活動方針

2004~2005年度活動方針

はじめに

 長引く不況、社会保障制度の後退、企業のリストラなどによる生活の危機と将来不安。勤労者を取り巻く環境は厳しく、そして続きます。しかし、私たちは負けてはなりません。
中央労福協は、連合・労働事業団体・日本生協連・NPOなどと連携し相互の力を集め、「助け合い」や「協同・連帯」を原点に、生活の場・地域に福祉活動のセーフティネットを張り巡らせるために、引き続き“行動し提案する労福協”へ自己革新をはかり前進します。

2003年に立ち上げた5つのプロジェクト課題の実践に向け、地域での取り組みをはじめよう!

  • (1) 中小企業勤労者福祉サービスセンターの充実・再生
  • (2) 介護サポート
  • (3) ファミリーサポート、子育て支援
  • (4) 退職者・高齢者との連携と支援
  • (5) ライフセミナー・生活応援運動

新しい取り組みとして次のことにも挑戦しよう!

  • (1) 労働者福祉運動の次代を担うリーダー養成
  • (2) 日本生協連と連携した消費者保護基本法の抜本改正や食の安全・環境保全の取り組み
  • (3) 暮らしの安全運動として震災対策の救援ネットワークづくり
  • (4) 福祉なんでも相談ネットワークづくり

I.活動の基調

  1. 「人と暮らし、環境に優しい福祉社会の実現」に向けて政策・制度の改善をはかるとともに、自主福祉活動の充実強化に努めます。
  2. 労働団体と事業団体の相互理解に立って、各事業団体の基盤強化と勤労者の生涯福祉実現に向けて努力します。
  3. 労福協活動を勤労者・生活者の暮らしに定着させるため、地域における活動を一層重視します。このため、中央労福協は地方労福協を通じ地域に対する必要な支援を行います。
  4. 関係各省庁および地方自治体との関係を密接にしつつ、各政党の協力を求め、福祉に関する政策・制度要求の実現をめざします。
  5. 中央・地方における加盟団体間の連携を強め、労福協自らの力量を高めます。

II.具体的な取り組み

1.重点政策課題プロジェクトの検討結果を実践に生かそう!

 連合・事業団体・労福協が協同して重点政策課題の実践に向けてのワーキンググループをつくり、活動を前進させるために出来るところからひとつずつ取り組んでいくこととします。

(1)中小企業勤労者福祉サービスセンターの充実・再生に向けた取り組み
[1]プロジェクトの考え方をベースに、中央労福協・事業団体・連合はどんな役割を果たすことができるかをまとめます。
[2]厚生労働省・全福センターと中小企業勤労者福祉サービスセンター(以下サービスセンター)の改革についての意見交換を行います。
[3]2004年2月~4月の間に、〔労福協・事業団体・連合〕と〔厚生労働省・全福センター〕〔経営者団体〕の三者による対策会議が設置できるようにします。
[4]また、場合によっては労福協・事業団体・連合の三者が母体となり、モデル事業として、サービスセンター・互助会事業を行政からの受託事業として運営する体制の検討も行います。
(2)介護サポートの取り組み
 介護をする人、介護を受ける人のお互いの気持ちを受け止め、全労済・日生協・NPOが進める介護・関連事業との連携を深めます。
また、ケアマネジャーの紹介をはじめ、地域における福祉の相談ネットワークづくりに取り組みます。
(3)ファミリーサポート、子育て支援の取り組み
 プロジェクト活動を通じて、昨年9月に発足した「日本子どもNPOセンター」と出会いました。「日本子どもNPOセンター」は、21世紀の子どもたちを支える地域社会の創造をめざして活動しています。
私たち労福協は、地域活動の柱のひとつとして、子どもの心と体の保護と発達に関する環境づくりや、子育てに悩む人たちを支援する仕組みを今後展開します。
具体的には、「日本子どもNPOセンター」が子育て経験者に呼びかけ“子育て支援士”を養成し子育てに悩む人達を応援する取り組みの支援や、定年退職者・高齢者の方々の協力を得て子育て支援につながる取り組みを進めます。
(4)退職者・高齢者との連携と支援の取り組み
元気で頑張っているシニアを応援する取り組みとして、全米退職者協会(AARP)やニッポン・アクティブライフ・クラブ(NALC)などの先進事例に学び、地域をベースとした生きがい・健康づくり・趣味の会・ボランティア活動が具体的に展開できるよう、連合・事業団体とも調整しながら取り組みます。
また、事業団体とは、“生涯取引”を具体化した新共済商品等の開発を早急に行なうよう労福協の場でも論議を深めます。
(5)ライフセミナー・生活応援運動の取り組み
組合員だけでなく、中小・未組織勤労者や地域市民を対象としたライフセミナーを各地方労福協において確実に実施していきます。
プログラムは退職前セミナー・保障設計の見直し・財形貯蓄制度の活用を柱とし、勤労者の生活福祉支援の充実に努めます。
また、多重債務問題は福祉なんでも相談等でも取り扱えるよう体制づくりをしますが、未然の防止の取り組みとして、高校・大学生や若い人達を対象に労働金庫や学校関係者の協力を得て、講座等の検討をします。

