者福祉に関する制度運用への労使の参画促進、ワーク・ライフ・バランスの推進等をはかる観点から関係法制を見直し、その整備・改善を国に求めます。
     また、中小企業勤労者福祉サービスセンターの改革を加速するため、国庫補助廃止に代わる新たなスキームでの財政措置の検討も含めて、国や都道府県の役割・責任を明確にしつつ支援策の拡充を求めていきます。

6.退職者・高齢者との連携・支援の活動

  • (1)退職者・高齢者の生きがいづくりは、ライフサポートセンターでの重要な柱となります。元気なシニアの多様で多彩な能力や技能が地域社会に活かされる環境とその支援システムづくりや、いきいき健康社会づくりなど、引き続き退職者団体とNPO団体との連携を進め、情報収集と加盟団体への情報提供・共有化を進めていきます。
  • (2)退職者が気軽に相談でき、労働組合や福祉事業団体と生涯を通じてつきあえる仕組みづくりに向けて、関係団体と協議を進めます。また、利用配当等を活用した先進事例について検討を進めます。

7.介護・子育て支援

  • (1)地域における介護・子育て支援サービスへのニーズの高まりに対応して、地方労福協においても国や自治体の事業受託のほか、全労済や生協、NPO等と連携した取り組みが広がっています。今後もパーソナル・サポート・サービスやライフサポートセンターの柱として取り組みを進めるとともに、厚生労働省のファミリーサポートセンター事業等をはじめ、介護保険サービス情報公開制度など各般の制度・事業について、中央労福協としても、政府の少子化対策会議や子ども・子育て新システム検討会議の動向をフォローし、国や自治体の動向、地方労福協の取り組み状況と先進事例の情報収集と共有化を進めます。
  • (2)子どもの貧困、引きこもりなど若年層の問題が深刻化するなか、地域のネットワークで子ども・若者の育成・社会参加を支援していく必要性も高まっています。一部の労福協や労働者協同組合が取り組んでいる引きこもり支援(若者サポートステーション/若者自立塾)などの先進事例も参考に、労福協としての関わり方についても検討していきます。

Ⅲ.協同事業、労働者福祉運動の基盤強化

1.2012年国際協同組合年の取り組み

 国連が決議した「2012年国際協同組合年」にむけて、「全国実行委員会」に参加し、協同組合の社会的認知を広める活動に取り組みます。

  • (1)「2012年国際協同組合年全国実行委員会」で検討を進めている「協同組合憲章」(2011年11月を目途に最終案の取りまとめ予定)に基づき、政府に憲章の制定を求め、関係団体と共同で取り組みます。
  • (2)また、政府に対して協同組合への統一した政策が進められるよう、関係協同組合との連携のもと窓口の設置を追求していきます。
  • (3)「協同組合の新たな展開に関する研究委員会」の提言(2011年11月)内容(協同組合基本法等の課題等)については、関係団体での論議を深めつつ、できるところから実現に向けた取り組みを進めていきます。
  • (4)貧困、格差、新たな就労などの社会的課題に対応するため、中央労福協は協同組合の国内組織である日本協同組合連絡協議会(JJC)への加盟(条件整備)を検討します。

2.協同事業団体の利用促進・支援の取り組み

 厳しい環境におかれている各事業団体を支援するため、以下の各項目を重要課題と位置づけ、労働組合や地方労福協及び各事業団体との更なる密接な関係を深めながら、これまで継続してきた支援策に取り入れていくこととします。

