解説:厚生年金保険

 厚生年金保険は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行います。

1.被保険者

(1)被保険者
 適用事業所に使用される70歳未満の人は、厚生年金保険の被保険者となります。
 ただし、次に掲げる人は、厚生年金保険の被保険者になりません。

[1]臨時に使用される人(船舶所有者に使用される船員は除かれます。)であって次に掲げる人

(ア)日々雇入れられる人
(1ヵ月を超えて引き続き使用されるに至った人は被保険者になります。)

(イ)2ヵ月以内の期間を定めて使用される人
(所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った人は被保険者となります。)

[2]所在地が一定しない事業所に使用される人

[3]季節的業務に使用される人(船舶所有者に使用される船員は除かれます。)
(当初から継続して4ヵ月を超えて使用される場合は、被保険者となります。)

[4]臨時的事業の事業所に使用される人
(当初から継続して6ヵ月を超えて使用される場合は、被保険者となります。)

[5]適用事業所に使用される人で1週間又は1ヵ月間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満である短時間労働者に該当し、かつ、次のいずれかの要件に該当する人

イ.1週間の所定労働時間が20時間未満であること

ロ.その事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこと

ハ.報酬(最低賃金に算入しないものに相当するものを除く。)の月額が8万8千円未満であること

最低賃金に算入しないものとは次の①~⑥までに掲げるものとします。

①臨時に支払われる賃金

②1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金

④所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金

⑤深夜労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分

⑥最低賃金において算入しないことと定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)

ニ.学生その他これらに準ずる人

(2)適用事業所

 厚生年金保険の適用事業所は、健康保険の適用事業所と同じですが、厚生年金保険では、船員法に規定する船員として船舶所有者に使用される人が乗り組む船舶も適用事業所となります。

(3)任意単独被保険者

 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の人は、社会保険庁長官の認可を受けて厚生年金保険の被保険者となることができます。認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければなりません。

(4)高齢任意加入被保険者

[1]適用事業所に使用される70歳以上の人で、老齢又は退職を支給事由とする年金給付の受給権がない人は、社会保険庁長官に申し出て被保険者となることができます。

[2]適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の人で、老齢又は退職を支給事由とする年金給付の受給権がない人は、社会保険庁長官の認可を受けて被保険者となることができます。認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければなりません。


2.保険料

(1)保険料

 保険料は、被保険者ひとりひとりについて、標準報酬月額及び標準賞与額に保険料率をかけて計算されます。

(2)保険料率

[1]以下に掲げる人以外の人 18.182%

[2]抗内員・船員 18.184%

[3]国家公務員共済組合 17.632%

[4]地方公務員等共済組合 17.632%

※負担は原則として労使折半となりますが、船員任意継続被保険者、適用事業所に使用され、事業主の同意のない高齢任意加入被保険者は、全額自己負担となります。

(3)標準報酬月額及び標準賞与額

 健康保険法と同じですが、標準報酬月額の等級区分が第1級88,000円~第30級620,000円となっています。また、標準賞与額の上限は150万円となっています。

(4)保険料の納付

 保険料は、健康保険同様に、事業主が被保険者の前月分の保険料(被保険者分)をその月の給与等から控除し、毎月の保険料は、事業主が併せて翌月末日までに納付します。

(5)保険料の免除等

[1]産前産後期間中(産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)、育児・介護休業法に基づく育児休業期間中については、産前産後休業、育児休業を開始した月から、子が3歳に達する月の前月までの期間、事業主が保険者に申し出ることにより保険料が免除されます。この免除された期間は、育児休業前の標準報酬で保険料納付が行われたものとして受給する時の年金額に計算されます。

[2]産前産後休業を終了した被保険者、育児休業等(養育する子が3歳に達するまでの場合に限ります。)を終了した被保険者が、事業主を経由して申出をしたときは、産前産後休業(育児休業等を開始した人を除く)育児休業等終了月(終了する日が月末のときはその翌月)以後3か月間に受けた報酬の平均を基準として、育児休業等終了日の翌月から起算して2か月を経過する月の翌月から標準報酬月額を改定することができます。年金額の算定に用いられる標準報酬月額については、下回る前の標準報酬月額で保険料納付が行われたものとして扱われます。(ただし、産前産後休業期間中の保険料免除を開始したときに終了となります。)

