カジノ実施法案の成立に関する談話
2018年8月1日
労働者福祉中央協議会(中央労福協)
事務局長 花井 圭子
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特定複合観光施設区域整備法案(以下、「本法案」という。)が7月21日、参議院本会議において賛成多数で可決・成立した。条文が251条におよぶ大型の新規立法にも関わらず十分な審議を行わず、多くの課題や懸念を残したまま、数の力で強引に法案を成立させたことは、極めて遺憾である。
また、延長国会の期間中、西日本豪雨により多くの被災者が避難を余儀なくされているなか、災害対策より本法案の成立を優先した政府の姿勢は誠に残念であった。
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カジノ解禁にはギャンブル依存症や反社会的勢力の介入、マネーロンダリング(資金洗浄)などの懸念が指摘されている。
とりわけ、政府が「世界最高水準の規制」とするギャンブル依存症対策の実効性への疑念は残されたままだ。本法案にあるギャンブル依存症の歯止めとされる「週3回、28日間で10回」の入場回数制限だが、24時間営業のカジノにおいて、それだけカジノにいれば依存症に陥る恐れが十分にあるといえる。
また、本法案には、カジノ事業者が手持ちの掛け金が不足した顧客に金銭を貸し付けることができる「特定金融業務」まで盛り込まれた。この制度は年収の3分の1超の貸し付けを禁止する貸金業法の対象外であり、ギャンブル依存症や多重債務を助長し、ひいては自己破産や自殺者の増加にも繋がりかねない。人の不幸を前提とするカジノ解禁による経済振興など断じてあってはならない。
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中央労福協は、退職者連合、消費者団体、法律家等と連携し、様々な問題点を指摘しながらカジノ解禁に反対してきた。
本法案の成立で2020年代前半にも最大3か所のカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業が可能となり、誘致を希望する自治体による計画作りなど、開業に向けた具体的な動きが始まる。
「多重債務のない社会」をめざす中央労福協は、引き続き関係団体と連携しつつ、自治体に対し指摘される様々な懸念や課題について冷静に分析し判断するよう求めていくとともに、カジノを誘致させない運動に取り組んでいく。
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以 上