2.政策・制度要求の実現に向けた取り組み

  • (1) 連合は、雇用創出と安定成長の実現、年金・医療など社会保障の基盤強化、環境、教育など生活の安心と社会的公正の確立をはかるため、国民的運動を地域で展開する方針を提起しています。
     私たち労福協は、中央・地方においてこの運動と連帯し、行動に立ち上がらなければなりません。具体的には、2004年6月に向け、取り組み内容の検討を深めます。
  • (2) 労福協として独自の政策・制度改善の取り組みは、連合の取り組みと併行して、その実現に向け中央・地方において展開します。重点政策課題の実践を通じて、地域で福祉の実践を担う立場からの提案型の取り組みへと質の転換をめざします。

3.税務サポート対策と会計ソフトの導入支援

  • (1) 税務研修会は、労組への啓発と会計・税務の適正な対応・整備のため、引き続き2~3年は継続して実施します。
    具体的には、中央・地方において、連合・労金・全労済・労福協の4者で協議し、支援体制を確立することとします。
  • (2) 中央労福協は、協力税理士による税務相談・講師派遣・税務研修会のテキスト・マニュアルなどの作成・カリキュラム検討等により、地方労福協への支援を行います。
    税務相談については利用者負担を原則とし、会員には電話による相談、各種情報提供とテキストの配布等を行います。
    なお、実務マニュアルの改訂版は事例集を増やし、2004年2月に発行を予定します。税務研修会は、財団・社団対象は3月、労働組合関係は5~6月を目途に開催します。
  • (3) 中央労福協は、引き続き会計ソフトの導入を支援し、適正な会計処理によって事務の効率化・省力化等をはかります。
    具体的には、未導入の8地方労福協に対する導入支援と導入希望労組を対象に取り組みます。
  • (4) 公益法人改革の課税問題に対しては、非営利法人の本来事業(会費・寄付金等)は原則非課税との立場で、関係団体・NPO等と連携した取り組みを進めます。

4.広報活動と情報化・データベース化の積極的推進

(1)中央労福協ホームページの内容充実により一層取り組みます。
[1]会報については年2回(1月・6月発行)とし、通常はメールニュース・ホームページにトッピクスとして福祉情報などを掲載します。[2]また、社会保険制度の要点Q&A・税務相談Q&A・なんでも福祉相談ネットワーク情報も掲載していきます。
(2)地方労福協のホームページ開設・運用や情報技術の向上のための支援を引き続き実施します。
(3)各種調査活動については、2004年2月下旬開催の第1回地方労福協会議で再検討のうえ実施します。
<検討するもの>
[1]地方労福協活動実態調査
(3年に1回、前回は2001年4月~2002年3月時点の調査)
[2]地方労福協の中小サービスセンターに関わる実態調査
(2年に1回、前回は2001年7月~8月時点の調査)
[3]その他地方労福協が個別に行っている介護・子育て・退職者高齢者・生活実態調査等々について意見交換
[4]労福協と連合・労金・全労済で行う自主福祉に対する共同研究に関わる調査