[3]育児・介護休業法による勤務時間短縮等を選択した人については、勤務時間短縮等により賃金が低下した場合、低下した賃金に基づく標準報酬月額で保険料を納めることになりますが、年金額の算定に用いられる標準報酬月額については、子が3歳に達するまでの期間は被保険者の申出により、子の養育を開始した月の前月の標準報酬月額で保険料納付が行われたものとして扱われます。


3.国庫負担

[1]国庫は、基礎年金拠出金の額の2分の1を負担します。

[2]予算の範囲内において、事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む)の執行に要する費用を負担します。


4.給付の内容

【老齢厚生年金】

(1)支給要件

 厚生年金保険の被保険者期間が1ヵ月以上あって、老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上(特例あり))を満たした人が原則として65歳に達したときに老齢基礎年金に上乗せされ、老齢厚生年金が支給されます。(60歳以上65歳未満の間は特別支給制度があります。)

(2)年金額

[1]報酬比例の年金額[2]経過的加算[3]加給年金額

[1]報酬比例の年金額
 平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とします。

(ア)平成15年3月までの期間分
平均標準報酬月額××被保険者月数

(イ)平成15年4月以降の期間分
平均標準報酬額××被保険者月数

<平均標準報酬月額とは>
 平均標準報酬月額とは、被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額を平均した額をいいます。

<平均標準報酬額とは>
 平均標準報酬額とは、平成15年4月以降の各月の標準報酬月額の合計額と標準賞与額の合計額の総額を、平成15年4月以降の被保険者期間の月数で割った額をいいます。


[2]経過的加算
経過的加算=特別支給の老齢厚生年金の定額部分-厚生年金保険加入期間に係る老齢基礎年金の額)

[3]加給年金額
 被保険者期間の月数が240月(中高齢の特例による場合は、15~19年)以上である受給資格者が権利を取得した当時、生計を維持していた65歳未満の配偶者、18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある子、20歳未満で障害等級1級又は2級の障害状態にある子がいる場合に加給年金額が支給されます。
 加給年金の額は、配偶者、第1子、第2子が各々224,300円、第3子以降は、各々74,800円が支給されます。(S9年4月2日以降生まれの人は配偶者の特別加算があります。)

◎特別支給の老齢厚生年金(60歳台前半の老齢厚生年金)

(1)支給要件

 厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あって、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした人が原則として60歳に達したときに特別支給の老齢厚生年金が支給されます。

(2)年金額

 基本年金額(定額部分+報酬比例部分)+ 加給年金額

[1]定額部分
(注)1.定額部分=1,625円(生年月日に応じた率)×被保険者月数
調整率はS21年4月1日以前生まれの人について生年月日に応じて1,625円に1.032~1.875の率がかけられます。

2.被保険者月数は生年月日に応じて上限があります。(S9年4月2日~S19年4月1日以前生まれが444月、S19年4月2日~S20年4月1日生まれが456月、S20年4月2日~S21年4月1日生まれが468月、S21年4月2日以降生まれが480月)。

[2]報酬比例部分
 平成15年4月前に被保険者期間がある人は、アとイを分けて計算し、合算した額とします。

(ア)平成15年3月までの期間分
 平均標準報酬月額××被保険者月数

(イ)平成15年4月以降の期間分
 平均標準報酬額××被保険者月数

◎部分年金(報酬比例部分相当の老齢厚生年金)

 60歳から受けられる特別支給の老齢厚生年金は、昭和16年(女子21年)4月2日以降生まれの人から生年月日に応じて段階的に報酬比例部分相当の老齢厚生年金(部分年金)へと切り替えられ、昭和24年(女子29年)4月2日以降生まれの人で、切り替えが完了します。さらに、昭和28年(女子33年)4月2日以後降生まれの人は、報酬比例部分相当の老齢厚生年金(部分年金)の支給開始年齢も段階的に引上げられ、昭和36年(女子41年)4月2日以降生まれの人は、60歳台前半の老齢厚生年金はなくなります。

