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第46回Web学習会「子どもの貧困の現状とキッズドアの活動」

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2024年12月17日

 12月16日、中央労福協は第46回Web学習会を開催し、107名が参加しました。今回は、認定NPO法人キッズドア理事長の渡辺由美子さんからお話をいただきました。

 渡辺さんからは、日本では子どもの9人に1人が貧困状態に置かれており、その中でも特に、母子世帯の状況が深刻であること、それが母子世帯の親の就労形態が非正規である割合の高さに起因していることなど、子どもの貧困は自己責任ではなく、社会構造の欠陥が作り出していることを、データを挙げて説明いただきました。

 それが教育格差を作り出しており、住環境や教育費などの経済的な問題だけでなく、本や美術品へのコミットなどの文化的資本の問題、子どもを見守り、ケアし、育てていく社会関係資本の欠如などが相互に作用し、健全な高い学力の形成を妨げていると分析されました。

 しかし、この状況下において、日本の一般政府総支出のうち教育費への支出割合は7.8%であり、OECD平均の10.6%を大きく下回っていること、特に、高等教育段階で、大きい私費負担が生じていることが問題であると指摘されました。

 そのうえで、キッズドア・ファミリーサポートの登録世帯に行った調査結果をもとに、困窮子育て家庭の中高生の実態が報告されました。その中で、入学時の初期費用である教科書やPC等への多額の出費が大きな負担になっていること、物価高騰の中で、子どもの成長に必要な食品を減らさざるを得ない実態にあること、経済的理由で部活動を入るのをあきらめた子どもが約4割もいたことなどが、明らかになりました。

 そしてほとんどが給付型奨学金を得て進学するが、学費が払えなくなって退学に追い込まれることや、アルバイト等で勉強が滞ることを心配する学生が多くいること、Wi-Fi環境の有無など、デジタル格差の問題も深刻であること、旅行などの体験の格差も大きいことなどが報告されました。

 最後に、キッズドアの取り組みとして、自立する力を育て、貧困の連鎖を断ち切るために学習支援を行ったり、居場所支援を行ったり、体験活動を行っていることが紹介され、学習会を終了しました。

認定NPO法人キッズドアではクラウドファンデングを行っています。

可能な方は、ぜひご協力ください。

<冬休み緊急食料支援>不足する食料と学習機会を子どもたちへ届けます

 

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