労働者福祉中央協議会
事務局長 南部 美智代
- 3月31日、「大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案(大学等修学支援法改正案)」が参議院本会議で可決・成立した。今回の法改正は、2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略」において定められた、「2025年度から、多子世帯の学生等については授業料等を無償とする措置等を講ずる」ことを踏まえて行われたものであり、扶養する子が3人以上の多子世帯の学生等には、所得制限なく授業料等を一定額まで減免する制度を創設することが主要な改正事項となっている。
- これまで低所得世帯に限定されていた高等教育の修学支援において、多子世帯の一部とはいえ、初めて所得制限を設けない形での枠組みができたことは、労福協がめざす「普遍主義」による高等教育無償化への道筋を開く一歩となりうるものであり、歓迎する。しかし、所得制限なしに支援の対象となるのは、多子世帯であっても扶養する3人以上の子どもがいる家庭の子に限られており、少子化対策としても不十分である。教育の機会均等の実現は道半ばであり、課題を残した。
- 特に、財源が消費税に限定されていることは、今後の政策選択の幅を著しく狭めている。このため、立憲民主党、国民民主党は、財源を「消費税」と限定しているところを広く財源を求められるようにする修正や、高等教育無償化までの工程表作成の義務付けなどの「修正案」を提案したが、否決された。結果として原案通りでの法案可決となったことは誠に残念である。
- 一方で、国会審議の中では、予算の確保さえできれば、年収300万円程度から600万円程度までの範囲に関して、法改正を要せずに支援を引き上げることが可能であるとの答弁を得るとともに、附帯決議でも、前提付きではあるものの、初めて「高等教育の無償化を推進する」との文言も入り、消費税に限らない安定的な財源の確保や、今回の不十分な修学支援新制度の見直しについても記載された。さらに奨学金についても、貸与型から給付型、有利子から無利子への流れを加速することなどが記載されており、一定の前進があったと評価できる。
- 今後は法改正を実効性のあるものにしていくとともに、高等教育無償化にむけて残された課題について議論を継続し、速やかに実行に移していくことが必要である。中央労福協は、「すべての人が学べる社会へ 高等教育費負担軽減プロジェクト」の取り組みを軸に、個人署名の継続など、引き続き誰もが安心して学べる社会や高等教育の漸進的無償化の実現をめざして、残された課題の改善に全力で取り組んでいく。
以 上