特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢
(1)定額部分の引上げ

(2)報酬比例部分(部分年金)の引上げ

(注)1.坑内員や船員の場合、(1) 定額部分と報酬比例部分は「60歳支給が55歳支給」で開始年齢は女子と同じ、(2)部分年金の引上げは女子と同じ経過措置をとり、「65歳支給」となります。

2.共済年金の場合は、老齢厚生年金とは支給開始年齢や算出式等が若干異なります。

3.雇用保険法における基本手当を受給している間は、65歳未満の老齢厚生年金は支給停止されます。

(3)老齢基礎年金の繰上げ併給

 S16.4.2以降生まれであって、65歳前に部分年金を受給できる人(男子・昭36.4.1、女子・昭41.4.1以前生まれ)は、老齢基礎年金を一部又は全部繰上げて併給できます。

◎在職老齢年金

 在職中の被保険者については、一定額が減額されて老齢厚生年金が支給されます。

(1)60歳以上65歳未満の人

 在職老齢年金(月額) =年金月額 -支給停止額

[1]支給停止額
 総報酬月額相当額と年金月額との合計額が28万円を超える場合は1ヵ月につき次の額が支給停止となります。

(ア)年金月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が46万円以下のとき
(総報酬月額相当額+年金月額-28万円)×

(イ)年金月額が28万円以下で、総報酬月額相当額が46万円を超えるとき
(46万円+年金月額-28万円)×+(総報酬月額相当額-46万円

(ウ)年金月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が46万円以下のとき
(総報酬月額相当額)×

(エ)年金月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が46万円を超えるとき
46万円×+(総報酬月額相当額-46万円

(注)在職老齢年金を受けている人が、高年齢雇用継続給付を受けている間は、在職老齢年金による支給停止に加え、原則として標準報酬月額の6%相当額の年金がさらに停止されます。

(2)65歳以上の人(平成19年4月以降に70歳となる人)

[1]総報酬月額相当額の額にかかわらず、老齢基礎年金は支給停止せず、全額支給されます。

[2]総報酬月額相当額と老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額の合計額が46万円に達するまでは、全額支給されます。

[3]総報酬月額相当額と老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額の合計額が46万円を超えるときは、超過部分のが支給停止となります。

(注)1.平成14年4月1日前に65歳(昭和12年4月1日以前生まれ)に到達しており、老齢厚生年金の受給権を有している人については、上記の支給停止は行われませんでしたが、平成27年10月以降は対象となりました。


【障害厚生年金】

(1)支給要件

 厚生年金保険の被保険者期間中に疾病又は負傷により、障害基礎年金に該当する障害(1級・2級)が残った人は、障害基礎年金に上乗せして、障害厚生年金(1級・2級)が支給されます。また、障害の程度が軽い場合には、障害厚生年金3級が支給されます。
 障害厚生年金の支給を受けるには、次の要件を満たしていなければなりません。

[1]初診日において、被保険者であること

[2]障害認定日において、障害等級1級、2級又は3級に該当すること

[3]初診日の前日において、保険料納付要件を満たしていること

<初診日とは>
 傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいいます。

<障害認定日とは>
 初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日又はその期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日をいいます。

<保険料納付要件とは>
 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間がある人は、その被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あることが条件となります。ただし、初診日が平成38年4月1日前にある傷病による障害については、初診日において65歳未満で初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がなければ、特例措置として障害厚生年金を受けることができます。