5.研修活動の充実

(1)全国研究集会
2004年度は6月3~4日に福岡で開催します。2005年度は愛・地球博(愛知万博)を応援するために愛知で開催します。
(2)地方労福協事務担当者研修会
2004年度の事務担当者研修会については、2004年2月下旬から3月上旬に実施します。
(3)事務局長研修会
2004年度の事務局長研修会については、地方労福協会議とセット開催とし、2月と10月に1泊2日で実施します。
(4)国際交流
[1]欧州労働者福祉視察団
地方労福協・事業団体・労組加盟団体で実行委員会を設置して、2004年度以降の海外視察のあり方について検討します。テーマについては、女性の社会参加、ワークシェアリング、年金、子育て、高齢者、生協、共済等の福祉課題とします。
[2]専門課題調査団
リーバースモーゲージ、退職者の会等のテーマを絞り、短期間の専門課題調査を実施します。
[3]中国との交流
日中両国の労働者福祉事業の交流を促進するため、中国職工対外交流中心を窓口に、現地でのセミナーの実施や友好訪中団の派遣等について企画・調整します。
(5)国内交流
地域福祉の先進的な現場を訪問し、今後の労働者福祉運動に活かすことのできる国内交流を実施します。

6.労福協加盟の事業団体の経営を支援する取り組み

 永年にわたり労福協運動を支えてきた各事業団体の経営環境は、引き続き厳しい環境にあります。
各事業団体のたゆまぬ改革の実行と、その事業を必要とする利用者の支援・連帯の取り組みは、一体のものであり不可欠です。
具体的には、中央・地方労福協は事業団体会議を充実し、利用者側の声を事業に反映し事業の再生に向け関係者の支援・協力が得られるよう更に積極的に取り組みます。

7.加盟団体会議の機能的運営

  • (1) 事業団体会議、労働組合会議、地方労福協会議の各加盟団体会議は、それぞれの課題に応じたテーマ設定や研修等を加味して討議の活性化をはかり、機能的な運営をめざします。
  • (2) 地方労福協ブロック事務局長会議は、年2回は代表者を加えた会長・事務局長会議として開催し、中央・地方の意志疎通と連携強化をはかります。

III.新たな取り組みを成功させよう!

 新たな取り組みを通じ、私たちの運動の弱いところ、足りないところを補い、地域に労働者福祉運動を定着させるため、次のような取り組みを進めます。

1.労福協講座の開設

 労働者福祉運動の次代を担うリーダー養成のため、労福協講座を開設します。
講座の内容については、労福協・事業団体・労組加盟団体で企画の検討をし、2004年4月以降から実施できるようにします。

2.日本生協連・NPOと連携した食の安全・環境保全・地域福祉・消費者保護基本法の抜本改正などの取り組み

 私たち労福協の強みは、日本生協連やNPOの多くの方達と連携がとれることです。地域福祉運動発展のため、地方労福協は日本生協連・NPOと手を組んで下記の課題に意欲的に取り組みましょう。

  • [1]国及び地方自治体における食品安全行政の確立
    地方ごとに条例制定や自治体方針策定で具体化していきます。
  • [2]地球温暖化対策
  • [3]地域福祉、介護分野での連携
  • [4]新しい消費者主体の社会形成に向けた取り組み
    消費者の権利を基本にすえた総合的な視点から、消費者保護基本法の抜本改正と消費者政策の充実強化に取り組みます。
  • [5]子育て支援、男女共同参画社会づくりの促進

3.暮らしの安全運動として震災対策の救援ネットワークづくり

 連合が東京や静岡で取り組んでいる震災時の救援活動、日本生協連が行政の協力も得て取り組んでいる震災図上シミュレーション、全建総連が取り組んでいる住宅の耐震診断など、震災対策には様々な有効手段があり、これらは平常時からの訓練の積み上げが不可欠です。
 労福協は、国土交通省の東南海地震に指定されている21都府県497市町村で自主的な救援活動を展開するため、連合・行政・市民団体とも連携し、私たちが参画できるボランティア活動などモデル的な取り組みを検討します。

4.福祉なんでも相談ネットワークづくり

 介護・子育て・多重債務をはじめ、様々な悩みや問題解決のための相談に地域において対応できるよう、ネットワークづくりを支援します。
 具体的には、2004年5月を目途にモデルをブロック単位につくることとします。

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