中央労福協は連続講座「『つながる経済』で社会を変える!」の第10回を6月17日に開催し、「社会的連帯経済を支える社会的金融 PartⅡ.」として、協同組織金融機関の果たす役割を学んだ。登壇者は、(一社)価値を大切にする金融実践者の会の江上広行代表理事、(一社)ちいきん会の新田信行代表理事と、労金協会の山口郁子政策調査部部長の進行で鼎談した。
最初に前回の講座を振り返り、労金がNPO融資を始めて四半世紀たったが「社会的金融の実践は道半ば」という議論については、新田氏は「道半ばというより、ようやくスタートラインに立ったところ。お金と経済の時代から、人と社会の時代になろうとしている。協同組織金融機関や労金にとっては大きなチャンスだ」、江上氏は「常に道半ばであり、日々アップデートしていくプロセスに意味がある」とコメントした。
続いて、金融を取り巻く環境が大きく変わる中での社会的金融の役割を議論し、「経済の血液であるお金が動いていない」(新田氏)、「利用者が金利や利便性だけでなく預けたお金がどう使われるかも含めて運用先を選択できるよう、金融の多様性が必要」(江上氏)などの課題が指摘された。また、国内外のソーシャルバンクの動向や、社会課題解決の指標で企業を評価し認証しようという動きが広がっていることも両氏から紹介された。
金融の現場では、現状を変えたいという想いと収益確保の狭間での悩みもある。業績が悪化した信金を再建した経歴を持つ新田氏は「私たちは金融機関である前に協同組合だ。人と人とのつながりができれば収益は上がる」と助言。山口氏は、今年4月から6つの労働金庫が、いろんな人たちとつながりながら地域でできることを職員自身が考え事業の開発につなげる「労金ラボ」の取り組みにチャレンジしていることを紹介。江上氏も「社会や未来に必要なことをやることで結果として収益も上がる。経営のパラダイムも変わり目にある。未来は自分たちで変えられる」とエールを送った。
最後にそれぞれから「スタートライン」(山口氏)、「時は来た!」(新田氏)、「つながるためのビジョン」(江上氏)という希望にみちたメッセージで締めくくった。
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