(2)年金額

[1]1級
報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者加給年金額(224,300円

[2]2級
報酬比例の年金額 + 配偶者加給年金額(224,300円

[3]3級
報酬比例の年金額

〇報酬比例の年金額

 平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とします。

(ア)平成15年3月までの期間分
平均標準報酬月額××被保険者月数

(イ)平成15年4月以降の期間分
平均標準報酬額××被保険者月数

(注)1.被保険者期間の月数が300に満たないときは300とします。

2.平成12年度改正前の計算式で算出した年金額が高くなる場合はその額とします。

3.障害基礎年金を受ける事ができない場合の最低保障額は584,500円

<平均標準報酬月額とは>
→【老齢厚生年金】(2)年金額<平均標準報酬月額とは>参照

<平均標準報酬額とは>
→【老齢厚生年金】(2)年金額<平均標準報酬額とは>参照

(3)その他

[1]65歳未満の老齢厚生年金又は遺族厚生年金の受給権者が障害厚生年金の受給資格者となった場合には、障害厚生年金あるいは老齢厚生年金又は遺族厚生年金のいずれかを選択できます。

[2]業務上等の傷病・死亡で労災保険の障害補償年金を受けている場合には、障害基礎年金および障害厚生年金は全額受けられますが、労災保険において減額調整されます。


【障害手当金】

(1)支給要件

 傷病の程度が軽く、障害厚生年金の障害等級に該当しなかった場合、次の要件を満たすことにより、障害手当金を受けることができます。

[1]初診日において被保険者であったこと

[2]初診日から起算して5年を経過する日までの間に、その傷病が治っていること

[3]障害の程度が障害等級3級より軽い一定の障害の状態であること

[4]保険料納付要件を満たしていること

(2)支給額

 平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とします。

(ア)平成15年3月までの期間分

(イ)平成15年4月以降の期間分

(注)1.被保険者期間の月数が300に満たないときは300とします。

2.平成12年度改正前の計算式で算出した額が高くなる場合はその額とします。

3.障害手当金の額が1,169,000円に満たない場合は、1,169,000円とします。

<平均標準報酬月額とは>
→【老齢厚生年金】(2)年金額<平均標準報酬月額とは>参照

<平均標準報酬額とは>
→【老齢厚生年金】(2)年金額<平均標準報酬額とは>参照


【遺族厚生年金】

(1)支給要件

 次のいずれかに該当する人が死亡したときは、その人に生計を維持されていた遺族に遺族厚生年金が支給されます。([1]~[2]に該当する人は、保険料納付要件を満たしていることが必要です。)

[1]被保険者が死亡したとき(短期要件)

[2]被保険者であった間に初診日がある傷病が原因で、被保険者の資格を喪失した後にその初診日から5年以内に死亡したとき(短期要件)

[3]障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき(短期要件)

[4]老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている人が死亡したとき(長期要件)

<保険料納付要件>
 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間がある人は、その被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あることが条件となります。ただし、死亡日が平成38年4月1日前にある場合は、死亡日において65歳未満で、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がなければ、特例措置として遺族厚生年金を受けることができます。

(2)遺族の範囲

 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった人の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、その人の死亡当時、その人によって生計を維持されていた人です。
 また、妻以外の人については、次の要件が必要です。

[1]夫、父母、祖父母
 55歳以上であること

[2]子又は孫
 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であって障害等級1級又は2級に該当する障害の状態であり、かつ婚姻をしていないこと

[3]胎児であった子
 被保険者又は被保険者であった人の死亡当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった人の死亡当時その人によって生計を維持されていたとみなされます。

(3)遺族の順位

 [1]配偶者又は子、[2]父母、[3]孫、[4]祖父母の順となっています。

(4)年金額

 平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とします。

(ア)平成15年3月までの期間分
平均標準報酬月額××被保険者月数×+中高齢寡婦加算

(イ)平成15年4月以降の期間分
平均標準報酬額××被保険者月数×+中高齢寡婦加算

(注)1.