  • (1)設立時の初心に立ち返り、労働組合と事業団体が「ともに運動する主体」としての関係の再構築をはかり、組合員の利用促進につなげます。2020年ビジョンで示した協同組合の社会的価値や優位性に対する理解を浸透させるためのキャンペーン活動や、労働組合役員が率先して利用促進に取り組むよう、連合、事業団体の推進機構とも連携を強化します。
  • (2)協同事業団体と労働組合との連携を深め、貸付、共済など具体的な推進課題の協議の場を設けるとともに、推進方針の具体的化に向けた支援活動を行います。また,労働組合の方針に、積極的な事業団体利用促進についての記載を求めていきます。
  • (3)労福協に参加する事業団体の相互の連携と協力関係の強化をはかります。
    • ① 加盟団体から事業団体・関係系列会社等への紹介運動の取り組み
    • ② 事業団体の未利用団体対策(利用促進策)として事業団体間相互の会員団体・協力団体等の紹介運動
    • ③ 各事業団体の事業を一体的な労働者福祉事業と位置づけての推進実施
  • (4)ライフサポートセンターを新たな労働者福祉事業推進チャネルと位置づけ、利用促進につなげます。
  • (5)中央・地方労福協は、自らの活動が事業団体の利用促進や支援につながっているかという観点から自己点検を行い、会員事業団体の信頼を確かなものにするよう努めます。こうした信頼関係のもと、地方労福協が安定した活動が継続できるよう、事業団体には引き続き理解を求めていきます。
  • (6)労働組合未加入者、NPO関係者などを対象とした事業団体の利用促進・拡大について、労福協と事業団体との協議を進めます。

3.労働者福祉運動を担う人材の育成・教育活動

  • (1)労働運動・労働者福祉の運動に対する労働者の理解や関心が希薄になっているといわれ、これからの運動を担う若手の人材の育成・教育活動が共通の課題となっています。このため、2006年度から始めた労働運動・労働者福祉運動の理念・歴史講座を、各ブロック・各県に広げていく取り組みを促進します。
  • (2)このため、中央労福協主催の「労働者福祉運動の理念・歴史・リーダー養成講座」(東西開催)は2012年度までとし、2013年度からは可能な限り各ブロック単位の開催とします。また、必要に応じ講師派遣や費用補助を行います。
  • (3)関係団体の教育部門との連携により、講師養成や共通カリキュラム・教材等の開発を進めます。また、受講生のネットワークと実践活動の場の提供等についても検討を進めます。
  • (4)ライフサポートや教育活動などにおいて、労働者福祉運動のOB等で専門的能力を持った人材を有効に活用し、アドバイザー・協力スタッフとして中央労福協の活動をサポートする体制をつくります。

4.会員拡大と財政基盤強化に向けて

 未加盟労働団体、福祉事業団体などの会員拡大を進め、労働者福祉運動、協同組合運動の裾野を拡大するとともに、財政基盤の強化を進めます。

5.「日本労働文化財団」との連携

  • (1)連合など関係団体が設立した公益財団法人日本労働文化財団との連携を深め、就労支援など勤労者生活の改善に向けて取り組みます。
  • (2)連合の人材育成に向けた大学院構想についても、労働者福祉運動の人材育成にもつながるものとして、連携していきます。

6.新公益法人制度への対応

(1)新公益法人制度対策
  • ① 2013年11月末が従来の公益法人が新公益法人制度への移行期限です。すべての法人が移行できるよう、情報発信および情報交換できる場を提供します。
  • ② 新公益法人制度移行後の一般社団・財団法人は公益目的支出計画が終了するまで、決算を行政庁が監督します。同じく移行後の公益社団・財団法人は、公益認定基準の継続などを行政庁が監督します。移行した法人へ決算処理のサポート、公益認定基準継続の情報提供などを行います。
  • ③ 一般社団・財団法人に移行した法人、新公益法人制度発足後新たに一般社団・財団法人となった法人が、公益認定をめざす場合においても、支援していきます。
(2)労働者福祉中央協議会の法人格の取得について検討し、条件整備を行います。

Ⅳ.経常活動、研修・広報活動

1.各種会議の機能的運営

(1)機関会議
  • ① 幹事会は年に3回程度開催します。
  • ② 三役会は1~2ヶ月に1度開催します。
(2)加盟団体会議
  • ① 事業団体会議、地方労福協会議、労働組合会議を年2~3回程度開催します。相互の情報交換と意思疎通をはかるほか、それぞれの課題に応じたテーマでの討議、研修等も盛り込み、機能的で充実した運営をめざします。
  • ② ブロック事務局長会議を開催します。年に1度はブロック会長・事務局長会議とします。
  • ③ 事業団体と地方労福協の合同会議を年1回開催します。必要に応じて事業団体・労働組合の合同会議やテーマ別懇談会を開催します。

