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生活困窮者自立支援法等改正案の成立に関する談話

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2018年6月1日

 

 

労働者福祉中央協議会

事務局長  花井 圭子

 

  1.  本日、参議院本会議において、「生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」が可決・成立した。
     生活困窮者自立支援法は2015年4月に施行され、複合的な課題を抱えた方々に寄り添った包括的な支援が各地で実践され、成果を積み重ねてきた。同法の改正は施行3年後の見直しに伴うものであり、発展途上の制度であるため課題は多いが、次のステップに向けての大きな一歩として評価したい。

     

  2.  生活困窮者自立支援法の改正では、新設された基本理念に「尊厳の保持」「地域社会からの孤立」などが盛り込まれたほか、これまで任意事業であった就労準備支援事業や家計改善支援事業が努力義務化され、両事業と自立相談支援事業との一体的実施を促進するとともに、子どもの学習・生活支援事業や居住支援についても強化された。
     国会審議を通じて、就労準備支援事業と家計改善支援事業については、今後3年間で集中的に実施体制を整備し、全ての地方自治体において両事業の完全実施を目指すことが確認された。また、その他の任意事業についても実施率を高めつつ、次期改正における必須化に向けた検討を行うことが参議院の附帯決議に盛り込まれた。こうした目標に向かって、国や自治体、支援団体をはじめ、すべての関係者が基本理念を共有しつつ、一体となって取り組んで行くことが必要である。

     

  3.  生活困窮者自立支援事業は、人が人を支えることを根幹とする制度である。しかし、事業の委託は多くが単年度契約であり、制度を担う相談員・支援員も1年契約で先行きの見えない不安を抱えている。制度を持続可能なものとするためにも、参議院附帯決議に基づき、委託契約にあたって支援の質や実績を総合的に評価することや、「相談員・支援員が安心と誇りを持って働けるよう雇用の安定と処遇の改善」を着実に進めるよう国・自治体に求めたい。また、地域づくりとも密接に連携させ、就労支援等の受け皿となる団体や企業が取り組みやすい環境を整備していくことも課題である。

     

  4.  生活保護法の改正で、生活保護受給者にのみ後発医薬品が使用原則化されたことは、医療の平等の観点から極めて残念である。生活保護世帯の子どもの大学進学支援については、進学準備給付金が支給されることになったことは一歩前進ではあるが、進学を後押しするには不十分であり、更なる拡充と改善に向けて進学時の世帯の取扱いも含めて早期に検討を行い、必要な措置を講ずるべきである。

     

  5.  中央労福協は、生活困窮者自立支援制度の発足前のモデル事業の段階から積極的に関わってきた立場から、今次改正を受けての更なる制度の定着・発展に向けて、就労支援等の強化に取り組んでいく決意である。あわせて、生活困窮者支援と貧困をなくす運動とは車の両輪であることから、本年10月からの生活保護基準の大幅な引下げに対しては撤回を求めるとともに、国民生活へ影響を及ぼさないよう取り組む。

     

 

以上

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