中央労福協は10月1日、認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワークの吉田恒雄理事長を講師に迎え、児童相談所での相談件数が過去最高を記録するなど深刻さを増している子どもの虐待問題に関するWeb学習会を開催、94名が参加した。
昨今の報道ではコロナ禍による巣ごもりで子どもの虐待が急増しているかのような印象を受けるが、統計ではそれほど影響は見られないという。むしろ20年以上前から虐待件数は増え続けており、年間80人近くの子どもが命を落としているというのが実態だ。その背景には親の貧困、夫婦と家庭の崩壊、世代間連鎖など複雑な要因があり、虐待を生み出さない環境整備は簡単ではない。引きこもりや介護と同様に、家庭だけでは支えきれない、子どもを中心に置いた地域の望ましいあり方を考える必要がある。吉田理事長は「子どもの虐待防止には、予防→発見→支援といった切れ目のない支援が必要となる。そのためには行政、学校、民間団体など幅広い応援者を含めたネットワークの構築が大事」と説く。
同NPOが取り組む児童虐待防止の啓発を行う「オレンジリボン運動」についてもご紹介いただいた。子どもへの虐待による痛ましいニュースを聞くたびに何かできないかと自問しつつも、行動に移せないという方も多い。オレンジリボンをつけることで虐待防止の意志を表明すること、子どもや子育て中の親へのねぎらいのひと声をかけること、温かい眼差しを送ることなど、一人ひとりができることをすることが児童虐待の防止につながる。一市民として、一歩踏み出す、自分ごととして考えるきっかけを得る機会となった。