2.研修活動の充実

(1)全国研究集会
 引き続き年1回全国研究集会を開催します。内容については、2012年は国際協同組合年など情勢にあったテーマの設定や活動との連動など、質の高い研究集会を開催します。
(2)地方労福協事務担当者研修会
 地方労福協の事務担当者を対象に、中央労福協の活動に理解を深め、相互の交流と意思疎通をはかることを目的に、年1回開催します。

3.国内外の調査・交流視察の派遣

(1)欧州労働者福祉視察団の派遣
 引き続き、毎年秋頃に欧州労働者福祉視察団を派遣します。欧州における金融・共済(保険)・協同組合・環境等をめぐる環境変化や自主福祉活動の現況なども含め、関係団体と相談しつつテーマ・研修プログラムを検討します。
(2)中国との交流
 引き続き中国職工対外交流中心との友好関係を維持し、関係団体とも調整しつつ日中両国の労働者福祉事業の交流を促進します。
(3)地方労福協の先進的活動の視察交流(国内交流)
 先進的活動を行っている地方労福協の視察交流を必要に応じて開催します。

4.広報活動と情報化

(1)ニュースレターの発行
 ニュースレターの月1回定期発行を継続します。また、地方労福協、事業団体、連合等の記事を掲載し、内容の充実をはかります。
(2)ホームページによる情報発信
 ホームページには迅速な情報発信に加え、全国のライフサポートセンター・相談窓口の紹介など重点的活動の情報を掲載します。
引き続き、地方労福協活動のホームページ作成・充実の支援をします。
(3)現行社会保険制度の概要
 引き続き「現行社会保険制度の概要」(掲示用)を、会員および要望のある単組、団体に向け、10月に発行します。またホームページにおいて最新情報を更新、地方労福協のホームページからも閲覧できるようにします。

5.調査研究活動

  • (1)連合総研や教育文化協会とは、引き続き労働者自主福祉に関する調査研究、研究者等とのネットワークづくりについて協力関係を深めます。
  • (2)「協同組合の新たな展開に関する研究委員会報告書」(2011年11月)の成果も踏まえ、連帯経済を促進するための政策支援や協同組合に関する法制のあり方等について、より具体的・実践的に掘り下げていくことを継続課題とし、必要に応じて関係シンクタンクや事業団体等との共同研究・委託研究を行います。
  • (3)その他、貧困問題や中小企業勤労者福祉などの課題についても、ネットワークの関係者、専門家等の協力も得ながら調査研究成果の運動への活用を追求します。

6.労働組合の税務・会計サポート

(1)「労働組合の会計税務に係る実務マニュアル」の発行・普及と会計税務実務研修会
 労働組合が、組合員に対し活動状況を明らかにするため、決算報告をしていますが、さらに、明瞭で適切な会計報告を行うとともに適格な税務処理を目的に、「労働組合の会計税務に係る実務マニュアル」を、税制改正などの情報を加えて発行します。
この実務マニュアルによって、労働組合の会計のあるべき方向を確認するとともに、日々の会計・税務の処理や月次・決算時の処理、確定申告など、様々な場面で活用できる会計実務書となるよう普及をはかります。また、地方労福協が開催する労働組合の会計税務研修会において、講師派遣や税務相談を行い、実務マニュアルをテキストにして、会計処理の充実、税務処理の適正化を進めます。
(2)会計ソフトの導入支援
 会計ソフトは、複式簿記の帳簿作成、集計・転記ミスがなくなる、活動の状況がすぐ把握できるなど、導入メリットが大きく、引き続き未導入の労働組合へ導入を進めます。
(3)税務サポートの会
 現在、労働組合の会計担当者および個人の税務問題を対象に税務の電話相談を受ける「税務サポートの会」を運営しています。実務マニュアルやホームページなどで解決することができない、また相談先が見当たらない問題を解決する相談機関として普及・浸透をはかります。

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