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SSE連続講座⑪|韓国の社会的経済政策の展開から学ぶ

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2024年7月29日

 中央労福協は連続講座「『つながる経済』で社会を変える!」の第11回を7月22日に開催し、社会的連帯経済(SSE)を促進する政策・法的枠組みを学んだ。SSEではアジアのトップを走る韓国の市民運動や社会経済政策を学ぶことで、日本にどう活かすかを考えた。

 講師は慶熙大学フマニタスカレッジ兼任教授の姜乃榮(カン・ネヨン)氏で、地域の多様な課題や人びとをボトムアップでつないでいく「地域ファシリテーター」として活躍している。ナビゲーターの法政大学大学院教授・伊丹謙太郎氏の質問に答え対話する形で進行した。

 韓国ではSSEはどのような存在なのか。それは法律や制度によってつくられたものではなく、本来の経済の目的や社会原理(助け合い・協力、弱者への配慮、公平な分配など)が崩れたことにより、人間らしい暮らしのために自発的に発生してきたものと姜氏は捉えており、「社会的経済」という用語は後付けだと言う。

 続いて、韓国のSSEをつくる原動力になった市民運動の歴史を概観した。1960年代以降の貧民運動から1990年代には地域住民運動やまちづくりに発展し、経済危機や格差・貧困など様々な課題に対応してきた。そのなかで、抵抗型の運動から参加と自治型の運動へと転換し、政治・暮らし・教育・文化など様々な分野で住民組織が創造されていった。

 こうした受け皿があったことに加え、2000年代以降、SSE促進のための政策・法整備が進められたことが追い風となり、協同組合や社会的企業など様々な社会的経済組織が増加し、経済活動の主体が多様化するなどの成果があった一方、当事者組織の主体性が弱くなるなどの課題もあると言う。

 最後に、これからの社会・経済・地域は、今の「危険社会」からいかに「持続可能な社会」にしていくかが問われており、SSEが大きな役割を果たし新しいパラダイムにシフトしていく可能性を展望した。そして、日本のそれぞれの活動も十分なポテンシャルを持っており、それを誇りとし、組織内外で協力し合う文化をつくり、持続可能な社会をつくるために連帯していこうと締めくくった。

 

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