労働者福祉中央協議会
事務局長 南部 美智代
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本日、参議院本会議において「労働者協同組合法案」が可決・成立した。組合員が自ら出資し、それぞれの意見を反映して事業を行い、自らが事業に従事することを基本原理とする労働者協同組合について法的根拠を与えるものである。日本労働者協同組合連合会(以下、労協連)や笹森清・元中央労福協会長が会長を務めた「協同労働の協同組合法制化をめざす市民会議(以下、市民会議)」など関係者の長年にわたるご尽力が実を結んだことを祝したい。
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本法案は、協同組合関連法としては42年ぶりの新法案となる。事業内容にほとんど制限がなく、誰もが自由に協同組合を組織し届け出ること(準則主義)によって法人格が得られることは、日本の協同組合史において画期的な法制度であり、協同組合の可能性を大いに広げるものと期待する。
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本法案の成立により、新たな働き方の選択肢が増えるとともに地域の活性化に繋がることが期待される。後継者がいない中小地場企業の継業や、引きこもりや障がいのある人たちの働く場づくりなどが拡がることが見込まれ、農業や林業、子育て、介護、街づくり、福祉など地域における多様な需要に応じた事業の実施も可能になる。皆が互いに支え合い持続可能で活力ある「地域共生社会」の構築に向け、労働者協同組合が重要な役割を担うことが期待され、本法案はこれを促進するものである。
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制定段階で懸念された労働者性の問題については、法案に労働契約締結の義務が明記され、労働者協同組合で働く人たちが労働基準法などの労働法制で保護されることが明確化された。法施行後は、法の目的に沿った適正な運用が徹底されることが求められる。
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中央労福協は、2006年以降、毎年の政策・制度要求の中で法制化を求め、労協連や市民会議が実施する団体賛同署名、自治体での意見書採択、全国各地での市民集会などを通して法制化に向けた後押しを行ってきた。今後は、法案の主旨を周知するとともに、労協連と連携し、労働者協同組合を地域に根付かせ、協同労働による仕事おこし・地域づくりの促進に取り組んでいく。
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以上
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12月4日(金)法案成立後の報告会で喜びの声をあげる労協連・