2.短期要件による.被保険者期間の月数が300に満たないときは300とします。(長期要件による遺族厚生年金は、実際の被保険者期間で計算します。)

3.平成12年度改正前の計算式で算出した年金額が高くなる場合はその額とします。

4.65歳以上の妻については、上記で計算した遺族厚生年金と(妻の老齢年金の2分の1+夫の遺族厚生年金の3分の2)のうち、高い方とします。

5.老齢厚生年金と老齢基礎年金を受けている65歳以上の妻(夫)が、夫(妻)が死亡したために遺族厚生年金が受けられることになった場合、老齢厚生年金は引き続き全額支給され、上記3の額との差額分が遺族厚生年金として支給されます。(平成19年4月2日以降に65歳になる人)

6.子(18歳に達する日の最初の3月31日までの間にある子又は20歳未満で障害等級1級又は2級の障害状態にある子)のいない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金は5年間の有期給付となります。

<平均標準報酬月額とは>
→【老齢厚生年金】(2)年金額<平均標準報酬月額とは>参照

<平均標準報酬額とは>
→【老齢厚生年金】(2)年金額<平均標準報酬額とは>参照

(5)中高齢寡婦加算

[1]加算の要件
 次のいずれかに該当する妻が、遺族厚生年金を受給する場合、その妻が40歳から65歳までになるまでの間、中高齢の寡婦加算が行われます。

(ア)夫の死亡当時、40歳以上65歳未満で、子がいない妻

(イ)40歳に達した当時、死亡した被保険者若しくは被保険者であった人の子で、遺族基礎年金の支給要件に該当する子と生計を同じくしていた妻

(注)1.長期要件による場合は、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(中高齢の特例の場合は15年~19年)あることが必要です。

[2]中高齢の寡婦加算の額
 中高齢の寡婦加算の額は、585,100円です。


【脱退一時金】

(1)支給要件

 被保険者期間が6ヵ月以上ある日本国籍のない人(国民年金の被保険者でない人に限ります。)であって、老齢厚生年金の受給資格期間を満たさない人は、脱退一時金を請求することができます。

(2)支給額

 脱退一時金の額は、平均標準報酬額に被保険者期間に応じた支給率を乗じた額とします。


【離婚などをした場合における特例】

(1)離婚等をした場合の標準報酬の改定の特例(平成19年4月から)

 夫婦の同意または裁判所の決定があれば、婚姻期間中の配偶者の厚生年金の分割を請求することができます。平成19年4月1日以降に成立した離婚に限りますが、それ以前の婚姻期間についても分割の対象となります。
 分割できる割合は、分割を受ける側の持分が双方の標準報酬の合計の2分の1を限度とします。
 分割の請求は離婚成立後2年以内となります。
 (例)

(2)被扶養配偶者の期間についての特例(平成20年4月から)

 離婚した場合や長期にわたり行方不明の場合などは、夫婦の同意がなくても、第3号被保険者であった期間は配偶者の厚生年金の2分の1を請求することができます。
 同意なしで分割できるのは平成20年4月1日以降に成立した離婚に限り、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間に限ります。


【その他】

(1)平均標準報酬月額と平均標準報酬額の計算にあたっては、過去の標準報酬月額と標準賞与額に最近の賃金水準や物価水準で再評価するために「再評価率」を乗じます。また、報酬比例部分の計算を平成12年度改正前の計算式で算出するときは(1.031×0.999)の改定率を乗じる。

(2)沖縄県の被保険者が1954年5月~1969年12月までの間、適用事業所に雇用されていたと認められた場合には、95年4月から保険料を納付することによって、年金額が増額されます。

(3)平成27年10月から、被用者年金が一元化され、共済組合(長期)は厚生年金保険に統合されました。職域部分が廃止されるとともに「年金払い退職給付」が創設されました。

(4)年金を受けている人が亡くなった時にまだ受け取っていない年金や、亡くなった日後に振込された年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金として、その人と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の3親等内の親族が受け取ることができます。

詳しくは事業所又は住所地を管轄する年金事務所にお問い合わせください。


上へ

社会保険制度の解説

私たち生活に深い関わりのある社会保障、社会保険制度のポイントを解説します。

相談事例Q&A

日常生活の中で「こんな場合はどうなるの?」という具体的な相談事例をとりあげて、社会保険労務士の根岸純子氏がわかりやすくお答えします。

Copyright 労働者福祉中央協議会(中央労福協)