中京大学・大内裕和教授と中央労福協主催で、4月12日、文部科学省内で「コロナ禍における困窮する学生たちの現状と学費等への支援の必要性に関する記者会見」を合同で実施した。コロナ禍が長引く中において、学費や生活に困窮する学生への支援を訴えた。今回は全国で学生への物資支援に取り組んでいる日本生協連も同席した。会見には大手各記者から8社9名が列席した。
冒頭、中央労福協・神津里季生会長は「我が国は、社会が若者に対して安心して勉学を打ち込める仕組みになっていない。この状況がコロナ禍によってその脆弱性として現れている。また、コロナの影響で外食産業等が置かれている厳しい状況は、そこで生活費を稼ぐために働く学生のアルバイトの減少にもつながり、困窮する学生への支援が求められている。」と挨拶があった。
中京大学・大内教授は「2020年の大学中退者数は全体として前年より減少している、これは、学費の延納・分納、などの学生支援や、オンライン授業の影響で下宿生の多くが実家に戻り、生活費を節約したことによるものだが、コロナ禍による中退者がいること自体が大きな問題だ。また、食料や生理用品が買えない学生が増えている問題は、学生生活がひっ迫していることの表れである。中退させないということは最低条件だが、在籍できても食料がない、生理用品が買えないないから学校へ行けないなどの問題もある。こうした状況を打開するため、専門学校の中退者数の調査、学費の延納・分納・減額とそのための政府の支援策、学生への新たな給付金、授業料減免枠の拡大と給付型奨学金の対象拡大が必要だ」と訴えた。
中央労福協・南部事務局長は、文科省に学費と奨学金への支援に関する第四次緊急要請を行い、「学生支援緊急給付金」の拡充と継続などを訴えたことを報告し、また、2020年に中央労福協が立ち上げた「ろうふくエール基金(生活・就労応援基金)」で、北海道労福協と大阪労福協がそれぞれ、生協と連携してコロナ禍において困窮する学生への食料支援を行ったことを紹介した。
日本生協連・二村常務執行役員・組織推進部長は、全国の生協がJAや労働組合、地方労福協などと連携して行っている学生支援の取り組みを紹介。「学生への食料支援には、募集に対して予想を超える申し込みがあり、その状況からも学生が困っている状況が明らかだ」と話し、学生からは「オンライン授業で中々友達ができない、食料支援を受けるために久しぶりに登校した」など、様々な声があがっていることを説明した。また合わせて全国大学生協連が実施した2020年学生生活実態調査について報告を行い、最後に、「学生生活を継続し、しっかり学べるよう社会全体での支援が不可欠だ」と訴えた。